私からの嘆きのメッセージ、ましのみ 個性豊かなスタイルの秘密
INTERVIEW

私からの嘆きのメッセージ、ましのみ 個性豊かなスタイルの秘密


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年02月01日

読了時間:約14分

他の人がやってないことをやることが大前提

――きっと、もっと大きなところに目標があるからかもしれませんね。例えば世界平和とか。

ましのみ(撮影=村上順一)

 でも、そこまで大きなテーマはまだ定まってないかもしれないです。世界平和とかについてはまだ書けなくて、私という一つの軸を置いて、いろんなことを曲にしてみたいという感じです。難しいんですけど、自分も受け取り側として、押し付けたくないというのがあって、「私はこうだけど」と提示の仕方をして共感してもらえたらと思っています。いろんな、受け取り方、聴き方をしてもらえたら嬉しいです。

――では、こういったインタビューなどで楽曲の解説はあまりしたくないタイプだったり?

 そんなことはないですよ。聴かれれば全然解説します!

――語りたくないと言われたら聞くのをやめようと思ったのですが(笑)。では、例えば「名のないペンギン空を飛べ」は、なぜ沢山いる動物のなかでペンギンにしたのでしょう?

 まず、私がペンギンを好きだということと、ちょうど水族館に行った時に、ペンギンの解説を聞くことができまして。例えば、ペンギンはいつも上を向いているような感じですけど、これが基本姿勢なんだという豆知識を色々聞いて、ペンギンの歌を作りたいなあと思ったのがきっかけなんです。そこからペンギンと私にある軸を重ね合わせました。ペンギンの気持ちはわからないし、憶測で曲は書きたくないので、私と重ね合わせるのが前提になります。

――なるほど。ボーッとしている時にフっと曲が降りてきたりはしない?

 ボーッとしていて降りてくることはないですね。そこに何かしらの感情、例えば楽しいや辛いなど考えることがないと、出来ないと思います。ボッーとしていてもお腹が空いたら、そこから食べ物の歌ができるかもしれないですけど(笑)。

――きっかけが必要なわけですね。では「プチョヘンザしちゃだめ」もきっかけがあってできたわけですね。

 はい。観に行ったライブで、私の前にいたお客さんがバラード曲でも全身でノリノリだったんです(笑)。そこで「わあ、スゴい!」と思って、歌詞にある<どんな曲でもからだでリズムを取っちゃう>のワードが思いついたんです。そこから出来上がった曲です。あとは、人に喋るかのように言葉を書き綴っていって、そこから掻い摘んで凝縮して曲になることもありますし、先ほども言った、辛いという感情から曲になることもあるので、ケースバイケースです。

――あと、疑問に思ったのが割とひねくれたタイトルと言いますか「プチョヘンザしちゃだめ」や「ハッピーエンドが見えません」など、どこか否定的な感じもありますがこれは意図的に?

 割と自然にですね。一般的に捉えられているものを違う視点から曲にしてみたい、という思いがあります。みんな同じ方向から見て曲にしても、それは私がやっている意味がないなと思っていて。今は切り取られていない視点を常に探していて、それを身近なところで展開したいというのがあるんです。

――そういう風に思ったきっかけは何だったのでしょうか。

 もともと歌手という職業に対して、私が他の人がやられていることを、やっても需要がないなと思ったのが発端です。他の人がやってないことをやる、というのが私の活動の中での大前提なんです。

――オリジナリティを常に求めているわけですね。歌詞を拝見させていただいて、ユーモアがある中にも、すごく物事を考えている人なんだなと私は感じました。というのも、現代人はネットが充実したこともあり、考える力が弱くなってきている、一つの物事に対して深掘りしなくなってきていると思います。ましのみさんは深掘りするタイプだなと。

 確かに一つこれって決めたら、深く入っていってしまうタイプですね。私は全部をちょうどよく出来ないみたいで…。今、私は大学生なんですけど、大学生ってうまく力が抜ける人が多いじゃないですか? うまい具合に出席してスルッと単位を取得するみたいな(笑)。

――そうなんですか?

 遊びと勉強のバランスが上手い人が多いイメージなんです。私も大学生になったら、それが出来るようになると思っていたんです。でも、ちょっとでも手を抜いていいとなるとものすごく抜いてしまうんです(笑)。極端になってしまうみたいで。頑張ってそうなりたいんですけどね。やっぱり楽になりたいので(笑)。音楽にハマってしまうと、食事の時間や友達と遊ぶ時間ももったいないと思ってしまうくらい深く入り込んでしまって。

――だから学校に行くときはマスクをして誰とも話さずに帰宅する生活を?

 そうなんです。喋り出すと止まらないということと、すぐに声が枯れちゃうので。歌えなくなっちゃうのは嫌なんです。本当にテンションが上がっちゃうとセーブできなくて、体力がゼロになっちゃうので大学ではおとなしくしています。

――コントロールが大変なんですね。本当は遊びたいと思うことも?

 それもわからないくらいになってしまいました。

――長いこと遊びには行ってない?

 行ってないですね…。最近は遊びに行くというよりは、人と話をした方がいいなということがあります。なので月イチぐらいで大学のお友達とお話しをするようにはしているんですけど。

――月イチですか?! めちゃくちゃストイックですね。

 他のことをして音楽が出来なくなると、自己嫌悪に陥ってしまうので。音楽を作ったりしていると一区切りというのがなくて、ずっとやり続けてしまうので息抜きとか基本ないんです。普通はそこでゲームをしたりとかするのでしょうけど、それに生産性を求めてしまうんですよね。その時間を作曲に使った方が良いなとか。

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