I Don’t Like Mondays.(アイドラ)が6月7日に、新作E.P.『SUMMER』を発売する。2012年に表参道で結成された、悠(Vo)、兆志(Gt)、謙二(Ba)、秋気(Dr)の4人組バンド。2014年にメジャーデビュー。とことんポップでキャッチーなメロディをベースに、ROCK・EDM・FUNK・ディスコミュージック・80’sをミックスさせるなど洋楽らしさを取り込みながらも、独自のサウンドを追及している。夏を意識したという今作は、新曲が3曲、代表曲の再録が3曲、DJによるリミックスが1曲という仕様となっている。「シンプルでもシンプル過ぎないサウンドにこだわった」という。彼らに新曲についての解説と、今現在考えていること、注目している洋楽やファッションについて語ってもらった。音楽だけに留まらない彼らの興味・関心は彼らのバラエティに富んだ楽曲サウンドにも影響しているようだ。
生音と打ち込みのはざまで
ーー新作E.P.『SUMMER』はどんな作品に仕上がりましたか?
悠 夏の海岸沿いを車で走るのに最も適した1枚じゃないかなと思います。そもそも、僕らもせっかく夏に出すならどういうものにするか、ということを考えて作曲をしたので。新曲に関しては暑苦しくなく、爽やかに夏を迎える事ができる様に、歌詞や音作りも考えて作りました。
作曲は4人でしています。歌詞は僕が担当です。若い世代は新しいサウンドに聴こえると思うんですが、40〜50歳の方にはどこか懐かしいものになっているんじゃないかと思います。
秋気 新曲は完成した順番に言うと「PRINCE」、「Shape of love」、「On my way」なんです。E.P.で言うと3曲目、2曲目、1曲目の順番。「PRINCE」と「Shape of love」は先に出来ていて、あと夏っぽい曲をもう1曲と思って作った「On my way」は、バンドサウンドが今まで以上に鳴ってるというか。
今まではバンドであるが故に、バンドっぽくない事をやる面白さを見つけてやっていたんですが、「PRINCE」とか「On My Way」は特にバンドサウンドに主軸を置く曲に仕上がったと思っています。
兆志 夏に相応しい楽曲ばかりなのですが、7曲それぞれの夏感があると思います。しかも、他のバンドにはそこまで出せないんじゃないかなという振り幅で。かつ、今まで出して来た音楽の延長線上にある、そんな1枚になっています。
謙二 新しい曲もそうなんですけど、再録されている「WE ARE YOUNG」、「Freaky boy」、「MEMORIES」など僕らの音楽は“夏に合う”とか“ドライブで聴きたい”といった反響が多いんです。ひと夏の思い出のお供にして頂ければ嬉しいですね。「Shape of love」のベースに関しては、複雑なんだけど複雑に聴こえないようにするということを徹底しています。どうしても複雑にしてしまうと、気持ち良いグルーヴにならないので。僕としてはそこに注目してほしいです。
悠 「Shape of love」は、前から原型はあった曲なんですよ。でも全然違うアレンジだったんです。ごりごりEDMみたいな感じでした。
兆志 前作の『FASHION』の時にはあったもんね。
悠 そうそう。それを寝かしていたんです。メロディは気に入っていたんですけど、そのままのアレンジで出すのは、今の僕らではちょっとやりたくなくて。だから大工事しました。とにかく今の僕らは「音の数を減らしたい」という話をしていて。
僕らが参考にしている海外アーティストは「凄い派手なサウンドだな」という印象の楽曲でも、よく聴くと音は少ない。一つひとつの音が洗練されているから、迫力とかグルーヴが生まれているなと。
その事は自分達もバンドをやりながら学んでいった部分なんです。昔のアレンジも含めて出来ていないところが結構あった。それを今の僕らが持っている感覚でどこまでできるだろう、という事を試した1曲になっています。
秋気 前からそうなんですけど、ドラムは「生音っぽい打ち込みをする」というところにこだわっています。ミュージシャンが聴いても生なのか、打ち込みなのかわからない音にしたくて。その為にハイハットやシンバル、シェイカーは生で録ったり…打ち込みだけでも、生音だけでも作れない微妙なニュアンスに挑戦しました。海外のミュージシャンでもやっている人はあんまりいないんじゃないですかね。それが楽しかったです。ドラムの打ち込みは自分でやりました。
悠 打ち込みは全員で一室(スタジオ)に集まって、意見を出し合いながらやっています。一度それぞれで「こんな感じ」というのを作って来て、それを4人で話し合う感じです。
ーー「Shape of love」はイントロが印象的でした。
兆志 イントロは元々無かったんです。僕は前のアレンジも好きだったので、チェンジする事に若干の抵抗があって(笑)。出来てから「よかった」と思えましたけどね。自分はギタリストなので、どの曲にも印象的なものを入れたいなと思うんですけど、この曲はやりようがなくて、「ギターどうしよう?」と悩んでいました。
そこで「イントロを適当に弾いてみたら?」と言われて、そこだけぐるぐる適当にやっていたら、ギタリストの手癖っぽいフレーズを「それいいじゃん」と皆が言ってくれて。それでフレーズが決まって、ポップなシンセを重ねました。それがマッチして面白かったですね。それも一室でやりとりしました。一室というのも変ですけど。
ーー「PRINCE」はいかがでしょう?
悠 これを作ったのは今年に入ってから。今まで僕らの楽曲って、結構明るくてノれるという曲が多かったんです。切なかったり、シリアスなものは意外と無くて。今年のイメージはメンバー2人が30代に入ったということもあって、今までの“踊れる”部分を出すだけではつまらないなと思ったんです。だから、真面目な部分など、そういう所にもフォーカスを当てたくて。それをビジュアルにもサウンドにも反映させていきたかったんです。
とは言っても、クソ真面目にしてもつまらないじゃないですか。だから“トロピカルなサウンドを使いながらもシリアス”というところを狙いました。大体そういう音だと明るい曲になりがちなんですけど、そこに切ないメロディを付けたんです。
謙二 僕はこの曲に関して言うと、ほぼシンセベースを弾いています。サビで長い音をボーンと。参考にしたのは、シンセベースがいくつか重なっていて、音が細かいグルーヴとそれを支えるスーパーロー(超低音)のバランスが気持ち良い楽曲だったんです。それをバンドでやっている人はいないだろ、と思って挑戦しました。
シンセベースは、聴く人の感じるグルーヴが全然違うんです。ドラムも一緒だと思うんですけど、残響の感じとかも違う。シンセベースはより音が締まって、前進していく感じ。その分暖かみは生に比べると無いですね。だからその曲がどういう風に聴こえてほしいか、というバランスで手弾き、ピック弾き、シンセを使い分けています。昔より幅が広がったかなと思います。
基本的にライブでシンセは使っていません。エレキベースにエフェクターを使ってシンセベースの音を出したりはしますけど。色々なベーシストと話をしていて思うのは、最終的に、弦で弾こうが、鍵盤で弾こうがベーシストとしての役割を果たす事の方が重要だということ。あんまりこだわりはないです。なので、いつかは曲によって鍵盤で弾く曲もあるかもしれないですね。
「PRINCE」 / I Don't Like Mondays.(Official Music Video)