今までやってきたバンドにも絶対に負けてない
——今のメンバーに決まったきっかけは何だったのでしょうか。
TAISEI SAは僕が高校生の時に結成したバンドなんだよね。高校3年間、バンドをやって解散して東京に出てきたんだよね。それから何年かして、もう一度SAをやるってことになったんだけど、僕一人のプロジェクトとして展開していたんだよね。それで、NAOKIちゃんと知り合って、「2人でやろうか」と話になった時に、僕のプロジェクトからちゃんとバンドでやろうという話になって。それで、ドラムは誰にしようとか、ベースは誰がいいかとか、NAOKIちゃんと話し合って決めていったんだよね。
——そこはSAのターニングポイントになりますよね。
TAISEI ターニングポイントだね。
NAOKI 2001年の晩秋に呼ばれてその話をしたんだよね。
——NAOKIさんは即答だったんですか。当時はCOBRAというバンドもやっていたと思うのですが。
NAOKI もう即答だよ。「やろう!」って。COBRAはもう結果が見えていたんだよね。幕を引く感じがさ。TAISEIと競演は何度もやっていたから、このボーカル力とパフォーマンス力があれば、今までやってきたバンドにも絶対に負けていないという思いもあったしね。「これが最後の悪あがきや」で40代頑張れるかなと思ったら、もう50代になっちゃったと(笑)。
——この15年の中で解散の危機はあったのでしょうか。
NAOKI そういう空気感に追い込まれるようなことは1回もないね。ただ、メンバーの中には、自信を強く持てるまでは気持ちが揺らいでる時もあったみたいだけどね。でも、決してそのことは声には出さず、やって来た。何でかは確実なことは分からないけど、メンバー自身が、SAが持っていた将来性を信じてたからかもしれないね。バンドは一個一個成長しているんですよ。野音だけがすべてじゃなくてね。海外でもそうだし、どんな小さなイベントに呼ばれても、ライブを常に何百本もやってきたということの積み重ねが、そうさせてるんだろうなと思うんだよね。
——SAというバンド名は“aka. Samurai Attack”という名前の頭文字ですが、海外で受けそうなネーミングですよね。これはTAISEIさんが高校時代に名付けた当初から、海外進出を想定されて付けたものでしょうか。
NAOKI “aka. Samurai Attack”は海外進出用の後付けなんだよね(笑)。
——そうなんですね。ではSAというバンド名はどこから付いたのでしょうか。
TAISEI “S”から始まるバンド名って良いなと思ったんだよね。当時“S”から始まるパンクバンドって多かったじゃない? 当時のメンバーに「どうする?」と聞いたんだよね。SAという曲が当時あってSAで良いんじゃないとなってSAになっちゃったんだよね(笑)。基本的に俺はバンド名は何でも良かったんだよね。実際当時のバンドは割と何でも良いっていう人多かったよね。後付けで色々考えてるみたいだけど(笑)。
NAOKI まさかここまで連れ添う名前になるとは、思わなかったんじゃない(笑)。あの時の思い出で終わらせても良かったかもしれないのにね。
TAISEI このSAという名前を31年背負ってきちゃったからね。
——ちなみに野音はひとつのゴールとしておこなったライブとのことなのですが、現在はどこをゴールとされているのでしょうか。
TAISEI どこなんでしょうね。まだ走っている途中だしね。ゴールは変な話、もう死ぬ時じゃないかな。「あんたやったよ。よく頑張った」と言える時だと思うんだよね。そこまでは走るしかないなと思うんだよね。野音は14年間のゴールだったけど、30代の後半ぐらいはすごくしんどかったよ。体力も落ちてきて人生のことも考え出すしね。今なら音楽以外の世界に引き返せると思っていたよ。それを諦めることを諦めたわけだからね。
NAOKI そうだね。
TAISEI まあ、日本武道館とか東京ドームとか場所の話はあるのかもしれないけど、もうそこではなくなっているような気がするね。14年のSAは場所としてのゴールテープは切らなければいけないと思ったんだよね。1回ゴールテープを切らないと人間は走れないね。野音で42.195キロを走ったんだよね。だから、もはや次のゴールは次の大会ではなくて、人生というゴールになるんだよね。50歳に近くなるとさ良い意味でも悪い意味でも、人生の終焉というものがちょっとずつチラついてくると思うよ。ネガティブなことではなくて考えるべきだと思うね。死ぬまで走れたらそんな最高なことないじゃない!?
NAOKI 他の仕事をする気もないしね。2人とも家庭も持ってないし孤独死でしょう(笑)。それぐらい音楽でやっていこうと定めたんだよね。このバンドで生きていきたい。メンバーの誰かが倒れたら終わりかもしれないね。
TAISEI そうかもしれないね。