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俳優の山本千尋が、山﨑賢人が主演を務める映画『アンダーニンジャ』(公開中)に出演。講談高校の生徒で学園のマドンナ的存在で周りを翻弄する“あざとい女子”山田美月を演じる。本作は、『アイアムアヒーロー』などの数々の話題作で知られる漫画家・花沢健吾氏が原作。現代社会に潜む新たな忍者像を描く。2023年には地上波でテレビアニメ化もされた本作を、福田雄一監督が実写映画化。インタビューでは、出演してみたいと思っていた福田組の撮影の裏側や、「山田美月のようなキャラクターを演じてみたかった」と話すその理由について話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】
原作やアニメ以上に派手にしようと思った
――髪を30センチ以上切って撮影に臨んだんですよね。
福田監督の作品に出演できることがとても嬉しく、オファーをいただいた時に「髪は切れますか?」という相談をいただきました。普段はスーパーロングのイメージだったからなのか、そういったことを言われたことはなく、役でイメチェンをしてほしいと言われたことがほぼ初めてに近い経験でした。また、アクションシーンがあるので、役柄的に髪を縛ることもできないし、ナチュラルに下ろしている方がいいのかなと思い、髪を切る決意をさせていただきました。
――髪型はずっとロングだったわけですが、こだわりはあったのでしょうか。
特にこだわりはなかったです。もともと中国武術の選手だったのですが、引退してこの世界に入ったので、武術としてはポニーテールで髪の動きも舞のうちに入る感じもあり、髪は伸ばすものだと思っていたので、ずっとロングにしていたという経緯があります。女優あるあるかもしれないのですが、こういう機会がないとイメチェンに疎くなってしまって、「これを機にイメチェンできるかも!?」とワクワクしていました。
――髪を切ってみて発見はありましたか。
お風呂が楽になったことに驚きました(笑)。周囲からは「長い髪で大変じゃない?」と言われることが多かったのですが、私はそれが普通だったので特に感じたことはなかったんです。でも、髪を切ってみて大変だったことに気づきました。また、シャンプーを使う量もかなり減りました(笑)。
――さて、本作『アンダーニンジャ』からどのような魅力を感じましたか。
忍者作品ですが現代のお話で、近未来の道具や武器が出てきたり、過去と未来の融合がとても面白いと思いました。また、疾走感があり花沢先生の描いていた挑戦的なストーリーの中にシュールな笑いを福田監督がアレンジとして加えていて、とても派手でパワフルな作品になっているなと思いました。
――山本さん演じる山田美月は独特なキャラクターですが、お引き受けした決めてはどんなものだったのでしょうか。
山田美月を演じてもらいたいと言っていただけること自体が奇跡的なことだと思ったので、断る理由はなかったです。迷うことなく「やらせてください」とお返事しました。
――山田美月はとても可愛くて、あざとさを持ったキャラクターですが、どのようにアプローチしようと思いましたか。
原作、アニメを観てとても面白いキャラクターだなと思ったので、プラスアルファのテンションの高さで演じたいと思いました。むしろ「こんな人いないよ」と言われた方が正解といった感じで、原作やアニメを大切にした上で更に派手にしようという気持ちでした。福田監督もそれでいいと思ってくださったみたいでよかったです。
――山田美月が鼻をほじるシーンについて、どのように感じていましたか?
準備稿でそのシーンの描写があって、もし決定稿でなくなっていたら悲しいなと思うくらい、実は楽しみにしていたシーンでした。
――そのシーンでは、坂口涼太郎さんのリアクションも面白かったです。坂口さんとのやり取りはいかがでした?
楽しかったです。坂口さんとは別の作品でもご一緒させていただいているのですが、『アンダーニンジャ』の撮影の前にも別現場で一緒だったので、「ずっと一緒だね」とか話していました。また、鼻をほじるシーンは「すごく綺麗だったよ」と言ってくださって、その言葉がとても心に残っていて、やりがいを感じました。
――そんな山田美月を演じるにあたり一番心がけていたことは何だったのでしょうか。
まず福田組が初めてだったので、どんな風に現場にいようかと考えていました。役柄的にすごく張り切る感じではないし、山田美月というキャラクターは、どこか掴めないような部分があったので、自分の型にはめていかずに、福田監督に身を委ねる感じで、その場で対応していこうという気持ちで撮影に臨みました。
山﨑賢人は会うたびにすごい人
――福田監督からのリクエストで印象的だったことは?
キャラクターチックな部分に関するアドバイスをいただきました。たとえば手で作るハートの形にもこだわったり、走り方もすごく運動神経がいいみたいな走り方、子どもにも笑ってもらえるようなもの、というリクエストが印象に残っています。また、クランクインした日に監督から、「千尋ちゃん全力ダッシュしてくれる?」とリクエストをいただいて、朝の9時ぐらいだったので私は、「ちょっとアキレス腱を伸ばします!」みたいなやり取りがあり、全力ダッシュしたのですが、撮影はすごく楽しかったです。
――演じるにあたり難しかったところもありましたか。
破壊的な強さがあるのに、あまり手数が多くないという部分は難しかったです。一つ一つ与えられたフリに彼女のパワフルさ、絶対的強さというものを埋め込めるか悩んだところもありました。これまではこの手は複雑だから、たくさん覚えなければ、など技術的なところに悩んでいた現場が多かったのですが、今回は手数の少ない中で、どういう風に見せるのかを考えていました。
――主演の山﨑賢人さんは共演されてみて、どんなことを感じましたか。
会うたびにすごい人だなと思います。説得力があって、ドシッとしてくれている。賢人さんのすごい所は、それらにプラスして現場に癒しとリラックスさせる空気感を持っていらっしゃるところです。それが福田組の空気感とマッチしていて、笑いとアクションの融合を高いレベルでできたのは、賢人さんのおかげだと思っています。
今いただいた役がいまの自分に必要なもの
――山本さんは本作のどんなところを注目してもらえたら嬉しいですか。
アクション部のみなさんが今まで見たことのない、忍者と現代アクションの融合を見せたいとおっしゃっていて、そこは注目ポイントになると思います。また、キャストの皆さんも豪華なので1回ではなく、何度でも観ていただきたいと思います。福田組ならではのお笑い、特にムロツヨシさんと佐藤二郎さんのシーンは「もう1回観たい!」と思いました。また福田組に参加できたら、そういうことにも挑戦していきたいと、目標ができました。
――さて、衣装は制服でしたが、山本さんは着用してみていかがでした?
『アンダーニンジャ』を撮影をしたときは27歳で、その年に制服を着る作品が2作続きました。初の制服だったのですが、27歳で制服を着る役が2回続くのか!と驚きました(笑)。また、制服は体型に合うものをオンリーワンで作ってくださっていて、それも福田組のすごいところだなと思いました。
私の学生時代の制服はミニスカートではなく、ロングスカートにレギンスを着用するような感じだったので、今回の撮影で女子高生へのリスペクトも生まれました。また、この年齢になっても、学生の役をいただけることはとてもありがたいので、もし学生役のオファーが来たら「いけます!」と言えるように頑張っていきたいと思いました。
――山田美月を演じていて、自分の高校時代を思い出したりも?
直接思い出すことはなかったのですが、学校のシーンになると空き時間にみんなでおやつを食べたり、ワンちゃんのお話したり、アクションシーンとはかけ離れたほのぼのとした時間があって、それがとても愛おしく感じていました。
――いま山本さんが追求、探求されていることはありますか。
今いただいた役が今の自分に必要なもの、自分に舞い降りてきたものが、自分のすべきことだと思っているので、常にその精神でいることは変わらないでいたいと思います。また、武術に関してもまだ夢の途中ですので、私にしかできないことを伝えていけたらいいなと思っています。山田美月のようなキャラクターを演じてみたかったので、本当にいい機会をいただきました。2025年は巳年。脱皮して新しい姿を見せていけたらと思っています。
(おわり)
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