TAKUYAがアマチュアバンドの大会に出場、なぜ?その真意を聞く
INTERVIEW

TAKUYAがアマチュアバンドの大会に出場、なぜ?その真意を聞く


記者:村上順一

撮影:

掲載:17年06月26日

読了時間:約14分

対戦して感じたアマチュアの問題点

インタビューに応じたTAKUYA

――コンテストを順調に勝ち進み、準決勝をクリアして次は決勝ですが、感触はどうでしたか?

 まあ、負けるかもしれないので(笑)。

――そういう結果も危惧している?

 もちろん。逆に、負けたら予定が1個なくなるからいいなって(笑)。もちろんバンドとしてはやりたいんだけど、個人的には。でもここまで来たら、あと1回勝てば…という。実際いまだに信じられないです。「そんなにハードルが低いの?」って。

――「このバンドはすごいな」と思う存在は今のところはいない?

 別に演奏は上手くなくて良いのですが、作曲のやり方が上手ではないというか、「そこがアマチュアなんだよな」という事は聴いていて思いましたね。3コードっぽく聴こえても、歌メロがこうあった場合はテンションがここにあってとか、音楽的にその方がよりリスナーに届く響きになるとか、アレンジのやり方とかもなんですけど、プロの編曲家とかプロデューサーの“メス”が入っていないという感じです。

――その“メス”を入れたら良くなりそうなバンドはいましたか?

 今の所はいませんね。皆もうちょっと勉強しないと、と思います。やりたい事はすごく分かるんです。日本にありがちなんだけど、やろうとしている事に対して音楽というものを見つめない、そこを一番後回しにしている感じなんです。みんな格好とか…それが一番早いですよね。あとは雰囲気とかばっかりやっていて“音楽”というのがあまり分からないまま、やっている感じがあります。

――ということは音楽理論は必要?

 理論は凄く必要です。ギターがボーカルと当たっている事をやっていても、気が付かないままやっていたりというのはよくあるんだけど、そういう事も誰も指摘しないし、自分たちもいまいち分からないという感じでやっているのが、ちょっともったいないなと思います。

――勉強していかないと難しい部分もありますし、耳の良さという部分も大事ですか。

 どうなんだろう。やっぱり意識じゃないかな? 俺なんかもむしろ悪かった方じゃないかな。耳コピーなんかもしていたけど、今思えば昔は合ってなかったと思いますよ(笑)。デビューをして、プロの現場で関わるようになってから、だんだんシビアになってきましたね。

――アマチュアの方は、やはりシビアな所まで捉えられていない?

 特に日本はそこが一番ダメだと思います。まずスタジオが吸音し過ぎなんです。だから、本来は演者同士が倍音とかの混じり方で「今の良かったよね」という感じになるんだけど、そういうのを全く消してるような状況で練習しているから。

――“デッド”過ぎる?(編注:響きがあるのをライブ、響気がないのをデッドと表現する)

 うん、そう思う。アメリカとかの方が、リハーサルスタジオとかではなくて、近所の誰かの家のガレージとか納屋で練習していた方が、よっぽどちゃんと響くから練習になると思うし、良いミュージシャンが生まれる率も上がりますよね。

――今回は予選をやっていく中で、他の方々から刺激を受けたという事は無かった?

 刺激というよりは、現状の日本のアマチュアの人はどんな風に思っているのかなというのが、僕の時代とどれくらい変わって、「今こんな感じなんだな」というのは、勉強になったかな。

――そこからTAKUYAさんがシーンに対して「何かをしていかなければいけないな」という使命感のようなものは生まれますか?

 そういう意味では、福岡スタジオ構想とか今もコツコツやっていますけど、日本のものというよりかは、アジア全体のとか、そういうレベルで貢献はしていかないといけないし、後続を育てたりもしなければいけない。もうちょっと雇用が生まれるような事もやらないとなと思って活動はしています。

――これから音楽のビジネスシーンはどうなっていくのでしょうか? 音楽が「情報」という形になってきているという話も聞かれます。その中で、TAKUYA and the Cloud Collectorsはどういった立ち位置でやっていくアーティストでしょうか?

 どこにも立たないでいこうかな、と思っています。そういうのと関わりを持たない雲のように、本当にクラウドの存在で良いんじゃないかと(笑)。

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