ヒッチハイクで得た経験を歌詞に、Iris 自身が見た日本の不思議
INTERVIEW

ヒッチハイクで得た経験を歌詞に、Iris 自身が見た日本の不思議


記者:榑林史章

撮影:

掲載:17年06月01日

読了時間:約9分

マレーシア出身のシンガー、Irisが見た日本とは

 マレーシア出身のシンガー、Iris(アイリス)が5月31日に、3rdシングル「ファンタスティック ジャパン」をリリース。2015年に来日し、同年に日本テレビ系『なんでもワールドランキング ネプ&イモトの世界番付』のコーナー「NIPPON優しさ旅」で、日本縦断ヒッチハイクの旅にチャレンジ。シンガーと並行して、モデルとしてCMに出演するなど幅広く活躍している。同曲は、「外国人から見た日本の不思議を歌った曲」で、Irisも歌詞のアイデアを出したという。ヒッチハイクを通して日本語を覚え、現在は夢であった歌手として紅白出場を目指していると話す。彼女が感じた日本と母国の違いとは? ヒッチハイクの旅の思い出とともに話を聞いた。

ヒッチハイクの旅で日本語を勉強

ファンタスティック ジャパン

――日本語がとてもお上手ですが、一昨年から去年にかけて放送された、TV番組『ネプ&イモトの世界番付』のコーナーで、日本縦断ヒッチハイクの旅をして覚えたんですか?

 はい。旅を始めるときは、ほとんど日本語をしゃべれなかったんですが、旅の中で出会った皆さんが親切に教えてくださって。それで、ちょっとしゃべれるようになりました。

――そのヒッチハイクの旅で、印象に残っていることはありますか?

 鹿児島で、さつまいもの収穫を手伝わせていただいたんですけど、そのときお世話になったご家族が、とても温かくて印象に残っています。90歳のおばあちゃんがいらっしゃって、お世話になったお礼に私の歌を聴いていただいたら、おばあちゃんが感動して泣いてくれて。それを見て、私も自分のおばあちゃんのことを思い出して泣いてしまいました。

 もう一つは、ヒッチハイクの旅が始まってすぐ、最初に乗せてくれた、稚内で鮮魚店をやっているご家族です。人見知りでなかなか声をかけられないし、生まれて初めてのヒッチハイクだったし、すごく困っていたんです。でも、とても親切にしてくれて、ホームステイまでさせていただいて。そこが、すべてのスタートになったので、よく覚えていますね。あと、その時にご馳走になったカニが、すごく美味しかったです。私、食いしん坊なので(笑)。

――全国でいろいろ食べた中で、いちばん美味しかったものは?

 青森・大間町(おおままち)のマグロです。山ちゃんは、知ってますか?

――山ちゃん?

 マグロ漁師の山ちゃんです。山ちゃんの漁船に乗せていただいたんですけど、私はすごく船酔いもしたし、結局釣れなかったんですけど。でも頑張ったからって、山ちゃんがマグロをご馳走してくれて。すごく美味しかったです。今年も山ちゃんが、マグロを釣れるように応援してます!

悔しくて、レコーディングで泣いた

Iris

――シングル「ファンタスティック ジャパン」は、日本でヒッチハイクの旅をして感じた気持ちも込められているんですね。

 そうですね。日本の文化とマレーシアの文化は、違う部分がかなりあるので、日本に来て驚いたことや、不思議だと感じたことがたくさんあって。作詞家さんに私の体験をお話して、歌詞にまとめていただきました。

――日本とマレーシアで、違うなと思うことは?

 マレーシアは、あまり夜遅くまで飲みに行ったりしないんです。だから、「とりあえずビール」という言葉は存在しないし(笑)。会社の飲み会に行くよりも、家庭を優先します。日本の方も家庭を大事にしていると思いますけど、みなさん大人の事情があるみたいですからね(笑)。

 でも日本は、時間の正確さが素晴らしいです。電車が遅れないのは、すごいですよ。マレーシアは、リゾート気質でのんびりしたところがあるので、1時間くらい待つこともありますから。

――実際にIrisさんが出したアイデアで、歌詞に採用されたものは?

 歌詞には、舞妓さんも出て来ています。『世界番付』では、京都で舞妓さんになったこともあったので。あと、お猿ちゃんが温泉に入っているのは実際に見たことはないけど、写真で見たことがあって。マレーシアにもお猿ちゃんはいっぱいいますけど、温泉がないので、すごく不思議な光景だなと思いました。

――「ファンタスティック ジャパン」は、歌ってみて難しかった?

 日本語の歌詞だしテンポも速いので、歌うのは大変でした。もともと速いテンポの曲は苦手なのに、日本語の発音を気にしなくちゃいけないし、そうするとテンポに間に合わなくなっちゃって。レコーディングのときは、あまりに出来なくて、悔しくて泣いちゃいました。

――でも、ちゃんと出来て良かったですね。

 はい。大変だったことを乗り越えて、頑張って出来たという意味では、ベイビーを産んだような気持ちです!

――明るくポップな曲調で、子どもから大人まで、幅広く楽しんでもらえそうですね。

 そうですね。いろんな人に聴いて欲しいです。この曲は、外国人から見た日本の不思議を歌っているので、きっと日本の方が聴いたら「外国人は、そう思ってるんだ〜」とか、発見出来ることがたくさんあると思います。

――2曲目の「One More Step ! 」はガレージロックナンバーで、歌詞に<モットー>という言葉も出て来ますが、日本で頑張るためにモットーとしていることは?

 私はそもそも頑固なところがあって、自分が納得しないことは絶対にやりません。もちろん内容を聞いて、理解して納得出来たら、ちゃんとやるんですけど。

 訳も分からないままでは、やったところで上手く出来ないし。理解した上で、やりたくないなと思ったら、そのときはスタッフと相談するようにしています。それが、モットーと言えばモットーかな。

――3曲目の「Rainbow」は、アコースティックで、女の子の応援歌という感じがします。

 私は、外国から1人でやって来て、悩んだこともいっぱいあるし、寂しくなったこともあるし。でも、せっかく来たんだから、頑張るぞ!と思って、日々過ごしています。

 たとえば学校を卒業して会社に入った女の子たちは、いろんなギャップを感じたり、ストレスを感じていると思うんです。仕事になかなか慣れなかったり、人にもたくさん会うだろうし、きっとみんな悩んでいると思います。だから、私と一緒に頑張ろうよ! と、歌ってます。

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