INTERVIEW

山下リオ

ホラー映画『遺愛』で主演 撮影期間中に起きた心霊現象も役に活かす「取り憑かれてもいい役だから」


記者:編集部

写真:村上順一

掲載:26年06月18日

読了時間:約5分

 山下リオが、映画『遺愛』(酒井善三監督、19日公開)で主演を務める。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』や映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、異例のロングランヒットを記録した『雪子 a.k.a.』など多彩な活躍を見せる山下が本作で挑むのは、母の介護に疲弊し、次第に狂気へと落ちていく主人公・佳奈。撮影中に自宅でポルターガイストや「獣の唸り声」を体験し取り憑かれた感覚もあったというが「この作品に対して取り憑かれてもいい役」とあえて身を委ねたという。クランクアップ後にお祓いや髪を切るまでに至るほどの壮絶な撮影を、自身の恐怖体験と共に振り返ってもらった。※なお記事は動画インタビューから抜粋しています。詳細は動画をご覧ください。

日常にある恐怖

――脚本を最初に読んだ時の率直な感想を教えてください。

 正直、1回読んだだけではいまいち理解できない部分もありました。でも、その理解できない不穏さが逆に気になって何度も読み返してしまい、そのたびに新しい発見がありました。最終的には「これは面白い作品になるだろう」という確信に変わりました。

――今回演じられた「藤井佳奈」という役をどう捉えましたか?

 物語の中で、認知症を患う母が「空っぽ」に見えてくるのですが、佳奈自身もどこか空っぽな存在だと感じました。その器の中に、本来なら愛が入るはずが、呪いや得体の知れない黒い何かが蠢いていく……そんな感覚で演じていました。

――酒井善三監督の演出で印象的だったことはありますか?

 恐怖映画なので本読みの段階では「声に抑揚をつけた方がいいのかな」という先入観があったのですが、監督からは逆に「抑揚を落としてください」という指摘をいただきました。現場での監督の演出は、発想にない意外なオーダーをいただいたりもしましたが、抑揚を落としているからこその、場面場面での振り幅が生まれていったのだと思います。そのおかげで「あえて恐怖映画だと思わなくていいんだ」と安心できました。

山下リオ(撮影・村上順一)

山下リオ(撮影・村上順一)

心霊体験に身を委ねる

――撮影期間中に、ご自宅で不思議な現象が起きたそうですね。

 撮影現場ではなく、私の自宅でポルターガイスト現象が起きました。物が倒れたりして、自分でも「あ、今取り憑かれたな」とはっきり自覚する瞬間があったんです。普段ならすぐにでもお祓いに行くほど嫌なことですが、今作に関しては「取り憑かれていてもいい役なので」と思い、その感覚を存分に役に活かしてほしいと、あえて呪いに身を委ねていました。

――その時の状態はかなり深刻だったのでしょうか?

 正直、撮影中に感じていたものは本当にひどかったです。自分ではない思考が脳内に入り込んでくるのが分かり、「あ、自分じゃない何かがいる」と感覚的に理解できるような状態で……。役としても闇に落ちていく設定だったので、撮影現場では飄々と振る舞っていましたが、最終的には抗いきれない凄まじい恐怖の中にいました。

山下リオ(撮影・村上順一)

山下リオ(撮影・村上順一)

鏡が引き起こした心霊現象

――それ以前にも、ご自身で恐ろしい体験をされたことがあるとか。

 以前住んでいた部屋での出来事なのですが、当時少し落ち込んでいた時期でもあり、誰もいないのにオートロックを飛び越えて玄関のチャイムが鳴るようになったんです。いつも夜中の2時、3時頃に鳴るので、開けて見に行っても誰もいない……。ある夜、いつもと違ったのは、はっきりと獣の唸り声や「はぁはぁ」という息遣いが聞こえてきたことです。

――それはどのように解決されたのですか?

 怖すぎて家に帰れなくなり、友人に紹介してもらった方にお祓いをしていただきました。どうやら、住んでいた部屋の隣が「忌み地」のような場所で、そこに向けて鏡を置いていたのが良くなかったみたいです。鏡を通して悪いものが入ってきていたと。お祓いをして鏡を直してからは、パタリと止みました。今回、映画の中に出てくる「得体の知れないモノ」の姿は、この時の実体験にかなり近いものがあったので、想像しやすいところがありました。
――クランクアップ後にお祓いに行き、髪もバッサリ切られたそうですね。

 ネガティブなものや不浄なものは髪に溜まると聞いていたので、撮り終えたら絶対に切ると決めていました。撮影が終わってすぐにお祓いに行き、おへそまであった長髪をショートカットにしました。

山下リオ(撮影・村上順一)

山下リオ(撮影・村上順一)

裏テーマは「ヒロイン」

――特にお気に入りのシーンを教えてください。

 マキタスポーツさん演じる叔父の家に突撃する前のシーンです。監督から「これはヒーロー映画だと思ってください」と言われ、確かに出来上がりを見るとすごく格好良くて、爽快感すら感じました。また、妹役の小川あんさんとのお芝居も、台本では想像できなかった感情が溢れてきて心に残っています。

――取り憑かれるというのはどういう感覚でしょうか?

 私の場合、金縛りにあって姿が見えることもありますが、「自分ではない思考が脳内に入り込んでくる」という感覚です。自分の脳の中で流れているのに、それが自分の考えではないとはっきり分かるので、「あ、自分じゃない何かが今ここにいるんだな」と感覚的に理解してしまうんです。人によってタイプは違いますが、嗅覚が鋭い人がいるように、空気の変化を察知するのも一つの感性なのかなと。こういう感覚は、実は多くの日本人が持っているものだと思っています。私は、日本特有の「空気を読む力」というのも、一種の霊感に近いものだと捉えているんです。だからこそ、本作のような日本のホラー映画は、単に音や映像で驚かせるだけではなく、日本人ならではの感性に訴えかける「空気の震えや振動」が詰まっていると思います。

(おわり)

ヘアメイク:牧野 裕大(vierge)
スタイリスト:髙野 智史
衣装:
ワンピース ¥118,800 ※参考価格(ジョセフ/ジョセフジャパンinfo@joseph-jp.com)
シューズ ¥52,800 (カチム/カチムinfo@katim.sc)

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山下リオ(撮影・村上順一)
山下リオ(撮影・村上順一)
山下リオ(撮影・村上順一)
村上順一

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