NOISEMAKER史に残る重要な東京公演、血潮みなぎる圧巻ステージ

単独では自身最大キャパでのステージとなった『“ROAR TOUR 2016”』の追加公演。(撮影・Shumpei Kato)
4人組ロックバンドのNOISEMAKERが11月23日に、東京・恵比寿LIQUIDROOMでワンマンライブ『“ROAR TOUR 2016” FINAL EXTRA SHOW AT LIQUIDROOM』をおこなった。5月25日にリリースしたメジャー移籍第1弾フルアルバム『ROAR』を引っ提げて展開してきた全国ツアー『ROAR TOUR 2016』の追加公演。単独では自身最大キャパでの公演となった。「Butterfly」や新曲「Something New」などアンコール含め全20曲を、この公演に懸ける強い想いと気合いが乗った熱いサウンドを届けた。アンコールでは未発表の新曲もワンコーラスで披露するサプライズもあり、大歓声をもって終演した。
ここが一番ロックだということを見せてやるよ!
会場でかかるダウナーなBGMがこれから始まるショウへの高揚感を煽っていく。開演前のこの時間もまた1曲目へと繋がる重要なファクターとなる。定刻を少々過ぎたところで暗転すると、“ラッセラー”と映画『AKIRA』のテーマ曲をサンプリングしたSEが会場に響き渡った。そのSEが流れるなか、UTA(Dr)、YU-KI(Ba)、HIDE(Gt)の順にステージに登場。メンバーが楽器を手にし「Butterfly」のイントロが奏でられると、そのサウンドに導かれるようにAG(Vo)が少し憂いを帯びながらも気合いの入った顔でステージに。「リキッドー!!」と荒々しい声を響かせた。
今年1発目の音源である「Butterfly」で追加公演の幕は開けた。ラウドかつエピックなスケール感を持つ楽曲はオープニングに相応しい。続いてアルバム『ROAR』に収録されている「Mouse Trap」を披露。深紅のライティングがオーディエンスの闘争心を掻き立てていく。ステージ上もオーディエンスもいつも以上に気合いもノリが良い。会場全体が今日に対する意気込みがひしひしと伝わってくる。
AGが「いろんな場所でいろんなバンドが音楽を奏でてると思うけど、ここが一番ロックだということを見せてやるよ!」と宣言し「Her Diamond」へ。その言葉に偽りがない空間にリキッドは変貌していく。早くもクラウド・サーフィングも起き、リキッドルームのテンションはヒートアップ。AGが「リキッド揺らすぞ!」と投げかけ、バンドが放つサウンドに乗りオーディエンスも体を弾ませる。
AGはMCで「このライブにかけてた。キミたちのおかげで立てている」と感謝を告げ、「とにかく怪我をしないように…。2日前に指を骨折しちゃった俺が言うのもなんなんだけど…」と左手の人差し指に巻かれた包帯を見せ、「このぐらいの人数ね、このぐらいのハンデあった方がいいでしょ。指折れてるけどみんなに全然負けないから。これハンデだから」と煽る。
続けて「このライブは俺たちだけの気持ちが詰まったライブじゃないです。ここにいる君たちのサポートがあって、いろんな人たちの気持ちが詰まったライブです。ただ楽しむというだけではなく、みんなに地獄見せるんで、音楽でボッコボコにしてやるんで覚悟しろよ!」とAG流の愛情表現で感情をぶつける。
そして、ファンのことを歌った「Point of Origin」へ。オーディエンスのシンガロングはさらに大きくなり一体感を作り上げていく。NOISEMAKERの真骨頂とも言える盛大なシンガロングが会場を満たす。「Rude Boy」では客席に倒れこみ、クラウド・サーフしながら歌うAGとオーディエンスが入り乱れる壮絶な空間に。「自分の信じている道があるなら一歩踏み出せ!」と投げかけ「PLATINUM SHOES」に突入。HIDE、YU-KI、 UTAの3人が放つサウンドが、一歩踏み出す人たちの背中を後押しするようだった。
一緒に超えていきたい奴は付いてきてください
ここから後半戦へ。今までのNOISEMAKERのサウンドに新たな要素が加わった「Minority」。人の奥底に眠る闘争本能を呼び覚ますような、ダウナー感あふれる楽曲に拳を突き上げるオーディエンス。そして、「『ROAR』はみんなで歌う景色を想像して作ったアルバムです」と投げかけHIDEのギターをバックに<This Home♪>とAGのリードで会場全体がシンガロング。そのまま「Home」へ。聴く人それぞれの「Home」、それが見えるかのようなサウンドスケープを作り出しているようだった。
ブレイクビーツ的なSEに導かれ「Horizon」へ。眩い光に包まれたメンバーは地平線の彼方にいるかのような幻想的なステージに。「リキッドまだ飛べますか!?」と地平線から太陽が昇るように「2nd Sun」へ突入。徐々に再びアクセルを踏み加速度をつけていく。そして、一気にギアを上げ「THE NEW ERA」へ。バンドの繰り出す音に殴られているかのような破壊力あるサウンドで展開した。
そして、AGは偽りなく語り出した。
「みんなの応援も期待も全部を背負って挑んだ今日のリキッドルーム。ソールドアウトは出来ませんでした。この景色が現時点での俺たちのリアルな実力です。みんなが『NOISEMAKERカッコイイよ』と広めてくれた手前、申し訳ないし、悔しい気持ちでいっぱいです。今日という日は俺らにまた火を付けてくれました。生きていれば前だけ向いて進むというのが自然だと思います。時には振り返ってしまうこともあるでしょう。だけど俺は下を向いて走るのは大嫌いなので、これからも上を向いて、手を伸ばして自分の欲しいもの取ってくるので、是非また力を貸してください。たくさんの困難、分厚い壁、高い山全て超えてく代表なんで、一緒に超えていきたい奴は付いてきてください」
想いを届けたところで、10月にリリースしたばかりの「Something New」へ。新たな世界観と荒々しささを兼ね備えた多国籍感あふれるサウンドは、バンドの可能性をさらに広げた。
UTAのマーチングドラムから続いて披露したのは「Flag」。YU-KIもステージから降りオーディエンスの声を間近で確かめるように煽る。会場全体の気持ちが一つになった極上の空間に。
その勢いを保ったまま「Oblivion」、「Black and Red Knees」と畳み掛けていく。鬼気迫る演奏は我を忘れさせてくれるほどの狂気に満ちていた。「ここを通過点にしてもっともっと大きな夢を掴みに行くので、一緒にその景色を観に行ってください」とAGが決意を語り「One Way Letter」を届ける。NOISEMAKERからの手紙をオーディエンスは歌声で返す。お互いの作り出す声、音でリキッドルームを包み込み、本編を終了した。
その中の一番に絶対なってやる!
アンコールを求める手拍子から「We Are NOISEMAKER」とオーディエンスの掛け声。それに押し戻されるかのようにステージにメンバーが再び登場。AGはその掛け声に「We Are NOISEMAKERってお前らもNOISEMAKERなんだな!?こんなにメンバーが増えましたって発表しなきゃいけないですけど」と嬉しそうに呟き、アンコール1曲目は「Heads and Tails」を奏でた。なりふり構わぬステージングによって上りきったかと思ったボルテージは更に高まり、リキッドルームの熱さはまだまだ上昇していく。オーディエンスの声も更に大きくなったようにも感じた。
ここでサプライズが起こった。未発表の新曲をワンコーラスだけ披露するという。「知らない曲でもフィーリングで。ここに来た人のだけのためにプレイします」と訪れたオーディエンスのために新曲をプレゼント。そして、「みんなの中には好きな音楽やバンドがきっとたくさんあると思う。(自分たちが)その中の一番に絶対なってやる!」と宣言し、ラストは「DRIFTING CLOUDS」を持てる力をすべてぶつけ、「ROAR TOUR 2016" FINAL EXTRA SHOW AT LIQUIDROOM」の幕は閉じた。
最後にファンから寄せ書きの入ったフラッグを受け取るとAGは、「このフラッグをもっと大きなステージへ絶対持っていきます」と約束した。
記者が今まで見てきたNOISEMAKERのライブの中で、より一層強い想いと気合いが乗ったステージだったように思える。このリキッドルームにかける想いが前面に出た痛快な演奏と、それに呼応するオーディエンスのパワーとで作り上げたステージは、確実にNOISEMAKERの年表に刻まれた、記憶に残るライブであった。(取材・村上順一)
- ライブの模様(撮影・Shumpei Kato)
- ライブの模様(撮影・Shumpei Kato)
- ライブの模様(撮影・Shumpei Kato)
- UTA(撮影・Shumpei Kato)
- YU-KI(撮影・Shumpei Kato)
- HIDE(撮影・Shumpei Kato)
- AG(撮影・Shumpei Kato)
- ライブの模様(撮影・Shumpei Kato)
セットリスト
NOISEMAKER「“ROAR TOUR 2016” FINAL EXTRA SHOW AT LIQUIDROOM」 11月23日 恵比寿LIQUIDROOM 01.Butterfly |