STU48

 STU48が去る10月20日、広島城で7thシングル『ヘタレたちよ』の発売を記念した配信イベント『ヘタレだってやるときゃやるよ!STU48ヘタレ返上SP!』を行った。テレビ番組さながらの豪華演出で視聴者を喜ばせた。MusicVoiceではその模様に独占密着。イベント後には岡田奈々と瀧野由美子が取材に応じた。兼任解除が発表された岡田奈々は「広島城でできて嬉しい」と喜び、岡田を慕う瀧野は「まだまだ甘えさせてほしい」と思いを明かした。【取材=木村武雄/撮影=村上順一・木村武雄】

天守閣前で

 コロナ禍でリリースイベントが制限されているなかでも、ファンに楽しんでもらいたいと企画された。前作『独り言で語るくらいなら』では、就役を終えたSTU48号から広島電鉄、そして広島駅新幹線口までを“横断”。リリースイベントでは異例の規模で反響を集めた。そして、今回は広島城の天守閣と三の丸で実施された。

 雪が舞った前回の配信イベントの記憶を脳裏にかすめるほど、ひんやりとした夜だった。乳がん啓発の「ピンクリボン月間」でピンク色にライトアップされた広島城が漆黒に浮かび上がる。三の丸に設けられた特設ステージには沖侑果の姿があった。本番で演奏するオタマトーンのリハーサルのため一足先に現れた。笑顔で臨む沖に自然と周囲も明るくなる。

 この日の配信は、広島城天守閣でのパフォーマンスで幕を開ける。天守閣に移動するメンバー。笑い声が白い息に変わる。階段を上り天守閣前に立つ。それぞれが配置に付く。こちらのカメラに気付きピースサインを送るメンバーもいた。そして、迎える本番。本作のセンター・瀧野由美子とキャプテン・今村美月が並んで挨拶する。「特別な場所からあの楽曲を披露したいと思います」と笑顔で語り、瀧野が「それでは聞いてください」。その言葉で空気が変わる。そして始まる「ヘタレたちよ」。腕を一斉に広げる。その中央背景には天守閣を望む。地面の砂にすれる靴の音。手狭な空間だがテレビの音楽特番の生中継を思わせる演出だった。

 そして、三の丸ステージへ“ジャンプ”した。特設ステージの後ろにはピンクに染まる広島城。司会は回し上手の副キャプテン・福田朱里。まずは兼任解除前のラストシングルとなった岡田奈々に感想を聞く。前作のリリースイベントには参加できなかったこともあり「ようやく来られました。楽しく過ごしたい!」と笑顔で語ると福田も「きょうは楽しみましょう!お祭りですから!」と応じた。

 岡田とは師弟関係にある甲斐心愛はまだ兼任解除を受け入れられていないとし「週1回は辞めないでって言っている」と明かした。その後は、兼任解除が発表された様子を収めた映像が披露された。この映像は本作のTypeAに収録されているという。さらにミュージックビデオのメイキング映像とともに撮影秘話などが語られた。岡山県の無人島「くじら島」で撮影。釣りやカヤック、バーベキューにも挑戦した。中村舞は実は魚は釣れていなかったことやカヤックから落水した甲斐は実は狙っていた説、更にピザの窯をずっと見張っていた今村美月や、矢野帆夏は具材が瀧野の好みに偏ったなども明かされた。更に、瀧野が岡田に手紙を読み上げるシーンもお披露目された。

天守閣前でパフォーマンス

まさかの高雄

 思い出に浸ったところで、ここで16人が対決する「3本のピロピロ笛、誰が長く吹けるか対決」。福田の話によれば、広島城を築いた毛利輝元の祖父、毛利元就の有名な「三本の矢」にちなんだ企画で、3本の吹き戻し笛を膨らませ誰が長く息が続けられるかを競う。1位には元就のフィギュアがプレゼントされる。

 シード枠の岡田奈々をのぞき、4人3組に分かれて対決。1組目の勝者は甲斐、早々に離脱した瀧野は「(元就のフィギュアは)自分で買おうと思って」と茶目っ気に言い訳した。2組目の勝者はなんと高雄さやか。勝利が決まるとメンバーから一斉に「えー!」と驚きの声。勝った高雄も目を見開き信じられない様子で「びっくりしてます!」。沖は「元吹奏楽部だから」と冷静に分析していた。3組目は歌唱力に定評のある矢野。この3人と岡田を含め最終決戦に挑み、高雄と矢野が倒れ、甲斐と岡田の一騎打ち。最終的に元就を手にしたのは岡田。カメラ目線で「一生大切にします」と誓った。甲斐との師弟対決を終え満面の笑顔の岡田の表情も印象的だった。

 合間のトークでは、瀧野の足を擦っていた岡田。石田千穂は三本の矢の意味を福田から問われ「四本、五本とね」と珍回答で愛くるしさを見せるなど、それぞれ思い思いに楽しんでいたイベント。ここで沖がリハでも臨んだオタマトーンに挑戦。「ファンに不評で引退しようと思ったけど、『どうしても」と運営さんに言われて』と裏話をぽつり。いざ席に着き、奏でた。演奏を終わり「楽譜を渡されたのが昨日なんです。でもオタマトーン奏者としてのプライドをかけてやらせて頂きました」と胸をはった。

 その後は、これから実施される4本のスペシャル企画=記事別掲=を発表した。そして、今村が「今回のシングルで結成時からSTU48を引っ張って下さっていた岡田奈々さんの兼任が解除になります。そして、先日、2期生全員が昇格し、まさにSTU48の第二章が始まります。これまで以上にファンの皆さんに喜んで頂けるグループになりたいと思います」と意気込み。

 この日発表されたオリコンデイリーランキング1位の「ヘタレたちよ」を今度はこのステージで、遠くに臨む広島城をバックに披露した。全力で踊り切った面々。息を切らせ挨拶する福田の背中を撫でる岡田。「またお会いしましょう!」という掛け声に次ぎ、全員が「バイバイ」と手を振り、“中継”を終えた。

 高揚感のなか笑顔でステージを後にしていくメンバー。それを見守っていたのは多くのクルーと広島城だった。

驚く高雄

まだ甘えたい

 配信イベント終了後には岡田奈々と瀧野由美子が取材に応じた。

――今日を振り返って。

岡田奈々 6枚目シングル「独り言で語るくらいなら」の時に、リリースイベントに参加することが出来なくてすごくショックでした。兼任前最後シングルで今回こうして参加ができてすごく嬉しかったです。和気あいあいとしていたよね!(笑顔)

瀧野由美子 してました!(笑顔)

岡田奈々 広島城でのパフォーマンスも人生で初めてで、私たちにとっても、個人の思い出としてもすごく良い思い出になりました。広島城の前で踊るなんてたぶんこれが最後だと思いますし、STU48にいなかったら出来なかった経験ですので、すごく楽しかったです。

――瀧野さんはどうですか。

瀧野由美子 リリースイベントはコロナ禍になる前では、ハイタッチ会とかでファンの方と楽しんでいましたが、今回の広島城や前回は広島駅でパフォーマンスしたり、こういった瀬戸内の観光名所やたくさん人がいらっしゃる所でパフォーマンスが出来るのは、配信イベントだからこその企画なのかなって思います。今回もたくさんの方に観て頂いたので、シングルも含めて、改めて瀬戸内の良さをいろんな方に知って頂ける機会になったのではないかと思います。

――岡田さんと過ごす時間も徐々に減っていっていますね。

瀧野由美子 めちゃくちゃ寂しいですし、今日が終わったら奈々さんがいつ瀬戸内に来るんだろうって。(涙目)

岡田奈々 今のところ予定がないんだよ。

瀧野由美子 このシングルはまだイベントが続くので、その間にいっぱい瀬戸内でイベントだったり、色んな事が出来たらいいなと思います。

――岡田さんに甘えたいとも話していましたが、“ヘタレ”は卒業できない?

瀧野由美子 まだまだ甘えたいです。ヘタレからの卒業は、もう少し時間を下さい(笑)

――AKB48としては「根も葉もRumor」で岡田さんがセンター、そして「ヘタレたちよ」で瀧野さんがセンターということで、どこかで意識は?

岡田奈々 それはないです。ゆみりんが真ん中にいる事への安心は、デビュー当時から、このグループが結成される当時から思っています。今も安心感しかないです。

瀧野由美子 言葉にすると同じセンターということで一緒に見られるかもしれませんが、私が「センター同士だー!」と思うのはおそれ多くて全然思ったことがないです。岡田さんがAKB48でセンターを務めるのは「ジャーバージャ」(2018年)以来2度目で、1度目の時は私も選抜で活動させて頂いて、その姿を身近で見てきたので、学ぶことがたくさんありました。今回はテレビの前から応援していました。全部録画しています!

岡田奈々 え! 本当に!? 嬉しい!

瀧野と岡田

(おわり)

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