新たな一歩を踏み出したLAMP IN TEREEN(撮影・山川哲矢)

新たな一歩を踏み出したLAMP IN TEREEN(撮影・山川哲矢)

 長崎出身4人組ロックバンドのLAMP IN TERRENが11月19日に、東京・赤坂BLITZで全国ツアー『TOUR“11” L.A.P』のファイナル公演をおこなった。ツアーは11月1日の熊本DRUM B.9 V2を皮切りに全国11公演を巡る。この日のファイナルは未発表曲や新曲も多く取り入れ、「innocence」や「L-R」などの代表曲などアンコールを含め全19曲を披露。序盤からアクセル全開で感情の赴くまま演奏。新たな扉を開けたライブとなった。

絶対忘れられない1日にします

松本大(撮影・山川哲矢)

松本大(撮影・山川哲矢)

 ステージの後方には『TOUR“11” L.A.P』のフラッグが掲げられていた。定刻を少々過ぎたところで、暗転するとメンバーがステージに登場した。中原健仁(Ba)がステージ前方まで歩み寄り、集まったオーディエンスに向かってお辞儀。ブルーのライトが後方からメンバー4人を照らす中で始めたのは「メイ」。序盤から張り裂けそうな松本大(Vo.Gt)の歌声が高らかに赤坂BLITZに響き渡る。アカペラ部分での感情の込めかたは1曲目とは思えないほどの力強さを感じた。

 松本が「ここにいる全員と今日しかない絶対忘れられない1日にします。最後までどうぞヨロシク!」と投げかけ、「キャラバン」へ。いつも以上に感情をさらけ出し叩きつける。「ボイド」ではサビ前で煽る中原に呼応するように、オーディエンスも手を掲げ応戦。バンドが奏でる心をえぐるようなサウンドに酔いしれた。

 そして、新曲の「at(liberty)」を披露。松本と大屋真太郎(Gt)のツインギターが絡み合い混沌とした世界観を演出、そこにしっかりと大地を踏みしめるような川口大喜(Dr)のドラムに、中原の太くうねるベースが絡み合い、LAMP IN TEREENにしか出せないシリアスさを展開していく。

 ここから、「雨中のきらめき」、「reverie」とミディアムナンバーのセクションへ。短編小説でも読んでいるかのような、ストーリー性をこの2曲で観せる。この流れから運命を問いた楽曲「innocence」へと流れ込む。曲順によって大きく楽曲のイメージが変わっていくのを感じた瞬間でもあった。「innocence」の持つ曲のスケール感がひと回りもふた回りも大きく感じた。

 松本がギターを置き、ハンドマイクで歌い上げた未発表曲「不死身と七不思議」。リズムに乗りステージを飛び跳ねる松本。軽快な楽曲は先ほどまでの空気感を一気に断ち切った。続いて「時の旅人」へ。細い線状のライトが瞬く星のように点滅。そして、回転するミラーボールが旅人を見守る月のように輝く。

 「この曲を聴いた誰かが少しだけ優しい気持ちになって、その気持ちで誰かに触れた時、それもまた伝染して行ってそして、世界が変わるようなそんな気がして…そんな想いでこの曲を作りました」と松本が曲に込めた想いを語り、松本初のラブソング「pellucid」を披露。温もりのある優しい歌声で歌い上げる松本の表情は今までとは違う趣を見せる。甘酸っぱいラブソングにオーディエンスも静かにステージに耳を傾ける。

改めて自分を見つめ直すことができた

ライブの模様(撮影・山川哲矢)

ライブの模様(撮影・山川哲矢)

 MCではツアーの話で盛り上がる。川口のイビキがうるさかったこと、中原がツアー先での散歩で遅刻したこと、大屋の東北地方で薄着で過ごそうとしていたことなど、ツアーの思い出話しに花が咲いた。後半戦は松本の「ひとまわり大きくなった我々のバンドサウンドでおみまいしてやろうと思うぜ!!」と力強く投げかけ、「林檎の理」、「ランデヴー」とアッパーチューンで畳み掛けて行った。ステージに向かって手を差し伸べるオーディエンスの姿は、「ランデヴー」の歌詞にもある<望む未来>を掴もうとしているようにも見えた。

 「multiverse」はオーディエンスの声とともに完成していく楽曲。メンバーもその声の持つ大きなエネルギーに笑顔を見せる。バンドとオーディエンスとの一体感がさらに高まった瞬間であった。そして、「みなさんが見失わないように光を放ちます」と「heartbeat」へ突入。<息をしていますか♪>そんな当たり前の問いかけに、当たり前じゃない何かを感じさせてくれたようだった。自分が生きていることを楽曲を通して教えてくれているよう。続いて、ランプの明かりが灯り、「緑閃光」へ。松本の歌声はさらにエモーショナルになり、それをバンドサウンドが包み込んでいくようだった。

 松本はバンドの10年を振り返った。「LAMP IN TEREENさんという人が10歳みたいです。おめでとうございますみたいな...ライブもあまりやらず、長崎で曲作りをして楽しんできた期間がほとんどで、初めての全国流通盤を出したのも2年前だし、10年と言われてもピンとこない」と自身もファンのみんなと同じような気持ちでいることを語った。「僕らの音楽を愛してくれる人たちとどうやって向き合えばいいのか、このツアーずっと考えていました。改めて自分を見つめ直すことができました。今日から(バンドは)0歳でもいいくらい。もっと皆さんと共有していられる、そういう日々を作っていきたい。それが皆さんにとって誇りになるような、そういうバンドになります!」と決意を新たにした。

 「今日また新しくこの世界生まれたような気持ちで、僕らが始まった最初の曲を最後にみんなで鳴らしてください」と話し、本編ラストは「L-R」を松本の並々ならぬ思いが宿った歌声が会場に響き渡る。眩い光に包まれたメンバーの姿は、光溢れる新しい世界へ向かっていくようにも見えた。

LAMP IN TEREEN(撮影・山川哲矢)

LAMP IN TEREEN(撮影・山川哲矢)

 アンコールを求める手拍子。しばらくするとステージに戻ってきたメンバーたち。中原は「みんなと作り上げるのがライブ、このツアーでわかったことです」と語り、まだ名もなき新曲を披露。松本は「ギターの難易度が高い曲なんだよね」とにやける。楽曲はビート感のある、爽やかで開放感があふれていた。ラストは「ワンダーランド」を全身全霊で披露。この10年間の全てをぶつけ、無に帰っていくような演奏でライブの幕は閉じた。

 新たな一歩を踏み出したLAMP IN TERREN。過去と未来が混ざり合ったライブは次の展開への期待感を感じさせてくれた。この先の道のりは平坦ではないかもしれないが、この4人ならそれを乗り越えていけるだろう。生まれ変わった彼らのネクストステージを待ちたいと思う。(取材・村上順一)

セットリスト

LAMP IN TERREN『TOUR“11” L.A.P』
11月19日 赤坂BLITZ
01.メイ
02.キャラバン
03.Sleep Heroism
04.ボイド
05.at(liberty)
06.雨中のきらめき
07.reverie
08.innocence
09.不死身と七不思議
10.時の旅人
11.pellucid
12.林檎の理
13.ランデヴー
14.multiverse
15.heartbeat
16.緑閃光
17.L-R
encore
en1.新曲
en2.ワンダーランド
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