足したかった70年代ロック、ハワード監督 音楽でみるハン・ソロ
INTERVIEW

足したかった70年代ロック、ハワード監督 音楽でみるハン・ソロ


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年06月28日

読了時間:約8分

初めてのギター、スター・ウォーズ音楽のパレットをうまく使い

――今回の作品で音楽の役割は?

 どんな映画においても音楽は重要ですが、特にスター・ウォーズ映画においてはとても重要です。ジョン・ウィリアムズ(ハン・ソロ テーマ曲、スター・ウォーズ オリジナル曲)は今回、全体のスコアをやる時間がなかったんですけど、でも、ハン・ソロ用に新しいテーマを書き下ろすということで、今回、ジョン・パウエルという作曲家が今回参加(作曲・編曲)しているのですが、凄くワクワクしながら、ウィリアムズのスコアを使っていました。ウィリアムズ自らが、パウエルをコンポーザーとして選んで下さったんですよね。

ロン・ハワード監督とチューバッカ(撮影=堤博之)

 そのなかで話し合ったのは70年代、60年代のアドベンチャー映画、それが強盗物であっても西部劇であっても、男っぽい無頼(ぶらい)派の雰囲気があったので、初めてギターを使っています。スター・ウォーズのスコアでは非常に珍しいですが、パーカッションも通常よりも多いです。あとロックンロールっぽいパーカッションを使っていたりしたのはユニークだと思います。同時に、スター・ウォーズならではのオーケストラをフルに使った曲、チューバッカのテーマもそうですし。あとは、ハイスト、強盗物と呼ばれていますけど、(トバイアス)ベケット(ハン・ソロの師ともいえるキャラクター)関連はハイストっぽいサスペンスフルなものになっています。ハン・ソロの曲も。

 でもファンの方だったら、他のいろんなスター・ウォーズ映画のメロディに気いてもらえると思います。帝国のテーマとか、ファルコンが惑星の間に隠れている時にかかっている曲とか。スター・ウォーズ音楽のパレットを上手に使いながら作曲家が新しいパワフルな楽曲を作りました。

――パーカッションが際立つ曲もあり、ラテンミュージックの要素が感じられたのは新鮮でした。

 ウィリアムズもパウエルに「より実験的に色々試して見なよ」という風に背中を教えていたし、「スター・ウォーズ映画のスコアという限界点をどんどん乗り越えていいんだよっ」て。スコアを初めて聴いた時にウィリアムズが凄く褒めていて、皆で「やったー!」って言っていて。でもやっぱりね、ファルコンとか懐かしのテーマが差し挟まれて流れるとワクワクするし、うまいなって。それでも、やりすぎないようには気を付けましたけどね。

知識が一切なくても楽しめる

 本作は、シリーズ、特にエピソード3や4との関連性を緻密に組み込みつつも、1つの作品として十分に楽しめるストーリー展開になっており、ハワード監督は「知識がなくても、他の作品を見なくても楽しめる」ことがアドバンテージになっていると語った。

――最後にメッセージを。

 ハン・ソロという映画は、スター・ウォーズの知識が一切なくても楽しめる、初めてのスター・ウォーズ映画です。いまいちスター・ウォーズってなんだろう。スター・ウォーズ映画に入ったことがない人にとっては最高の1本目だと思う。もちろん、キャラクターに対する知識がある人にとってはよりボーナスがある楽しみ方もあるけど、映画単体で考えた場合はそれがなくても十分に楽しめるアクションベンチャーものだし、(シリーズの)ほかの作品を見なくても大丈夫。それはアドバンテージだと思う。

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事