ロックバンドのThinking Dogsが10月24日、東京・Shibuya eggmanで『DOG'S PARTY vol.11〜わんわん秋のリリース前夜祭〜』をおこなった。このライブは彼らの5枚目のシングルである「Oneway Generation」が25日に発売されることを記念したもの。ハロウィンが迫っている事もあり、メンバーのTSUBASA、Jun、大輝、わちゅ〜の4人のコスプレ姿も見られた。エンターテインメント性も出しつつ、彼ららしい個性的な選曲のカバー曲が多く演奏されたライブの様子を、以下にレポートする。【取材=小池直也】

コスプレしたメンバー登場

Thinking Dogs

 会場が暗転すると「ようこそDOG'S PARTYへ。お前ら全員食べちまおうか」という怪しげな声が。その声でメンバーが呼び込まれる。この日はハロウィンを意識して、それぞれがコスプレをして登場。パイロットのコスプレをしたJun(Gt)、ジブリ映画『魔女の宅急便』のキキ姿の大輝(Dr)、映画『トイ・ストーリー』のバズ・ライトイヤー姿が似合うわちゅ〜(Ba)、そして王子ファッションのTSUBASA(Vo)がステージに姿を現す。各メンバーがポージングを決める度に歓声も起きた。

 オープニングはアッパーな「あと100マイル」。手を高く上げて、リズム良く手を叩くファンたち。「リリース前夜祭へようこそー! 全員で今日は楽しんでいけますかー!」とTSUBASAが煽ってから、「もどかしいディスタンス」を披露。Bメロでは大輝がメインボーカルをとる。続く「ごめんね、キャサリン」は、サビでTSUBASA、わちゅ〜、Junが前にせりだしてファンにアピール。序盤から熱いステージを見せる。

 MCでは、Junが「渋谷の皆さん、会いたかった!」と切り出してからメンバーそれぞれの仮装に触れていく。「最高!」という声もフロアから上がった。それから、爽やかなロックチューン「君が望む空」を演奏。TSUBASAが間奏で手を上げ、オーディエンスを煽る。Junのソロになると、彼の赤いギターに視線は釘付け。「STAND UP」ではパワフルなサビでタオルが振られ、アウトロでは大合唱も起きた。

 ここでメンバーが退場し、ニューシングルで本田美奈子.のカバー「Oneway Generation」MVのオフショット映像が公開された。TSUBASAのスーツ姿の演技に始まり、居酒屋店員の大輝、警備員のわちゅ〜、ヒモ男のJun。21時間に及んだ撮影の裏側が明かされた。そして、映像が終わるとスクリーンの裏には衣装チェンジしたThinking Dogsが。そして「Oneway Generation」を演奏。シャッフルなビートときれいなメロディを持つこの曲に、TSUBASAのハイトーンボイスが映える。

 さらに、これまで彼らがカバーしてきた曲がメドレーで披露されていく。メンバー全員のクラップから始まった米米CLUBの「君がいるだけで」、首を横に可愛く振りながら、ベースを弾くわちゅ〜が印象的だった広瀬香美の「ロマンスの神様」。さらに、斉藤和義の「歩いて帰ろう」、細かいギターカッティングが効いた坂本冬美の「また君に恋してる」、突っ込むリズムが冴えた杏里の「キャッツアイ」、会場の観客をジャンプさせた松田聖子の「渚のバルコニー」と並べていった。

CDという宝物を皆とたくさん作り上げたい

Thinking Dogs

 TSUBASAが「DOG'S PARTYで初披露する曲です」として演奏したのは、新譜にも収録されている中森明菜の「DESIRE −情熱−」。サビではわちゅ〜もコーラスをとる。「心をこめてアレンジしました」と話すJunのファンキーなギターから始まったあみんの「待つわ」では、緩めなテンポでフロアを揺らした。

 そして、TSUBASAがマイクを握る。「また皆のおかげで素敵なリリース前夜祭ができました。ありがとうございます。『そんな君、こんな僕』(3rdシングル)は1年2カ月も皆を待たせてしまって、悔しい想いをしました。コンスタントにリリースできるバンドになりたいと思っていて。今回は半年でリリースできました」と新作リリースの想いをしみじみと語った。最後は「この先もCDという宝物を皆とたくさん作り上げて行きたいと思うので、どうかThinking Dogsを宜しく御願いします。この先も一緒に夢を見ていきましょう」と結んだ。

 感情を揺さぶるMCの後に演奏されたのは「ユメハグ」、MCの内容と合わさって演奏に熱が入る。TSUBASAは汗で前髪を濡らしながら、マイクに想いを吹き込んでいった。エンディングで拳を握りしめる様子も。遅めのテンポの「永遠はどこだ?」は切なく歌い上げる。大輝のシンバルの音色も曲調にマッチ。

 「次の曲はめちゃくちゃ大事な曲だから、皆で歌ってほしいです」と話して演奏したのは、「世界は終わらない」。合唱やクラップを促しながら、大事に歌うTSUBASA。メロディの隙間に切り込んでくるJunのギターも印象的だった。さらに大輝が早いビートで先行してからの「3times」で、疾走するThinking Dogs。ギターソロの伴奏は休符を上手く活かしたトリッキーなアレンジだった。

 Junによるメンバーをいじるコール&レスポンスのあとに、「そんな君、こんな僕」を繋げていく。Junとわちゅ〜の位置を入れ替えてのパフォーマンスに、観客たちは楽しそうにジャンプ。タッピング奏法のリズミックなギターソロも。「Are you ready?」では、イントロのユニークな3つづりのリズムがぴったり合う。そこから爆発するサビで、フロアではタオルがフル回転。最後はTSUBASAの裏声のフェイクが響いて、豪快なエンディング。

 アンコールを受けて、メンバーが4人それぞれの「Thinking Dogs」という声の波形をあしらったTシャツ姿で再登場。「Thinking Dogs〜大輝生誕祭&来年はなに年?スペシャル〜」が12月26日にShibuya WWWでおこなわれる事も発表され、その勢いでアンコールの「ハートビート」が炸裂する。TSUBASAはキュートな振り付けでファンを楽しませながら、ポップに歌い切って、Thinking Dogsはこの夜を完走した。

セットリスト

1.あと100マイル
2.もどかしいディスタンス
3.ごめんね、キャサリン
4.君が望む空
5.STAND UP
6.Oneway Generation
7.カバーメドレー
(君がいるだけで−ロマンスの神様−歩いて帰ろう−また君に恋してる−キャッツアイ−渚のバルコニー)
8.DESIRE−情熱−
9.待つわ
10.ユメハグ
11.永遠はどこだ?
12.世界は終わらない
13.3times
14.そんな君、こんな僕
15.Are you ready?

ENCORE

EN1.ハートビート

この記事の写真

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)