山本が扮する早風のいぶき

 山本千尋が、出演する、2023年劇団☆新感線43周年興行・秋公演『天號星』に向けてコメントを寄せた。更にビジュアルが解禁となった。

 劇団☆新感線の最新作は、王道“いのうえ歌舞伎”を歌舞伎町「THEATER MILANO-Za」で上演する。今回、中島かずきが繰り出したのは、“あっ”と驚く<入れ替わり>の物語。江戸の町で裏稼業に生きる人々の人情劇と奇想天外な“かずき節”が唸る。

 そして、主宰・いのうえひでのりによる、ケレン味のある立ち回りたっぷりの王道“いのうえ歌舞伎”に、江戸情緒あふれる“池波正太郎風 エッセンス”が加わり、これまでの“いのうえ歌舞伎”とは一味違う、新感線流時代活劇となる。

 今回、山本が演じるのは「早風のいぶき(はやかぜのいぶき)」。古田新太演じる半兵衛の女房で裏では藤壺屋の表稼業と裏稼業を取り仕切っているお伊勢の、実の娘。自らも引導屋の一人として、裏稼業に携わっている役どころだ。

山本千尋:コメント

――新感線には初参加ですね。今回のオファーが来た時の率直なお気持ちはいかがだったでしょうか。

 私、出身が、古田さん始め劇団☆新感線さんの初期メンバーの方たちが多い、兵庫県なんです。そこから上京し、東京で初めて観た舞台が『髑髏城の七人Season鳥』(2017年)で、ものすごく衝撃を受けまして。女優業を始めて間もなかったのですが、「いつか自分も出たい」と思い、いろんな場で「新感線にいつか出たい」と語っていたくらいです(笑)。いろいろな方のおかげでその想いが届き、夢が叶いました。

――なかなかいい作戦でしたね(笑)。

 言ってきて良かった(笑)。ようやくスタートラインに立たせていただけました。あの時に観た沙霧が私の理想のヒロイン像だったのですが、今回同じくらい魅力的な役を中島かずきさんが書いてくださったので、台本を読んでとても感激しました。

――あて書きで書いてくださったわけですものね。

 実は今日、初めてお会いしたんですけど。それこそ中島さんの脚本で(早乙女)太一くん主演の『封刃師』(2022年)というドラマが今回と同じ役名で。表記は漢字とひらがなで違いはあったんですけど、もしかしたら中島さん、私があのドラマに出ていたことは忘れていてまた“いぶき”になったのかなと思っていたら「違うよ、あえてだよ」と教えてくださいました。「初めまして」と言われたらどうしようなんて思っていたんですけど「ようやく会えました」って明るく接してくださって。脚本家の方って独特な空気感をお持ちの方が多い印象ですけど、中島さんはとても気さくでまるで近所にいそうな雰囲気で。あの世界観の物語を書く方とは思えないくらいに優しかったので、なんだかホッとしました。

――今回新感線初参加とはいえ、共演者に早乙女太一さんがいてくれることも心強いのでは。

 かなり心強いです。それこそ『鳥髑髏』で、太一さんの蘭兵衛を見た時に「なんてすごい人なんだ」と思って。存在はもちろん知っていましたが、立ち回りを見たのは初めてだったので衝撃を受けました。一番感動したのは、あの長髪のかつらが、どんなに激しく動いても必ず綺麗な位置に戻ってくるんですよ。髪のさばき方を含め、こんなことまでできる人がいるんだと驚きました。その後、『封刃師』の時に逆に太一さんが私にゲスト出演してほしいとラブコールをくださったみたいで、まさか知ってくださっているなんて!と最初はほぼファンの状態で共演させていただいたんですが、いざ会ってみたら「太一くん、しっかりしてよ~」って言えるくらいにとても仲良しな感覚になっちゃいまして(笑)。

――今回演じるいぶきは、現時点ではどういうキャラクターでどう演じたいと思われていますか。

 私のこだわりとしては自分だけで決めつけることはせずに、稽古に入ってからいのうえさんや他の方たちの空気感を見つつ、役を作っていけたらと思います。でもざっくり言うとしたら、中島さんからのギフトのような、私が思い描く強くて心優しいヒロイン像の魅力が詰まっているような役で。『髑髏城~』の沙霧に自分が惚れたように、愛着を持てるような役だなと思っています。

――今回、新感線初参加が久保(史緒里)さんと山本さんのお二人で。

 そうなんですよ、なので久保さんとお会いできる日が今から楽しみで仕方がないです。劇団員と準劇団員の方々はみなさん、もはや親戚のような集まりになっていると聞いていますので(笑)、早く私も“親戚の隣に住む子”くらいになりたいですね。久保さんとも、役柄的には対照的ではあるけれどお互い寄り添える近しい役でもあるので。初参加同士で、距離を縮められるといいなと思っています。

 そして、既に多くの先輩方から「新感線は大変だよ、身体には気をつけないといけないよ」と言われてきているんですよ。特に大河ドラマの現場で。

――確かに『鎌倉殿の13人』(2022年)には新感線経験者が多かったですからね(笑)。

 私が新感線に出ることを話すと、みなさん「ええっ、それは大変だね」っておっしゃるんです、私としては「すごいじゃん!」みたいな反応をもらえるのかと思っていたのに(笑)。だけど「がんばってね、絶対新感線に合うと思うよ、観に行くね」とも言ってくださったので、まずはその先輩方に「千尋ちゃんってやっぱり体力あるんだね」と思っていただけるようにしたくて。だってみなさん、「きつい、きつい」とおっしゃるから。「いやいや、私はふだんから走っているので大丈夫でしたよ」と涼しい顔で言えるように、とにかくがんばります!(笑)

Photos

記事タグ