4人組バンドI Don't Like Mondays.が8月21日、3年振りとなるアルバム『FUTURE』をリリース。本作は今年4月の「DO YA?」からの3カ月連続リリース楽曲と7月31日先行配信曲「DIAMOND」を全て収録した、全15曲のレーベル移籍後初アルバム。「ライブ曲で一番良いと思う感じを全て盛り込んだ」という、現在のアイドラを表した楽曲「DIAMOND」を筆頭に新曲が9曲、質を上げることにこだわった過去曲2曲の再収録も含むボリューミーな作品となった。メンバー4人の各曲へのこだわりについて話を聞いた。【取材=平吉賢治/撮影=村上順一】
改めてアイドラ“第一弾”とも言えるアルバム『FUTURE』
――7月22日のTSUTAYA O-WEST『FUTURE』リリース記念ライブの感触はいかがでしたか?
YU 新曲が入ったライブが久しぶりだったので、自分達にとって新鮮なセットリストで挑めました。みなさん初めて聴いた曲なのに、想像以上に盛り上がってくれました。「DIAMOND」や「CALL ME」を披露したんですけど、ライブに新しいセクションができたという印象です。「PLEASE」もショートVer. のギターアレンジで披露しましたが、思いのほか反応が良かったです。
――それらの楽曲が含まれる今作『FUTURE』のコンセプトは?
SHUKI 今作を作り出すきっかけが「DO YA?」からなんです。この曲は90年代HIP HOPをテーマに作って、次に出した「ZERO GRAVITY」は70年代ソウルと、昔の時代感のある曲をテーマにしながら、僕らの今っぽさと技術を使って新しいものを作るということを、全部の曲でトライしているんです。今作は曲調の幅も広いので、1本の筋を通すとしたら「何が共通しているんだろう?」と。僕らがやっていることが「最先端でイケてるぜ」ではなく、結局いままで僕らが新しいと思ってきたものも昔の影響を受けているし、そうやって時代がまわっていると考えていくうちに、それが一つの軸にできるテーマかなと思いました。それが結果“FUTURE”というものを作っていると感じまして。
――ジャケットにもそういった想いが込められている?
SHUKI 最初にアルバムのデザイン周りを作るときはビジュアル先行でタイトルも確定していなかったんです。そこに『FUTURE』というタイトルができたので、そのコンセプトを表しているものを一枚デザインしたいということで、このCDバージョンのソノシートという、昔のレコードをコンセプトに一枚作って、そういう流れで3種類のデザインが出来上がったという経緯です。
YU CD+DVD盤のジャケットは、写真のなかに写真があるという時代感を出して。もう一つのジャケットは白黒でと。
――最近はEPのリリースやストリーミングサービスでの発表など、ボリューミーなリリースは減少傾向にあると感じているのですが、今作は15曲入り盤という力作ですね。
KENJI 確かに時代はサブスクなどが主流になってきていて、配信で簡単に聴ける時代だからニーズに合わせる出し方もあるのでしょうけど、今回はパッケージという、自分達のツアーをやる上でも一塊としての物があると区切りになるし。それによってツアーがしっかりできて、新しい内容も提示できるので、こういうアルバムを節目で出すのは重要だと思っています。
YU 移籍して初めての盤ということで、改めて“第一弾”という感じもあります。
――「FUTURE (Introduction)」「0:01 (Interlude)」のようなトラックがあるとアルバムとしての物語感が出ていいですね。
SHUKI そうですね。曲順も最後まで悩んで悩んで…そこからこの曲順に必要な間奏なども作ろうというのも最後の最後だったんです。そこで重要視したのが「DIAMOND」を1曲目にやるということで。曲自体がいきなり始まる曲なので、その前にワクワクしてもらって「アルバムのスタート」を切れるような曲を頭につけようと考えて狙ってつけたんです。
YU 冒頭に「FUTURE」、間に「0:01」を挟むことによって、ひとつのライブのセットリストのようなアルバムになったんじゃないかなと思います。
――曲順が凄く良いという印象を受けました。「ZERO GRAVITY」は後半にくるのかなと予想していたのですが、5曲目にあると非常に良い流れで。
YU 確かに初期段階の曲順の予定ではかなり後半でした。「DIAMOND」も初めのほうではなかったし。結局一周してこの曲順になりました。「曲が一番良く聴こえる場所はどこなんだろう?」と、何回も聴き直して。
SHUKI それで気付いたら「DO YA?」とか「UP TO U」とか、配信の曲が固まって。曲順を決めたあとに気付いたんですけど。
YU あと、過去曲は新曲に挟まれているんです。「LEMONADE」も「A GIRL IN THE CITY」も「TONIGHT」も。そういう組み合わせで、ファンの方々からしたら僕らがライブでよくやっている曲が改めて新鮮に聴こえるようにと。パズル的に相当考えました。
――先行配信曲「DIAMOND」はどういった位置づけの楽曲でしょうか?
YU 僕らのライブでの楽しみ方って、一緒に踊れたりするのがいままでメインだと思っていたんです。それと、みんなで一緒に歌えるセクションがあると自分達も幸福感が得られるというか。その場を共有できる良いツールだなといつも思っていたんです。そういうのを大事にしていて、今までの僕らのライブ曲で一番良いと思う感じを全て1曲に盛り込んだらどうなるかということで「DIAMOND」を作りました。騒げるセクション、歌えるセクションもありつつ。この1曲で僕らのライブを体感できる曲になっていると思います。移籍第一弾フルアルバムなので、これを機に新たに僕らを知ってくださる方々にも、「I Don't Like Mondays.ってどういう音楽なんだろう?」というのをわかりやすく見せたいという思いもあります。
――そんな「DIAMOND」の前のシングル、「UP TO U」のMVは衝撃でした。
CHOJI 何も映像ないですよね(笑)。
KENJI 放送事故かなと思いますよね(笑)。
YU 映像を付けてもいいかなと思ったんですけど、歌詞が僕らにしては珍しいくらい物語調というか、情景を切り出した言葉になっているんです。僕らが出演したり、ドラマ仕立てにすると曲の世界観を壊すなと思いまして。MVの最後にメッセージが出るんですけど、それも含めて「UP TO U(up to you=あなた次第)」という曲なんです。頭の中に流れる映像がMVですよと。
――逆に「他のMVはどういうのだろう?」と、興味がそそられますよね。新曲「DIAMOND」のMVのコンセプトは?
SHUKI 曲が壮大だしスピード感もあるので、室内で撮るより外で撮ろうという案が最初に出ました。
――CHOJIさんが車でアコギを構えているシーンが格好良いです。
CHOJI 撮影はけっこう過酷だったんです。2泊3日くらいやったんですけど、天気がよく変わる場所だったので大変でした。
YU 大変なことも多かったんですけど、思い描いていたような映像ができました。
KENJI あと、リリックを初めて出しました。
――あれはYUさんの手書きのもの?
YU アニメーターデビューしました(笑)。iPadで手書きしたりして。ずっと同じようなものじゃつまらないから字体を変えたりして。そのバランスは大変でした。
――YUさんは「制作」という行為が好きだと以前仰られていたので、楽しくやったのかなと。
YU そうですね。でも、あそこまでやらなくても良かったのかなとも(笑)。
KENJI カット割りとか同時並行でやっていて苦しみながらやってました。
YU だから僕らのMVのなかではシンプルな映像のはずなんだけど、編集は一番時間がかかりました。まるまる3日くらいやって、2日くらい徹夜でしたから。
I Don't Like Mondays. / DIAMOND