ラウドなサウンドで代官山UNITを震撼させたNOISEMAKER(撮影・ Takashi "TAKA” Konuma)

ラウドなサウンドで代官山UNITを震撼させたNOISEMAKER(撮影・ Takashi "TAKA” Konuma)

 北海道出身4人組ロックバンドのNOISEMAKERが7日、東京・代官山UNITで全国ツアー『NOISEMAKER “ROAR TOUR 2016”』のファイナル公演をおこなった。このツアーは、5月25日にリリースしたフルアルバム『ROAR』を引っ提げ、愛知・名古屋APOLLO BASEを皮切りに全国計11公演をおこなうもの。最終日のこの日は、『ROAR』の収録曲を中心にアンコール含め全20曲を披露。全身全霊を込めたアグレッシブな演奏でオーディエンスを熱狂させた。また、追加公演として11月23日に『NOISEMAKER “ROAR TOUR 2016” FINAL EXTRA SHOW AT LIQUIDROOM』を開催する事も発表した。

俺らの声を潰すぐらいの勢いで掛かってきて下さい

AG(Vo)とHIDE(Gt)(撮影・ Takashi "TAKA” Konuma)

AG(Vo)とHIDE(Gt)(撮影・ Takashi "TAKA” Konuma)

 定刻を少々過ぎたところで、BGMがフェードアウトし暗転すると“ラッセラー”と映画「AKIRA」のテーマ曲をサンプリングしたオープニングSEが会場に響き渡った。そのサウンドとオーディエンスの手拍子に乗ってUTA(Dr)、YU-KI(Ba)、HIDE(Gt)の順にステージに登場。最後に気合の入った表情のAG(Vo)が姿を現わし、大きな歓声と共に「Mouse Trap」でツアーファイナルの幕は開けた。

 序盤からヘビーなリフで代官山UNITを、一気にNOISEMAKERサウンドで染め上げていった。オーディエンスもオープニングからなりふり構わぬ盛り上がりをみせ、静から動へと楽曲のシーンをダイナミックに変えながら、聴くものの高揚感を煽っていく。

 メジャー移籍後初音源のミニアルバム『NEO』収録の「Heads and Tails」ではオーディエンスもビートに乗って飛び跳ね、すでにライブ終盤かと思うほどの一体感を見せた。AGが「今まで観てきたライブ、全部忘れさせてやるよ!」と煽り、始めたのは「Her Diamond 」。アッパーチューンにフロアの前方ではクラウドサーフィング(編注=観客の頭上を泳ぐように移動する行為)が起き、オーディエンスの上を人が転がっていく。

 「『ROAR』はみんなの声をイメージして作ったアルバムです。みんながライブハウスで声を上げて完成するアルバムになっているので、歌える準備は出来ていますか!? ここをでっかいカラオケだと思って、俺らの声を潰すぐらいの勢いで掛かってきて下さい! 君たちの声に纏わる歌です」と投げかけ「Point of Origin」へ突入。バンドとオーディエンスのコーラスによって更に一体感は増していく。手数の多い楽曲にUTAのドラムも鋭さを増し、クラウドサーフによってステージに向かってくるオーディエンスと拳と拳を合わせるAGも、“もっと来いよ”と言わんばかりの表情で迎え撃った。

 そして、ニューアルバムの中でも異質なグルーヴとサウンドを放つ「Minority」へ。YU-KIとUTAの繰り出すヘビーなリズムに、HIDEのソリッドなディストーションギターが絡み合い、音の壁が迫りくるようなサウンドに押しつぶされそうな感覚に陥った。

 ヘビーな音に酔いしれていると続けて、ライブでのリクエストが多かったインディーズ初期の名曲「CONTACT」へ突入。YU-KIの繰り出すスラップサウンドが“けたたましく”代官山UNITに響き渡った。ファンキーなテイストでバウンス感のあるリズムと、腹に響いてくる重低音によって会場は音の渦に飲み込まれていくようだった。AGの髪の色と同じグリーンのライティングがステージで激しく点滅する中、攻撃的なスクリーミングでフロアを煽っていくAG。

今日を一番のファイナルにしようと思っています

 AGが「まだ、涼しいな。頭のネジ外していこうぜ!」とリアーナのカヴァー曲「Rude Boy」へ。音の渦に乗るかのように、自由奔放に体を動かすオーディエンスを見て満足な表情を浮かべるAG。そのAGもひしめき合うオーディエンスの上にダイブし、クラウドサーフに参戦。

AG(Vo)(撮影・ Takashi "TAKA” Konuma)

AG(Vo)(撮影・ Takashi "TAKA” Konuma)

 MCでUTAコールが巻き起こると、「ありがとう! でも女の子に名前を呼ばれたい(笑)」とコールに照れながらも満更でもない様子を見せた。そして、「自分たちの故郷は心の中で生き続けると思うし、新しい場所も君たちにとってまた新しい場所になるはずです」とAGが幼少期、家族で転勤を繰り返したことや上京してきた時の心境を語り、その想いから生まれた「Home」を披露。圧倒的なスケール感を放ち、AGとオーディエンスの歌声によって音源とはまた違った、新たな次元へと楽曲を昇華させていった。

 そして、「Matador」ではYU-KIのベースが空気を震わせ、UTAのスネアドラムの音が、弾丸のように飛んでくる。そこには、ソニックブーム(編注=衝撃波が生む轟くような大音響)のようなダイナミックな音像が広がっていく。そこにエフェクティブで広がりを見せるHIDEの独特なギターサウンドがスパイスとなり、NOISEMAKERサウンドを構築していく。続けて、レコーディングギリギリまでイントロが出来ず、苦労した楽曲と以前インタビューで語っていた「Black and Red Knees」へ。HIDEのエッジの効いたスピーディーなギターリフが代官山UNITに響き渡り、会場の温度はどんどんと上昇していく。

 AGが「(代官山)UNITでワンマンが出来る日が来るとは…、本当にみんなのおかげです。今までツアーファイナルは何度もやってきたけど、今日を一番のファイナルにしようと思っています。セミファイナルの札幌と東京、どっちが上か教えてくれよ東京!!」とオーディエンスに感謝しながらも捲し立て「REASON」へ。そのAGの言葉に感化されるかのように、更にテンションを上げ暴れまわるファンたち。「Horizon」では雄大なサウンドに乗り、タイトルの如く地平線まで届きそうな歌声で、オーディエンスを魅了するAG。地球をイメージしたかのようなブルーのライティングが鮮やかにステージを照らし、楽曲の世界観を押し上げていった。

リキッドルームでの追加公演を発表

NOISEMAKER(撮影・ Takashi "TAKA” Konuma)

NOISEMAKER(撮影・ Takashi "TAKA” Konuma)

  ここで、アルバムリード楽曲であり、アルバムの1曲目を飾る「Flag」を披露。仮面をつけ、全身白い衣装に身を包み、マーチングスネアを抱えた鼓笛隊2人組が登場。「Flag」のMVを彷彿した息のあったマーチングドラムサウンドでイントロに華を添える。オーディエンスも信念という旗を掲げるかのように腕を掲げ、まさにこれが“ROAR"とも言える大きな歌声で後押ししていく。間奏の鼓笛隊2人とUTA のドラムソロの掛け合いから、ラストのサビで会場のボルテージは最高潮に達した。

 「(代官山)UNIT、バテてないだろうな!?」とオーディエンスを煽るAG。そこから「DRIFTING CLOUDS」へ。Aメロで手拍子が起きるが、このバンドだとなぜか新鮮に聴こえる。それほど、今の今まで手拍子とは無縁のライブ展開を見せてきたNOISEMAKER。立て続けに披露した「THE NEW ERA」で畳み掛けるように、さらに加速度を上げていった。

 ここで、11月23日に追加公演として『NOISEMAKER "ROAR TOUR 2016" FINAL EXTRA SHOW AT LIQUIDROOM』を開催することを発表。AGは「リキッドルームは今年俺たちにとっての一番の目標だったんです。めっちゃハードルは高いけど、それをぶっ壊さないと前にいけない気がした。どうなるかわかんないけど、今日のみんなの声を聞いて大丈夫だと思った。上京して2年、やっとここまできました。時間は掛かったけれども、すべてを追い風に変えながら、君たちの思いも期待も全部背負ってどこまでも高く一緒に飛んでいくよ」と心境を語ると「Butterfly」へ。今年のNOISEMAKERはこの楽曲のリリースと共に始まった。リキッドルームの発表とさらにその上を目指していくという決意表明によって、また今までとは一味違ったスケール感と表情を魅せた。

大切な人へ。「One Way Letter」

NOISEMAKER(撮影・ Takashi "TAKA” Konuma)

NOISEMAKER(撮影・ Takashi "TAKA” Konuma)

 「大切な人へ。家族、友達、みんな。大事な人は手で数えるくらいしかいないから、逢った時にしっかり言ってます。ありがとう!!」とAGの感謝を告げる言葉からアルバムでもラストを飾る「One Way Letter」を披露。激しく点滅するライティング、オーディエンスもステージに向かって手を伸ばす。それぞれの「One Way Letter」を思い浮かべながらライブ本編を終了した。

 メンバーがステージを去った後、オーディエンスが「One Way Letter」のフレーズを大合唱。その歌声に呼び戻されるメンバー。フロア後方では寄せ書きが書かれたNOISEMAKERのバンドロゴが入ったフラッグを掲げるファンの姿も。そのフラッグはステージに戻ってきたAGに手渡され、メンバーもその姿に嬉しそうな表情を浮かべていた。

 そのフラッグを肩にかけたAGが「今日は地獄を見せるからな」と煽りキラーチューンである「PLATINUM SHOES」を披露。バンドから放出されたエネルギーを浴びたオーディエンスのテンションは、ライブが今始まったかのような盛り上がりをみせた。「人生で一番の声をくれよ」と投げかけ、ラストは「SOMEBODY WANTS DAYS YOU CLOSE」へ。オーディエンス渾身のシンガロングと、バンドから繰り出される重厚なサウンドによって代官山UNITが震撼しているようだった。最後まで全力疾走だったツアーファイナルの幕は閉じた。

 ファンの歌声と共に作り上げた、まさに“ROAR”「声」を体現したかのようなライブであった。この日発表されたバンドの今年の目標の一つである恵比寿LIQUIDROOMワンマン公演に向け、この夏も様々なフェスに参戦するNOISEMAKER。11月23日にはどのような進化を遂げたステージを、我々に魅せてくれるのだろうか。ROARを求める旅はまだまだ続く。(取材・村上順一)

セットリスト

NOISEMAKER "ROAR TOUR 2016"

8月7日 代官山UNIT
 
01.Mouse Trap
02.Heads and Tails
03.Her Diamond
04.Point of Origin
05.Minority
06.CONTACT
07.Rude Boy
08.Home
09.2nd Sun
10.Matador
11.Black and Red Knees
12.REASON
13.Horizon
14.Flag
15.DRIFTING CLOUDS
16.THE NEW ERA
17.Butterfly
18.One Way Letter

ENCORE

EN1.PLATINUM SHOES
EN2.SOMEBODY WANTS DAYS YOU CLOSE

<NOISEMAKER "ROAR TOUR 2016" 追加公演情報 >

公演名:NOISEMAKER "ROAR TOUR 2016" FINAL EXTRA SHOW AT LIQUIDROOM
日時:11月23日(水・祝) 16:30 OPEN / 17:30 STRAT
会場:恵比寿 LIQUIDROOM
チケット:前売 3300円(drink代別)
お問い合わせ:SOGO TOKYO 03-3405-9999
オフィシャルサイト先行(抽選)
◎受付期間:8月7日23:00-8月14日23:59まで

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