STU48今村美月

　STU48の今村美月が３月31日開催の卒業コンサート（広島国際会議場フェニックスホール）でアイドル活動に終止符を打つ。アクターズスクール広島出身者で、歌やダンスは高いポテンシャルを持つ。控えめでおっとりとした性格だがライブとなれば圧倒的なパフォーマンスで観る者を惹き付けてきた。情に厚く涙もろく、そしてよく笑った。活動７年の間には様々な困難もあったが２代目キャプテンとしてグループをけん引し乗り越えてきた。まさに功労者と言える彼女がいよいよ巣立つ。卒業コンサートを目前に控え、どのような心持ちでいるのか。【取材＝木村武雄】

兵頭葵ちゃんが２回泣いてくれて

――前回の取材のとき「まだ悲しさはない」と話されていましたけど、近づいてきてどうですか？

　卒業コンサートに向けたレッスンやみんなでの合わせも終盤になってきたんですけど、構成など自分自身が色々と考えさせてもらったので、寂しさというよりも早く届けたいという気持ちでワクワクしています。なので、あまり卒業に気持ちが傾いてない感じがします（笑）

――メンバーとはどうですか？

　ふとした瞬間に卒業することを実感してくれるメンバーがいたり、泣いてくれる子もいるので、自分もちょっと悲しくなったりもするんですけど、あまり普段と変わらない感じです（笑）

――ちなみに泣いたのは誰ですか？

　兵頭葵ちゃんが２回泣いてくれて、１回はお話し会に葵ちゃんのお母様がいらっしゃっていて、私に差し入れをくださったんです。その中にお手紙も入っていて「葵と６年間仲良くしてくださってありがとうございました」って。でも７年間一緒に活動してきたから「１年足りないね。１年は仲良くなかったから？」って笑い話にしようとしたら葵ちゃんが私の卒業を実感して泣き始めてくれて。それでも私は実感はないんですけど、周りのそういう姿をみると寂しくなります。

――残る方が寂しさを大きく実感すると思いますよ。副キャプテンの福田さんを始めみなさんとはどうですか？

　戸惑いも伝えてくれますが、たぶんみんな、マイナスに捉えずいい方向に持っていこうという気持ちの方が大きいと思います。卒業コンサートと同時に７周年コンサートやツアーについてみんなが案を出し合っていて。私は周年コンサートの打ち合わせには参加していませんし、内容ももちろん知らないので、そういうところでグループの一員として未来を見ている人と、そうじゃない人との差が出てきているなと実感します。不安に思っていると伝えてくれるメンバーもいるけど「どうなるんじゃろう」くらいで、その逆境をプラスに変えていこうとしていると思います。

――そうした打ち合わせに自分がいないっていうのはやっぱ不思議な感じですよね？

　そうですね。生写真撮影とかも私は新しく撮ることはないですし、他のメンバーには共通のスケジュールが入っていて、私にはそれがないことも多くなってきて。頑張れっていう気持ちっていうか。徐々に実感することはありますけど、やっぱり寂しいなっていう感じではなくて、今後のグループが楽しみだなという思いです。

「花は誰のもの？」という大きな波

――今村さんがこの活動の中で特にこの期間が印象に残っているというのはありますか？

　STU48号があった時期と「花は誰のもの？」のプロモーション期間の２回です。私たちの船上劇場ができたという喜びもありましたし、最初に多くのメンバーが卒業した時期がSTU48号があった時で「大好きな人」をリリースした後でした。１期生の子も多く卒業して、そうしたことも含めてすごく思い入れ深いものがSTU48号にはたくさん詰まっています。「花は誰のもの？」のリリース期間はたくさんの方に知っていただけたということがあります。楽曲が先行して知れ渡って、メンバーとして自分たちは何ができるんだろう？メンバー個々どうしたらいいのか？という課題も見えてきました。色んな方に曲を聞いていただけて嬉しい思いと同時に、課題も見つかった期間でした。

――あの時、残る身としては不安ありましたか？

　いや、そんなに感じなかった気がします。私は逆に奮い立つ方なので。

――「花は誰のもの？」でＮＨＫ紅白歌合戦に出場できなかったことがメンバーの気持ちに大きく影響を与えているんじゃないかと思っていますが、どうですか？

　素敵な曲をいただけて、プロモーションをたくさんしていただいているなかで、私たちは何ができるのかという、どんどん成長していく曲に対する私たちの…なんて言うんですかね。ギャップみたいなものというか…。未来を考えるきっかけになりました。

――あの１年は自然発生的に波が生まれてどんどん大きくなっていった感じはありましたね。

　表現するのがとても難しんですけど、自分たちで作った波かって言われるとどうなんだろう？って。でもやっぱりメンバーがいて歌を届ける身があってこそという考えもできるなと切り替えたり、でもどんどん大きくなっていく曲に対して自分たち自身ももっと大きくなれたらいいなと思いつつも留まってしまったという思いもあって。自分たちの力がまだ足りなかったと実感しました。でもそこから先をどう繋げていったらいいか考えていました。

――新しい年が開けて「Team. STU48」を掲げたのもそうした理由があってのことなんですね。

　そうです。一丸となっていこうっていう。

――そうした中での今のSTU48をどう見てますか？

　あの時と同じように多くのメンバーが卒業しますが、卒業によってより一丸となってやっていかなくちゃいけないという使命感みたいなものが一人ひとりに芽生えていると思います。なのでより一つになれるんじゃないかなって思います。

――メンバーはどういった存在ですか？

　支えられてきた７年間でした。本当に一人ひとりのメンバーにいろんな魅力があって、光るものがそれぞれ違う。それぞれに尊敬するところがあって、そんな部分が多い分、吸収できるものもあるし。全てに理由があるっていうか。そばにいても近くで見てて分かるメンバーの魅力があって、尊敬する人たちばかり。このメンバーだからこそ、支えてくれる人が多かったからこそここまでやって来られたと思います。

やり残してきたこと全てやる

――卒業コンサートはどんな感じに？

　STU48でやり残してきたことを全てやることと、アイドルをやり切るという２つのコンセプトで、誰が見ても満足してもらえるコンサートができたらと思っています。

――今までとは違う？

　自由にやらせてもらったので、見てくださる人の満足度が高かったらいいなと思います。

――ちょっとヒントを。

　私は、STU48のライブに出る時にアイドルのような曲に選ばれる感じではなかったんです。元AKB48の渡辺麻友さんが好きでSTU48に加入したので、最後はアイドルをやり切るブロックと、STU48でやり残したブロックはSTU48でやっていないものをやるという感じになります。

――仲が良かった元メンバーも出る可能性もある？

　今回のコンサートは自分がやりたかったものもあるんですけど、この先のSTU48が輝ける、良いと思ってもらえるようなことをやろうと思っています。

――やっぱり視点がキャプテンなんですね。

　これから先を考えると、今のメンバーでたくさんやった方がいいのかなって。卒業したメンバーを待ち望んでくださってる方々もいらっしゃるので私と特に関わりが深かったっていうか仲良くしてくれたメンバーは…本当に少数なんですけど…。笑って喜んでもらえるものになっているだろうなとは思ってます。

――残るメンバーに伝えたいことは？

　たくさん卒業生がいる中で卒業後の道標になれるような存在になれたらいいなと思います。いろんなメンバーが卒業して、STU48自体が変わっていくタイミングでいいグループになると思うので一ファンとして応援し続けたいです。

（おわり）

STU48 1stアルバム「タイトル未定」
2024年6月5日発売

今村美月卒業コンサート　
日時：2024年3月31日（日）　開場15:00 / 開演16：00
場所：広島県・広島国際会議場 フェニックスホール

今村美月ファースト写真集
タイトル：「月の位置」
発売日：2024年3月4日（月）
金額：2,700円＋税
発行元：東京ニュース通信社