故郷の新潟と重なる雪景色のような空間を演出したHilcrhyme(撮影・濱谷幸江)

故郷の新潟と重なる雪景色のような空間を演出したHilcrhyme(撮影・濱谷幸江)

 【ライブレポート】ヒップホップユニットのHilcrhyme(ヒルクライム)が23日、東京・豊洲PITでワンマンライブ『Hilcrhyme Christmas LIVE 2015 ユキノフルマチ』を行った。TOCは「もっといいものになる」と語り、来年への決意を新たに示した。

撮影・濱谷幸江

撮影・濱谷幸江

 ステージには、DJ KATSUがスタートの前から既に登場、グルービーなDJプレーを聴かせながら、年末のひと時にリラックスした雰囲気を届けていた。その効果もあってか、観衆により会場いっぱいになった際に会場は、緊張感というよりも、アットホームな心地良い雰囲気が満ち溢れていた。

 そして、ステージはいよいよスタート。「Happy Merry Christmas,Tokyo! 」TOCが観客に語りかけた。オープニングナンバーは「マイクリスマスキャロル」。ステージにはこの日のテーマに合わせ、雪の降るイメージが表現されていた。

 ゆったりしたリズムに合わせて、観客が振っていたサイリウムの光が、真っ暗なフロアの中でクリスマスを感じさせる華やかなイミテーションとなり、彼らの登場を温かく迎える。続いたナンバー「TOKYO CITY」は、どちらかというとヘヴィなリズムで攻め立てるなど、曲の雰囲気やリズムに関して、一定の流れを感じさせないステージとなっていた。

撮影・濱谷幸江

撮影・濱谷幸江

 しかし、そんな雰囲気も、ある意味、Hilcrhymeとしては必然的なものであるのかもしれない。Hilcrhymeは、メロディとラップを絶妙に交差させ、彼らならではのダイナミックな表現と、ポップでキャッチーな雰囲気をうまく融合することに成功している。このライブに訪れた観客のほとんどが、カップルや友達同士など、連れ立ってこの会場を訪れ、アットホームなステージを楽しんでいた観衆が殆どだったことからも、その趣はうかがえる。

 また、Hilcrhymeの音には、グルービーなリズムの上でも、なにか哀愁味を感じさせるハーモニーがあることも興味深い点だ。彼らのホームタウンである、雪の降る町、新潟。彼らの曲に雪というキーワードが多いことからもうかがえるが、彼らのサウンドや世界観を形成するに当たり、この地が大きく影響をしていることを語ったTOC。ときにコール&レスポンスを繰り出すほどの盛り上がりを見せながらも、じっくりと曲を聴き、そしてTOCからあふれ出す言葉に耳を傾けたくなる気持ちにさせていた。

 この日は、最新シングル曲「言えない 言えない」に続き、スペシャル企画としてDJ KATSUのピアノ伴奏によるアコースティックセットが用意され、「春夏秋冬」「Your Smile」「想送歌」のメドレー演奏が披露された。

撮影・濱谷幸江

撮影・濱谷幸江

 ピアノとのデュオでは、より歌のメロディが引き立たされ、TOCの紡ぎだす言葉に観客はじっと耳を向け、プレーに集中していた。さらに今年の夏フェスで毎回プレーされ、かつ自身のこれからの決意を表したという曲「I'm Ready」、続いて「ウィライキ」と、熱のこもったプレーの映える曲で、会場に熱い空気を呼び起こす。

 いよいよライブも終盤を迎える時間が近づいてきた。「Moon Rise」より最高のクライマックスに向けての猛攻が始まった。ユニークなグルーブを持つこの曲で、一気に観衆は興奮の坩堝(るつぼ)へ。そのアクティブなリズムに合わせ、またしても会場に大きな熱気を呼び起こした。

 反してラストに持ってきた曲は、最新アルバム『春夏秋冬〜Hilcrhyme 4Seasons Collection〜』にも収録された「HAKU-SAN」。胸の内があふれ出してきたような感情的な言葉が、見るものをひきつけて止まない。「2015から2016、年末から年始へ。俺たちと一緒にいてくれる人に、心からの感謝を。今日は本当にありがとうございました!」TOCの礼の言葉とともに、彼らはステージを降りた。

撮影・濱谷幸江

撮影・濱谷幸江

 彼らのいなくなった会場、しばらくするとアンコールをせがむ声が徐々に大きくなっていた。その声に答え再びステージに現れたTOCとDJ KATSU。観衆に対して再びステージに引き戻してくれたことへの礼を告げながら「New Era」、そして「リサイタル」をプレー。この曲の歌詞には「TOCコンダクターが振るタクト」という一節があるが、ブリッジの部分で観衆とコール&レスポンスを煽る姿など、TOCの姿はまさにコンダクター。彼らのライブの一番楽しくノリノリになる部分を目一杯にアピールし観衆を楽しませていた。

 そして、TOCは2015年のHilcrhymeの活動を振り返りながら、来年は「もっといいものになる」、そうなることを目指す決意をコメントし「大丈夫」。これに続いて奏でられたラストナンバーは、オープニングでもプレーされた「マイクリスマスキャロル」。

 Hilcrhymeならではの味わい深いクリスマスを演出し、ステージは幕を下ろした。楽しいクリスマスへの演出とともに、新しい年への決意を力強く宣言したHilcrhyme。そのステップアップは確実に違いないが、果たしてどのような形へ変貌を遂げるのだろうか? 自己の存在を確立している彼らだけに、その行く先は期待できるものといえよう。(取材・桂 伸也)

セットリスト

1.マイクリスマスキャロル
2.TOKYO CITY
3.トラヴェルマシン
4.パーソナルCOLOR
5.Changes
6.LOOP
7.XYZ
8.デタミネーション
9.STAY ALIVE
10. YUKIDOKE
11. ツボミ
12. FLOWER BLOOM
13. SKY DRIVE Christmas Ver.
14. 言えない 言えない
15. Acoustic Medley
   春夏秋冬
   Your Smile
   想送歌
16. I’m Ready
17. ウィライキ
18. Moon Rise
19. East Area
20. エール
21. もうバイバイ
22. HAKU-SAN

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