コンサートで緊張したことない、東儀秀樹 偶発性を生かし楽しむ
INTERVIEW

コンサートで緊張したことない、東儀秀樹 偶発性を生かし楽しむ


記者:村上順一

撮影:

掲載:17年08月09日

読了時間:約14分

人から教わるのが嫌い

東儀秀樹

――その頃は音楽家ではなく、何になりたかったのでしょうか?

 スポーツの方がずっと好きだったので、プロゴルファーになりたいと思っていました。僕の世代では、小学生でゴルフをやる人はまだ誰もいなかったです。ただ、父親が商社マンで海外勤務だったので、僕は海外で育ちました。外国の雰囲気のなかでは、子供もゴルフをやるということが自然でした。父親が子供用のドライバーを作ってくれたくらいで、けっこう上手く球が当たったりして、このままプロになりたいと思っていました。

――ゴルフや音楽ではなくても、東儀さんだったら何をやっても、そこそこできてしまいそうですね。

 確かにそこそこできていました(笑)。人から教わるのが嫌いで、自分で楽しいと思ったところに“ストン”と入りたいと思っていました。それでイメージは先行しています。乗馬もやるのですが、最初に「初めてですか?」と言われたときに「いや、できます」と嘘をつきます。

――どうしてですか?(笑)

 絶対に何とかなる、という自信があるからです。「初めてです」と言ってしまうと、「じゃあまずは馬に慣れましょう!」ということで、なかなか馬に乗せてもらえないので(笑)。

――馬と戯れるところから?

 そう。慣れましょうと言って。そういう面倒くさいことは大嫌いで、すぐに楽しみたいと思っています。そうすると、「じゃあ馬場を適当に使ってください」と放ったらかしになるから、自分なりにやります。上手く走っている人をよく見て、「あれは自分だ」とリンクした気分にしておきます。「あの高さで膝を曲げて、あのタイミングで…」と観察するのです。

 それで「同じ人間なんだからできるんだ」と思ってやると、何とかなるものです。そこから楽しいことをスタートできます。全てにおいて、大体そんな感じで、自己流で楽しむということです。

――そのマインドは凄いです。あえて聞きますが、「これは駄目だった」ということはありますか?

 それが、いやらしいことにほとんど無いです(笑)。

――無いのですか…苦手なことなどは?

 真っ先に言えるのは数学です。数学の勉強はいつも駄目でした。嫌だな、というだけでメリットを見出せないままでした。やる気もないので上にも行かずに、いつも下にいましたね。

――理系や文系というタイプは、音楽に向き不向き、ということはあるのでしょうか?

 関係ないと思います。理系の人は、例えばジャズのテンションノートなどは、「これは11thで、13thで…」という風に、物事を組み立てるのが得意な理系的な頭をもっている人は早く覚えるだろうし、理系ではない人、僕みたいな人は感覚的だから「何番目の音」ではなくて「あの響き」と、指で音を探してしまうタイプです。どちらの導き方でもその音が出れば音楽は成り立つから、行き着くところは結局同じなのではないか、と思います。

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