ましのみ「学ぶことが沢山あった1年」変化した音楽への姿勢
INTERVIEW

ましのみ「学ぶことが沢山あった1年」変化した音楽への姿勢


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年02月19日

読了時間:約13分

 キーボード弾き語りスタイルで活動している女性シンガーソングライター・ましのみが2月20日、メジャー 2ndアルバム『ぺっとぼとレセプション』をリリースする。昨年2月に『ぺっとぼとリテラシー』でメジャーデビューし、約1年ぶりのフルアルバム。メジャーデビューにあたり、見たことのないリスナーと戦うといった姿勢で挑んだ彼女だが、活動を続けていく中で寄り添うという気持ちに芽生えたましのみ。寄り添うをテーマに制作された本作では、ボカロPの歩く人やGuianoなど同世代のクリエイターともコラボし、それによってさらに自分自身の姿勢に変化が訪れたという。その変化とはどのようなものだったのか話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

装備を固めて「戦う」イメージでデビューした

ましのみ

――昨年はメジャーデビュー、ワンマンの会場も着実にステップアップするなど、実りの多い1年だったと思いますが、2018年を総括するとどんな年だったと思いますか。

 思っていた以上に音楽的に伸びしろがあるなと感じた1年でした。もちろん伸びしろはまだまだあるとは思うんですけど、ちょっとした刺激でガンガン行けるお年頃なんだなと思いました(笑)。

――まだ21歳ですからね。

 そうなんですけど、自分の中では20歳を過ぎて、そんなにここから大きく変わることもないんじゃないかなと思っていたんです。でも、この1年間で音楽的にも人間的にも成長出来たなと感じているところもあるし、やりたいこともどんどん出てきて、まだ伸びしろの部分でいっぱいだったんだなって。

――音楽的な部分を具体的にいうと?

 デビューアルバム『ぺっとぼとリテラシー』が初めての全国流通だったということもあり、CDを届ける相手が全く想像できない感じでした。今までは何となくリスナーが見えていたんですけど、全国流通になってからは、言い方が悪いかもしれないですけど、敵みたいな感覚もありました。聴いてもらえるのか、もらえないのか、生きるか死ぬかの勝負で、装備を固めて戦うイメージでデビューした感じなんです。今でもその感覚はあるんですけど、大阪、名古屋、福岡などにリリイベで行ってみて、サイン会などでリスナーの皆さんと実際会って、SNSだけでは見えなかった人の気持ちが見えてきて、優しさが芽生えてきたんです。

――自分の作品がどう受け止められるのか怖かったんですね。

 そうなんです。なので「さあどうだ!」と戦う姿勢が強くて…。でも、それがわかってからリスナーの皆さんをエスコートしたいという気持ちが出てきて、今回のアルバムタイトルが『ぺっとぼとレセプション』になったんです。これが第一段階の考え方の変化で、この作品を作っている中でも、自分的には成長していけている感覚があって。

――ということはタイトルは割と早い段階で決まったわけですね。

 制作の中盤ぐらいだったと思います。でも、シングル「どうせ夏ならバテてみない? 」から「寄り添う」というテーマがあったので、それをもって楽曲は制作していきました。12月は楽曲の追い込みで怒涛の日々でした(笑)。

――追い込みが激しかったんですね。さて、アルバムの中身に行く前に、また今回も興味深いジャケットになりましたね。ペットボトルが700本というスケールが凄いです。

『ぺっとぼとレセプション』通常盤ジャケ写

 本当に大迫力で、みんなにも生で観て欲しかったぐらい凄かったですね。

――これ、ましのみさんがペットボトルに囲まれていますけど、中にどうやって入るんですか。

 ちょっとだけ隙間が開くようになっていて入れるんですけど、めちゃくちゃギリギリで(笑)。前作がペットボトル越しの感じだったんですけど、それは私という存在を突き刺したいという自己紹介的な感じでした。戦うという姿勢もあって、受け手と私の間にペットボトルを置いていたという感じもあるんです。でも今回は寄り添うということで、ペットボトルの世界へいざないたかったんです。最初は人間が入れるくらいの巨大なペットボトルを作りたいなと思ったんですけど、それは難しくて…。でもCG合成などは嫌だったので。

――ましのみさんは合成よりも本物を好みますよね。

 合成が格好良いと感じればそれでも良いんですけど、今は本物でやったほうが格好いいなと感じるものが多いんです。

――実際に本物でやったことによって、また違った熱量が生まれていますよね。これジャケット写真には上からのアングルと下からのアングルがありますが、どのような意図があったんですか。

 引き込むという意味で上からのアングルは撮りました。私は上からだけしか考えていなかったんですけど、デザイナーさんから「下からもいけるんじゃない?」とアイデアを出していただいたんです。それで日本に数枚しかない強化ガラスを足元に使って撮ってもらいました。これ凄い大変だったんです。カメラマンさんが私と同年代の方なんですけど、下から色々指示して頂いて。最初は「本当に出来るの?」みたいな感じでスタートしたんですけどね。

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