「私よりも…」Iris、デビュー会を急きょチャリティイベントに
感極まり涙したIris(撮影・小池直也)
コーセー“雪肌粋”のイメージキャラクターに抜擢された、マレーシア出身の女性歌手、Iris(アイリス)が26日、都内で、熊本地震のチャリティイベントを開催。デビューCDから2曲を披露。その後は、想い入れのある九州のためにと被災地の義援募金活動をおこなった。
Irisはマレーシア出身のシンガーソングライター。2015年からビザを取得して日本で生活していたそうだ。日本のテレビ番組内でヒッチハイクをして日本を縦断するという企画に参加し、見事に達成。美少女ヒッチハイカーとしてSNSなどで人気に火が付いて、日本デビューすることが決まった。
当初今回のイベントは彼女の「デビューイベント」となる予定だったが、縦断の旅で「九州に大変お世話になった」という彼女のたっての希望で『熊本大地震チャリティイベント』として開催されることになった。
ステージに呼び込まれて登場したIrisは「皆さん、こんにちは。Irisです。お元気ですか」と日本語で元気な挨拶。彼女の快活な声が新宿に響き渡った。日本を旅しながら上手になったという日本語だが、一番好きな言葉は「ありがたや」だそう。
九州の思い出については「みんな凄いパッションです。凄いあったかいです。だから一杯思い出あります」。さらに「マレーシアは地震は無いです。でも九州の地震は旅で出会った家族が沢山住んでいるから、凄く近い感じがありました。ニュース聞いて凄くびっくりしました。日本のみなさんが旅で優しさをくれて。今回はこの優しさを返したい。it’s my turn」とコメントして、弾き語り始めた。
まず、演奏されたのは坂本九さんのカバーで「上を向いて歩こう」。来日前から知っていた曲なのだという。朗々とアコースティックギター1本で歌うのが印象的。新宿の雑踏にIrisの歌が混ざって少ししんみりさせられた。
さらに「このメッセージが九州に届くと嬉しいです」と呟いてからデビューCDのリード曲「I love me」も披露した。日本縦断の旅で作られたものをベースに再構築したというこの楽曲。通行人も彼女の歌に聴き入っている様子だった。
演奏終了後「ありがとうございます。緊張しました」とあっけらかんとした口調で礼を伝えたIris。大きな拍手が彼女に贈られてから、最後に彼女は自筆の手紙を涙ながらに朗読して募金を呼び掛けた。とても明るい彼女の口調とは裏腹の真剣な想いが伝わる、胸に迫る手紙であった。
<手紙内容>
明日、私は夢だったデビューをします。今日は色々な方がスタンバイしてくれた、私のデビューイベントの予定でした。でも今、九州では私に優しくしてくれた日本の人たちが凄く大変です。私のデビューより、小さな私のできる事があるんじゃないかと思いました。
私のデビューの為に頑張ってくれている人たちに、凄く苦しかったけど、ワガママを言ってチャリティイベントをお願いしました。私の気持ちを理解してくれてサポートしてくれた皆本当にありがとうございます。本当に優しいのは皆の方です。そしてここに集まっている皆さん本当にありがとうございました。
今、大きい地震にあって沢山の人たちが苦しんでいます。その人たちに笑顔が戻るよう、皆さんの優しい気持ちを熊本に届けましょう。私には大きな力は無いです。皆の優しい気持ちを少しづつください。私たちはひとつです。なるべく沢山のみなさんのご協力をお願いします。
(取材・小池直也)