理想を越えた幸せな制作
――Junさんは、「疾走マイロード」で印象的だったことはありますか?
Jun 今までレコーディングで使ったことのないギターを使ったことはすごく挑戦でした。ギブソンのSGで、P90というピックアップが載っているんですけど、そのピックアップを鳴らしたこと自体が初めてだったんです。だからどんな音になるのか、不安もありつつ楽しみでもあって。結果的にすごく曲とマッチした音になりました。あと、この曲はあえて演奏をカチカチに合わせないようにしたんです。
わちゅ〜 クリックを聴いていたのはドラムの大輝だけで、ベースとギターは、そのドラムを聴きながら合わせていて。TSUBASAのボーカルも今回は僕らの演奏だけを聴いて歌ったんです。
TSUBASA 最初はクリックを聴いて歌ったんですけど、そうするとどうしてもグルーブ感が出せなくて。それでクリックを一旦なくして、目の前にあるバンドの音に乗っかる感じで歌ったら、すごくいい感じのグルーブが生まれて。すごく楽しかったです。
――よりライブ感が出たわけですね。
TSUBASA 本当にライブで歌っているような感覚でした。
わちゅ〜 レコーディングのときもそれぞれがブースに分かれることなく、大きな部屋に全員で入って向き合って、お互いの表情や演奏する手元が見える状態で演奏したんです。
TSUBASA みんなの演奏を聴いていたら、いてもたってもいられなくなっちゃって。急遽ブースに入って一緒に歌いました。このときが、すごく楽しくて。
――バンドらしさがより出た曲ですね。
わちゅ〜 TSUBASAとは僕がいちばん長く一緒にバンドをやっているんですけど、僕が思うTSUBASAの一番良い声が出ていると思います。本当にたくさんの人に聴いてほしい。
TSUBASA レコーディングのときも言ってたよね。実は、ボーカルは2度レコーディングしていて、結果2度目のレコーディングのテイクが採用になったんですけど、そのときにわちゅ〜が僕の肩に手を置いて「この間のテイクを越えてくれてありがとう」と言ったんです。「どこの社長だ?」って思いました(笑)。
わちゅ〜 仮歌がすでに良かったから、本番でこれ以上のものが出るのか不安もあったんですけど、それを見事に越えてくれたから。決して上から目線というわけでなく、素直に「ありがとう」って。
TSUBASA 普通は思っていても、恥ずかしいから言わないですけど(笑)。でもそんなことを言われたことがなかったから、僕も嬉しかったです。
わちゅ〜 僕が曲を作って出来上がりではなくて、皆のエッセンスが注入されて完成されるんです。大輝の歌詞も自分の想像を超えたものだったし、Junのギターソロも今までにないくらい速弾きをしていて、そしてTSUBASAが歌で想像以上のものを乗せてくれた。その過程のすべてが楽しくて、理想を越えた幸せな制作でした。
――いつも以上の速弾きができたのも、新しいギブソンSGのおかげですね!
Jun いえ、ギターソロだけいつものスティーブ・ヴァイモデルで弾いていて(笑)。でも、もう二度と弾けないっていうくらい、勢いに乗って、良いソロが弾けました。。
わちゅ〜 Junはレコーディングでもいろんなソロを弾いてくれるので、アレンジの幅が広がります。