NOISEMAKER主催『CIRCLE OF US Fes 2016』、5年越しの熱い夜
NOISEMAKER、5年越しの思い
coldrainの余韻がまだまだ強く残るペニーレーン24。いよいよ、この『CIRCLE OF US Fes 2016』のホストバンドNOISEMAKERの登場だ。先にステージを終えた2バンドのパフォーマンスの素晴らしさも後押しして、満員の会場は何かが起こりそうな異様な雰囲気に包まれている。HIDEのチューニング違いのギターが3本並ぶステージから、果たしてどのようなセットリストで挑んでくるのかに俄然期待が高まる。すっかりお馴染みとなった「Back to the Future」のテーマに乗ってメンバーがステージに板付いていく。このフェスをオーガナイズする彼らを迎える地元のオーディエンスも、どこか誇らしげだ。
この日のステージは、5月25日発売のフルアルバム『ROAR』に先駆けて1月にリリースされた「Butterfly」で幕をあけた。並々ならぬ思いでこの日を迎えたであろうメンバーの表情は意外にもリラックスしている。サビの歌詞が今日は一段と彼らにリンクして、1曲目からグッとくるものがある。「Her Diamond」ではAG(Vo)が先ほどのMasatoのMCに応える形で会場を煽り、「Heads and Tails」はイントロから大合唱。そしてジャンプ。多くのイベントや夏フェスに出演し結果を出してきた裏付けのある演奏は一層の安定感を増している。
MCではホームというリラックスした雰囲気の中、今日このイベントを開催できた喜びを素直に言葉にするAGにオーディエンスも大きな拍手で応える。そして、5月25日に発売するメジャー移籍後1stフルアルバム『ROAR』より「Flag」を札幌初披露。3月に開催されたFX2016でも福岡初披露だったにもかかわらず、その日一番の盛り上がりを見せたキャッチーなロックナンバーだ。やはり、ここ札幌でも最高の盛り上がりを見せる。相変わらずNOISEMAKERはこういう曲の処理が抜群にうまい。
続く「DRIFTING CLOUDS」では開放感のあるサビが会場をどこまでも突き抜ける。中盤ラストのこのタイミングで放つ、彼らの出世作とも言える「THE NEW ERA」で更にもう一段階ヒートアップするペニーレーン24。切れ味鋭いエッジの効いたリフが冴え渡る。自分たちの主催でこうしたイベントを行えたこと、参加してくれたcoldrain、FROM DAY TO DAY、この場に集まってくれたオーディエンスへの感謝の言葉を改めて述べるAG。「札幌じゃ無理だ、このジャンルじゃ無理だ、お前らじゃ無理だ。そう言う奴らにここにいる皆のチカラで可能だということを証明したい」5年前からAGがステージでもよく口にしている言葉が思い出された。
それを受けるように「Point of Origin」へ繋ぐ。歌詞にある“Glowing in the darkest night(この深い夜を鮮やかに照らすんだ)”がまるで、そんな彼らを象徴しているようだ。続いてライブでここぞという時に発動する大人気激アゲカバーナンバー「Rude Boy」をぶち込んできた。いつの間にか上半身裸のYU-KIの汗が、最前のフロアに飛び散る。その勢いそのままに、鉄板の「PLATINUM SHOES」へなだれ込む。彼らが8ビートのロックチューンに挑んだインディーズ時代を代表する楽曲で、とんでもない盛り上がりの中、本編は終了。
アンコールでは、先日そのミュージックビデオが公開され、故郷を離れた人や“Home”と呼べる大切な記憶や場所のある人へ歌った新曲「Home」を披露。初めて日本語を織り交ぜた歌詞にこれまでの彼らの軌跡が重なる。最後の最後は彼らが2012年シーンに衝撃を与えNOISEMAKERの名が全国的に知られるきっかけとなった「SOMEBODY WANTS DAYS YOU CLOSE」でガッチリと締めた。
アンコールのMCでは『ROAR』の発売に伴うリリースツアー「NOISEMAKER“ROAR TOUR 2016”」の開催が発表された。北海道は7月28日に帯広 REST、7月29日に旭川 CASINO DRIVE、そして7月31日にここ札幌ペニーレーン24でワンマンライブを行うとのこと。キャリア初のペニーレーン24でのワンマンをどのような形で迎えるのか、今から期待が高まる。
そして、今日の一回り大きくなって帰ってきたNOISEMAKERを見ていると、もしかするとこの『CIRCLE OF US Fes』も巨大なフェスに成長するかもしれないという期待を抱かせてくれた。2011年、NOISEMAKERがまだ札幌に拠点を置きながら「Platinum shoes」をリリースした頃から、AGがことある度に口にしていた言葉がある。「いつか必ずこの地で自分たち発信のフェスをやりたい。世界中から自分の好きなバンドを呼んでここ札幌に音楽で恩返しがしたい」NOISEMAKERが最初に契約していたインディーズレーベルが無くなり、新たにYumechika Recordsと契約をし再出発を計ったばかりで、全国的な知名度もない頃の話だ。きっと皆も半信半疑で話を聞いていたと思う。しかし5年たった今、そんなAGの夢物語に向かって最初の一歩を踏み出す時が本当にやってきた。確かに今はまだ、NOISEMAKERの長年の想いが、ここ札幌でやっと小さな実を結んだにすぎない。
しかし、諦めずに進めば必ずや結果がついてくるという、至極単純だが一番難しいことを彼らはファンを裏切らずに、有言実行でやってのけた事は、とてつもなく大きな出来事だ。これからも休むことなく走り続ける彼らなら間違いなく実現するであろう『CIRCLE OF US Fes 2017 』の開催を首を長くして待とうと思う。(文・水谷禎志)