シンガーソングライターのましのみが11日に、東京・渋谷WWW Xでメジャーデビュー記念ワンマンライブ『ぺっとぼとリテラシー~別途ほとばしるショータイムへようこそ~Vol.1』をおこなった。ライブは2月7日にリリースされたメジャーデビューアルバム『ぺっとぼとリテラシー』の発売を記念しおこなうというもの。新譜を中心にインディーズ時代の曲からダブルアンコールで披露した処女作「夢ノート」まで全17曲を届け、オーディエンスを魅了した。【取材=村上順一】

一緒にもっと高いところまで行きましょう!

ましのみ

 SEが流れ、スクリーンには3歳頃のましのみの声で「大きくなったら歌手になりたいです」と無邪気な声で夢を語るところからスタート。会場後方から前方へ張られたラインを伝って“ぺっとぼとシャトル”がステージに向かって突き進む演出。拍手と歓声が舞うなか、滑稽なパーカッションの音に導かれるように、今回の主役であるましのみが登場し、バンドメンバー2人と「名のないペンギン空を飛べ」でワンマンライブの幕は開けた。心踊るサウンドと歌のコンビネーションで、一気に“ましのみワールド”へ我々をいざなった。

 ダンサブルな「灰かぶり姫」が終了すると、ここで一旦ステージを後にするましのみ。彼女が描いた自身の似顔絵と“ぺっとぼとシャトル”が会話するという、彼女らしい世界観のストーリーがスクリーンに投影。なんとも言えないほっこりとした時間にオーディエンスを和ませ、くるくると回転しながら、再びましのみがステージに登場し、耳に残るキャッチーなメロディの「Hey Radio」を投下。ハンドマイクでステージを幅広く移動しながらパフォーマンス。そして、エンディングでのアバンギャルドなコードワークが印象的な代表曲の一つ「ハッピーエンドが見えません」と高揚感を煽るナンバーでオーディエンスを楽しませた。曲の合間には彼女らしさが出ている瞬間のひとつである、2リットルのペットボトルで水を飲む姿も確認。

 再び“ぺっとぼとシャトルくん”との冒険の続きがスタート。翼が黒くなってしまった為、「ぺっとぼとリテラシー!」と叫ぶコールでオーディエンスからパワーをもらい、さらに高みを目指して飛ぶことに成功した“ぺっとぼとシャトルくん”とましのみ。キーボードでの弾き語りで聴かせてくれたのは「Q.E.D.」、そして「リスクマネジメント失敗」と、しっとりと情感豊かな歌を届ける。ましのみの表現力の幅を見せてくれたセクションだった。

 そして、地球に一時帰還したましのみは中国へ。そこから連想されるように「チャイニーズ再履修」を披露。スクリーンには中華料理など中国の景色などが投影され、楽曲のイメージを投影。続いて、<私の名前はましのみ♪>とコール&レスポンスで一体感を作り上げた「エゴサーチで幸あれエブリデイ」、開演前の映像でコールをレクチャーしていた「【サポートされていない恋愛形式です】」と参加型のナンバーで盛り上がっていく。

 ここで、元彼の置き忘れたものでリメイクする癖が直らないという、突拍子もない設定の一人芝居から「ナンセンスに逆戻り」を歌唱。体を弾ませるアッパーチューンでさらに盛り上がりをブーストさせ、「一緒にもっと高いところまで行きましょう!」と、キラーチューン「プチョヘンザしちゃだめ」へ。キラキラとした映像をバックに、それにも負けない輝きを放ちながらパフォーマンスする姿にボルテージは最高潮まで高まった。

前を向いていなきゃならない

ましのみ

 「不確かなものを信用すると後悔しそうで、あまり考えたくないんですけど、でも何かに繋がっている、いつか報われる、願い・幻想・奇跡とかを信じてもいいんじゃないかと思いました。なぜなら前を向いていなきゃならないから...。ましのみの作っているものに価値を見出してくれているから私は音楽を続けていられる」と告げ、ラストは「やりくりゲーム」を、星空の映像を背に、聴いてくれ人達と繋がり続けていられる未来を信じながら歌いあげる。オーディエンスもその歌を噛みしめるように聴き入っていた。

 アンコールの手拍子とコールに導かれ、再びステージにましのみが登場し「それ以外」をキーボードの弾き語りで歌い上げていく。そして、ゲストバンドが来ていると意味深な発言から「ましのみっしょん」へ。スクリーンにトランペットやドラムなど楽器を演奏するましのみが映し出され、それとセッションするかのようにパフォーマンス。途中、そのサウンドをBGMにグッズ紹介をする離れ業も見せた。アンコールラストは再びバンドメンバー2人を招集し、「はしゃぎ倒して帰ってください!」とアクティブな「ストイックにデトックス」で、溜まった毒を全て放出するかのようなテンション高めのパフォーマンスを魅せ、ステージを後にした。

 ダブルアンコールに応え、ましのみがステージに。ついに中国語の単位が晴れて取れたことを報告。お祝いモードのなか、「私はどんどん作る曲が変わっていくので、昔に作った曲は恥ずかしいからなかったことにしたいと思っていた」と明かす。

 さらに「歌手になりたいという夢が言えなくなったりとか、他のことを頑張っている時期があったりしたなかで今があるので、過去も大事にしなきゃなと思いました。過去の自分があって今の自分がいるとわかって、昔に作った曲も大切に想っていきたい」と語り届けられたのは、3年前に自身が初めて作った楽曲だという「夢ノート」を弾き語りで披露。一歩ずつ進んで行きたいという前へ突き進むアティチュードが詰まったバラードナンバーをエモーショナルに歌い上げ、『ぺっとぼとリテラシー~別途ほとばしるショータイムへようこそ~Vol.1』の幕は閉じた。

 彼女にしか出せない唯一無二の世界観はテーマパークのようなワクワク感がある。メジャーデビューし、さらなる次のステップへの期待が嫌が応にも高まったステージは、まさに音の楽しさで満たされた一夜であった。

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