INTERVIEW

山本千尋

「あえてうろ覚えで臨む」リアルなアクション表現の極意:NINJA WARS


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:26年07月27日

読了時間:約8分

 俳優の山本千尋が、特撮アクション界のマエストロ・坂本浩一監督が手掛ける新たなブランド「SAKAMOTO'S NINJA UNIVERSE」の最新作『NINJA WARS 〜BLACKFOX VS SHOGUN'S NINJA〜』(レンタル・購入配信中)で主演を務める。本作は、世界累計再生回数2,500万回を突破した『BLACKFOX: Age of the Ninja』と『SHOGUN'S NINJA-将軍乃忍者-』という、坂本監督が生み出した2つの人気作品の世界線が交差する、“NINJAユニバース”作品だ。

 山本は『BLACKFOX: Age of the Ninja』(以下『BLACKFOX』)から7年ぶりに、殺さずの剣を振るう忍者一族の当主・石動律花役として帰還した。20代の集大成と位置づける本作において、彼女はケイン・コスギや水野美紀といったレジェンド級の俳優たちと、スタントなしの真剣勝負を繰り広げている。インタビューでは、この7年間での自身の変化や、限界に挑んだアクション撮影の裏側、そして共に戦った仲間たちへの熱い想いを語ってもらった。

 

7年ぶりの坂本組「精神面での成長が一番大きかった」

山本千尋

 ――前作から7年ぶりに「坂本組」へ帰還されました。出演が決まった時の心境を改めて教えてください。

 一番は、やはり「楽しかったな」というワクワクする思いが強かったです。前作の『BLACKFOX』で初めて主演をさせていただいた時は22歳でした。その撮影が終わってから、「いつかまた坂本組に呼んでもらえる時のために力をつけておこう」と、この7年間ずっと心に決めていたんです。今回はその研鑽の成果をぶつける「発表会」のような気持ちで、身の引き締まる思いで現場に入りました。

 ――この7年間で、役者としての意識に大きな変化はありましたか?

 精神面での成長が一番大きかったと思います。22歳の頃は、初めての主演ということもあって「全て自分でやらなきゃ、自分が引っ張らなきゃ」と、体力も精神的にもいっぱいいっぱいになっていました。上手くいかない日があるとずっと引きずってしまったり。でも、その後多くのアクション作品を経験させていただく中で、アクション部の皆さんの偉大さや、チーム全員で一つの作品を作り上げる大切さを肌で感じました。今回は、信頼できるキャストの皆さんに助けてもらいながら、良い意味で「甘える」ことができるようになった。それは自分の中での大きな変化だと思っています。

 ――衣装も前作と同じものだったそうですね。

 はい、7年前と同じコスチュームだったので、まずは懐かしいなという思いがありました。俳優として同じキャラクターを再び演じさせていただけるのは非常にありがたいことですし、コスチュームを身に纏うことで、自然と律花の気持ちへとスイッチが入り、身が引き締まる感覚がありました。

 

「うろ覚え」がリアリティを生むアクションの極意

山本千尋

 ――坂本監督のアクションシーンは、台本上ではわずか数行でも、実際の撮影には膨大な時間がかかるとお聞きしました。

 そうなんです。台本に数行書かれているだけのシーンでも、実際の撮影には丸1日かかることもあります。7年経って坂本監督はさらにパワフルになられていて、その熱量に応えるために、私たちももっと頑張らなければならないという覚悟を持って臨んだ初日だったと思います。

 ――今回のアクションシーンで、特にこだわったポイントはどこですか?

 あえて「うろ覚え」くらいの状態で現場に立つことです。完璧に動きを覚えすぎてしまうと、私の場合どうしても次の動きを先読みしているように見えてしまい、アクションとしてのスリリングさに欠けてしまうんです。ギリギリで動く方が、画として映った時にリアリティが出て、本当の闘いをしているような楽しさが生まれます。坂本監督は役者の個性を尊重して自由にさせてくれるので、その信頼に応えるためにも、現場での瞬発力を大切にしました。

 ――主人公・石動律花というキャラクターを再び演じる上での課題はありましたか?

 彼女は「殺さずの剣」を信念としています。そのため、激しい立ち回りの中にも、相手を傷つけたくないという「躊躇」や「葛藤」を表現しなければなりませんでした。本当は戦いたくない、人を殺したくないという彼女の優しさをどうアクションに落とし込むか。一生懸命戦うだけが正解ではないキャラクターだったので、心の片隅に常にその思いを置いて演じていました。そこは自分にとって密かな、そして大きな課題でした。

 

「素晴らしい瞬間に立ち会えた」レジェンド俳優たちとの共演

山本千尋

 ――ケイン・コスギさんや水野美紀さんといった、アクション界のレジェンドとの共演はいかがでしたか?

 ケインさんは本当にストイックで紳士的な方です。ただ、現場で倉田(保昭)先生を前にした時のケインさんは、まるで憧れのスターを見つめる少年のようで、とても印象的でした。緊張されている姿を見て、「あのアクションスターのケインさんでも、こんな風になるんだ」と驚くと同時に、素晴らしい瞬間に立ち会えたことが宝物のようになりました。

 ――ケインさんとの対決シーンでのエピソードも教えてください。

 ケインさんの体はまさに「鋼」でした。お腹に蹴りを当てるシーンがあったのですが、腹筋が硬すぎて、蹴った自分の足が跳ね返ってくるくらいだったんです(笑)。そして、水野美紀さんは普段はとても優しい方なのですが、いざアクションとなると目つきがガラッと変わります。水野さんは倉田プロモーションの流れを汲んでいらっしゃるので、遠慮なく本気で来てくださる。その「本物」のやり取りが、俳優同士のコミュニケーションとして本当に心地よかったです。水野さんと倉田先生の「斬られた時のリアクション」が似ているのを見つけた時は、とても感動しました。

 ――宮原華音さんとのコンビネーションも見どころですね。

 華音さんとは10代の頃からの付き合いなので、まさに相棒です。物語では当主である律花が一人で抱え込むことの多い役柄なのですが、お喬というキャラクターと宮原華音さんという人柄に、非常に救われたところがありました。

 

いつか律花としてインドネシアに行ってみたい

「NINJA WARS」ティザービジュアル

 ――撮影期間はわずか2週間という非常にタイトなスケジュールだったそうですね。

 『BLACKFOX』は10日間、『SHOGUN'S NINJA-将軍乃忍者-』は7日間でしたので、今回は2週間もあり、むしろ少しゆとりがある感覚でした。ですが、坂本監督の現場はアクションがない日がないので、普通なら「大変だ」と思うところですが、キャストもスタッフもみんな集中しながらも、楽しんでやっていました。この過酷さを乗り切るために、トレーニングを坂本組仕様に切り替え、筋肉量を増やすためのトレーニングも行いました。

 ――座長として、現場で心がけていたことはありますか?

座長というのは慣れないものですが、とにかくみんなが楽しく、美味しいご飯を食べられているかなということだけは気にかけていました。 そして、皆さんが自分のキャラクターにすごくやりがいを持って臨んでくれている姿を見るのが座長としての喜びでもありました。またどこかでご一緒した時にこの『NINJA WARS』や坂本組のお話をできるのが目標の一つにもなるような素敵な仲間に出会いました。

 ――差し入れも気になります。

 ドーナツやドラ焼きの差し入れを入れてくださっていました。激しく体を動かすので、やっぱり甘いものが欲しくなる。そういう時に和菓子等の差し入れは嬉しいですね。

 ――山本さんのInstagramには、海外、特にインドネシアのファンから多くのメッセージが届いているとお聞きしました。

 そうなんです。日本のフォロワーの方の次にインドネシアの方が多いのですが、皆さん『BLACKFOX』や律花へのコメントを今でもくださるんです。日本の伝統文化である忍者が、世界でこれほど評価されていることを数字でも実感しています。私が初めて中国武術で国際大会を経験したのもインドネシアだったので、いつか女優として、また律花として現地に行くことができれば、それも私にとって大きな夢の一つです。

 (おわり)

 『NINJA WARS 〜BLACKFOX VS SHOGUN'S NINJA〜』
 レンタル・購入配信中

 【出演】
 山本千尋
 宮原華音 桃月なしこ 谷口布実 大久保桜子 寺坂頼我
 中村優一 高岩芯泰 七瀬恋彩 丸山敦史 榎本遥菜 谷口高史
 濱田龍臣 栗山航
 ケイン・コスギ/水野美紀
 倉田保昭
 ナレーション 本宮泰風

 【監督・アクション監督】坂本浩一 【脚本】足木淳一郎
 【音楽】中村康隆 【主題歌】fripSide「My Own Way -version 2026-」

 【作品公式HP】 https://sakamoto-ninja.com/ 

 【配信プラットフォーム】

 Amazon Prime Video、Apple TV、DMM TV、FOD、Google TV、HAPPY!動画、 Hulu、J:COM STREAM、Lemino、milplus、music.jp、TELASA、U-NEXT、 YouTube、カンテレドーガ、クランクイン!ビデオ、ビデオマーケット、ビデックス、ムービーフルPlus

 ※一部プラットフォームはレンタル配信のみ。

この記事の写真
村上順一

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事