ピーハツなライブを繰り広げたパンクロックバンドのSA(撮影・MAYUMI-kiss it bitter-)

 パンクロックバンドのSAが1月29日に、東京・赤坂BLITZで全国ツアー『LOVE‘N’ROLL TOUR』のファイナル公演をおこなった。10月19日にリリースしたフルアルバム『WAO!!!!』を引っ提げて全国22公演をおこなうというもの。「さらば夜明けのSkyline」やニューアルバムから「ピーハツグンバツWACKY NIGHT」など、アンコール含め全22曲を熱唱。生き様をぶつけたような、魂が込められた“ピーハツ”な熱いSAサウンドでオーディエンスを魅了した。ライブの最後には、4月1日・2日に京都磔磔でSA主催イベント『SA presents KYOTO GENE BARKIN‘』の開催、更に、4月20日には恵比寿LIQUIDROOMで『SA presents BIG TOP』をおこなうことも発表した。

つまんねえ大人なんかになりたくねえよな!

TAISEI(撮影・MAYUMI-kiss it bitter-)

 開演時刻が近づくにつれ、フロアがオーディエンスで満たされていく。少しレイドバックしたロックなBGMが、静かにライブの始まりを促すようだった。定刻を少々過ぎた頃にBGMはクレッシェンドしていき、オーディエンスから盛大なSAコールと手拍子が巻き起こった。闘争本能を掻き立てるSEが高らかに鳴り響き、NAOKI(Gt)KEN(Ba)SHOHEI(Dr)の3人がステージに登場。その少し後にゆっくりとTAISEI(Vo)もステージに。

 ツアーを象徴するテーマソングと言っても過言ではない「CLUNKER A GO-GO」でライブの幕は開けた。「GO WEST!」とオーディエンスも拳を突き上げ、バンドも、あたかもツアー車に乗ってアクセルを全開で走っていくような、疾走感溢れる爽快なビートで突っ走る。続けて2曲目の「槍もて弓もて」でさらにテンションを高めていく。TAISEIも間奏で「暴れろ、暴れろ! いけ!!」と煽り立て、NAOKIも「ナメんなよ」と曲終わりに捨てゼリフを飛ばす。

 SAコールがフロアから放たれるなか、TAISEIは「よく来たな! 2017年SA決起集会へようこそ!! 今日は“やんちゃ”なところ出しちゃっていいから」と投げかけ、さらにTAISEIがNAOKIのギター伴奏にのって「拳は熱いか!?」と熱の入ったメッセージを届け「runnin’ BUMPY WAY」へ流れ込む。SHOHEIが繰り出す2ビートの疾走感溢れるダイナミックなドラムサウンドと、KENの笑顔全開のアグレッシブなベースサウンドが、オーディエンスの体に刺激を与えていく。NAOKIもオーディエンスの盛り上がりを確認し、笑顔でギターソロを決める姿が印象的だった。

 MCではNAOKIが「22本目、やれることは全部やったツアーでした。器用なのか不器用なのかわからない。お前たちにこの思いは伝わっているのか、とすごく戦った」とツアー柱も自問自答していたことを話し、TAISEIもまた「このメンバーで今年16年目、離れていく奴もいると思うけど、新しく出会えた奴らもいっぱい来てくれていると思う。出会いと別れを経験しながら、できれば経験したくないけど、そういうことを経験しながら、この15年を走ってきたと思う。男と女の別れも悲しいけどさ、男同士の別れはもっと寂しいぜ!」と語り、<またここで会おうぜ♪>の言葉が心を打つナンバー「Andy」を披露した。多くのコムレイズ(SAファンの名称)たちと、出会いと別れを繰り返してきたこの15年を物語っているような楽曲は、静かに会場にいる人々の心を震わせているようだった。

 TAISEIが「ここから上げていきますよ!」と宣言し、立て続けに「WONDER WORKER」、「サマーホリディズスカイ」、「RALLY-HO!」とキラーチューンでNAOKIも「超楽しい! 超気持ちいい!!」と笑顔。さらにここから、オーディエンスたちの歌声も煌びやかに響き渡った「YOUR DOOR」を届けた。TAISEIが何かを訴えかけるように胸を叩く姿が印象的に映った。

 3度目のMCではTAISEIが「15年活動してきて赤坂BLITZは初めてのハコ。俺たちは倍々ゲームでいくわけにはいけないなと楽屋で話していた。SAは一歩一歩を踏みしめて前に進んでいくバンドだと思います。一瞬一瞬その時々の景色を一緒に見られたら最高だと思う。15歳でロックやパンクに頭バカーンとやられて、50歳になってもこのリーゼントが好きで、こんな服が好きで、こんなサウンドが好きでまだステージに立っているよ! 19歳で東京出てきた時に言った言葉、その言葉を今思い出せ!“つまんねえ大人なんかになりたくねえよな!”」と熱く語り、「さらば夜明けのSkyline」へ。TAISEIの上京から30年を経ても変わらない志が、楽曲のメッセージ性をさらに高めていくようだった。オーディエンスによる「ラララ〜♪」のシンガロングに乗って、TAISEIの<Goodbye Skyline♪>と魂が込められた歌声が赤坂BLITZに響き渡った。

 「誰が為の人生だ」では力強いメッセージとともに、生き様を楽曲に乗せて届け、「はじめてのバラード」ではしっとりと世界観を変え、言葉を噛み締めるかのように大切に歌った。オーディエンスも静かにステージを見つめながら、その歌とサウンドを浴びるように佇んでいた。

SAなりのパンク、ジャンルはSA

ライブのもよう(撮影・MAYUMI-kiss it bitter-)

 TAISEIは「22カ所を回って、この曲はパーソナルなことではなく、コムレイズのことを思って歌うようになった曲です。俺たちの曲であり、おまえたちと俺たちの曲になりました。偏見を持たずに可愛がって下さい」と、「はじめてのバラード」がツアーを経て、大きく捉え方が変わった曲だと説明した。

 そして、「16年目もガツガツ、ドカドカで攻めていきます。パンクの枠の中にいるのは楽チンでみんな優しいでしょうよ、だけどSAなりに羽目を外して、SAなりのパンク、ジャンルはSAでいきたい。俺たちのスローガンは否定をするな! 受け容れろ」と力強く宣言し、「東京かかってこいや!」と「DON'T DENY GIVE IT A TRY!!」、「GET UP! WARRIORS」、「情熱WINNER」と珠玉のアッパーチューン3曲を惜しみもなく投入。オーディエンスのボルテージは最高潮に。

 「東京、最強にハッピーだ! バリバリハッピーに笑顔で行きませんか!?」と「START ALL OVER AGAIN!」へ。TAISEIが「手を挙げろ! クラップユアハンズ!!」と投げかけ、揃った怒涛のクラップが会場を包み込んだ。オーディエンスとバンドの一体感で作り出した空間は、清々しさをも感じさえてくれるようだった。そして、アルバム『WAO!!!!』のオープニングを飾る「ピーハツグンバツWACKY NIGHT」でピーハツ感溢れるなか、本編を終了した。

 アンコールを求めるSAコールとホイッスルの音が響き渡るなか、再びメンバーがステージに登場した。TAISEIは「ツアーは楽しいと言えるばかりじゃない。ツアーは体もシンドイし色々あると思います。でも今のSAコールで、色々言おうと思ったけど全部吹っ飛んじまった!」とオーディエンスの声に感化された様子。NAOKIは「ここまできたら生き様なんですよ。ビッグスマイルで茨の道を行くしかない!」とポジティブに苦難の道を進むことを話し、TAISEIも「出来る限りでいいから、笑顔でいこうぜ!」とNAOKIの言葉を後押し。さらに「コムレイズとニューコムレイズに愛をもらいました。今年もお前らを裏切らないようにやっていきます!!」と約束し、ツアータイトルでもあるナンバー「LOVE'N'ROLL」を届けた。

 ミラーボールが天井で回転し、会場は紫色に染め上げられた。<愛でもくらえ♪>とパンチのあるサウンドと歌声が会場に満たされる。ラストは「GO BARMY KIDS」へ。フロアからはビートに合わせ、掲げた拳を左右に突き上げ、間奏ではTAISEIの「となりの奴と肩を組め!」と投げかけると、隣同士で肩を組み大団円を迎えていった。ラストはSAコールをリフレインし、全国ツアーの幕は閉じた。

 最後に、SA主催イベント『SA presents KYOTO GENE BARKIN'』を4月1日と2日の2日間、京都磔磔で開催することと、『SA presents BIG TOP』が4月20日に東京・恵比寿LIQUIDROOMでおこなうことも発表した。(取材・村上順一)

セットリスト

LOVE'N'ROLL TOUR
1月29日 東京・赤坂BLITZ

01.CLUNKER A GO-GO
02.槍もて弓もて
03.KIDZ IGNITE
04.runnin’ BUMPY WAY
05.ケリをつけろ
06.WATCH ME
07.Andy
08.WONDER WORKER
09.サマーホリディズスカイ
10.RALLY-HO!
11.YOUR DOOR
12.さらば夜明けのSkyline
13.そしておまえは新しくなる
14.誰が為の人生だ
15.はじめてのバラード
16.DON’T DENY,GIVE IT A TRY!!
17.GET UP!WARRIORS
18.情熱WINNER
19.START ALL OVER AGAIN!
20.ピーハツグンバツWACKY NIGHT

ENCORE

En1.LOVE'N'ROLL
En2.GO BARMY KIDS

ライブ情報

SA presents KYOTO GENE BARKIN’
日時:4月1日(土)、2日(日)
会場:京都磔磔
詳細発表:2月下旬

SA presents BIG TOP
日時:4月20日(木)
会場:恵比寿 LIQUIDROOM
開場 18:30 開演 19:15
前売り(税込み) 3900円 (ドリンク代別)
当日 (税込み) 4400円 (ドリンク代別)

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