INTERVIEW

松本穂香

「出会ったことがないタイプ」追及したいことは“玉城ティナ”


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:23年01月03日

読了時間:約6分

 女優の松本穂香が、2023年1月6日(金)より全国で公開される映画『恋のいばら』に出演。松本は俳優の渡邊圭祐が演じる湯川健太朗の元カノ・富田桃を演じる。城定秀夫監督がメガホンを握った映画『恋のいばら』は、図書館で働く桃が、突然フラれてしまった元カレ・健太朗のSNSを見て、今カノ・真島莉子(演・玉城ティナ)の存在を知る。元カノと今カノ。出会うはずがないふたりが出会い“秘密の共犯”が始まるというストーリー。インタビューでは、玉城ティナとW主演となった撮影エピソードから、本作を通して松本が感じたこと、これから追及したいことまで、話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

距離がギュッと縮まっていった撮影

――城定秀夫監督の作品に携わってみて、どんなことを感じましたか。

 すごく不思議な空気感で、監督はここはこうしてください、こういう風にセリフを言ってくださいとかを、あまり仰らない方なので、初めての空間だなと思いました。自分が脚本から感じたことや、ティナちゃんとの掛け合いの中で生まれたお芝居になりました。

――脚本読んだ時、どんなイメージを抱きましたか。

 最初、ざっくりと「三角関係のお話だよ」ということは聞いていました。でも、最後まで自分で脚本を読んでみると、入り口と出口が違う面白さがありました。桃は私がこれまで演じたことがない役柄で、どこかズレたような人だと感じたので、どう演じようかイメージを固めてから撮影に臨みました。

――松本さんが桃と共感できる部分もありました?

 桃は自分に自信がない人だと思っていて、私もそんなに自分に自信があるわけではないので、そこが共感できるなと思いました。桃は健太朗のようなちょっとダメな男の子でも、自分に自信がないから、優しくされてしまうと、いいなと思ってしまう。それもあって健太朗から上から目線でこられていたんじゃないかなと思います。その自信のなさという部分は自分も重なるところがありました。

――自信がないとのことですが、松本さんご自身は少しずつ変化はありますか。

 人間関係というところでは、そんなに変わっていないと思います。それは、恋愛や友情とか全てまとめてのことなのですが、例えばこんなこと言ったら嫌われてしまうかな? とか、考えてしまうタイプなので。

――お仕事に関しては?

 周りに素敵な方がたくさんいるので、私ももっと頑張らなきゃという気持ちになります。そこに関しては、自信があるからいいと言うわけでもないのかなと思うところもあるのですが、多分あった方がいいんですよね(笑)。なかなか根っこの部分は変わらないですね。

――さて、今回玉城ティナさんとのW主演ですが、今回の松本さんのコメントに「ほぼ初めまして」というの読みました。「ほぼ」と言うことはどこかで会ったことが?

 2019年に公開された『チワワちゃん』という映画に出演して、その作品で1日だけティナちゃんと一緒のシーンがありました。でも、お芝居での会話もなかったですし、雑談もしなかったので、コメントでは「ほぼ初めまして」という表現にしました。

――そういうことだったんですね。今回ティナさんとはお芝居について話したりも?

 お芝居についてはほとんど話してないです。普段から監督さんとはお芝居についてお話しするんですけど、意外と役者同士でそういう話ってすることは少なくて。今回は私とティナちゃんのシーンが多いので、役の中でも2人の距離は近づいていくのですが、実際に私たちも撮影を通して、桃と莉子と同じように距離がギュッと縮まっていったなと思います。

――撮影の最初と最後では印象も変わっていきました?

 そうですね。撮影前にキャストの顔合わせがあったのですが、その時の印象と今の印象は全然違います。最初は自分とは真逆のところにいる人なのかなと、勝手に思っていたのですが、実際に話してみたら波長がすごく合うんです。なので、パートナーがティナちゃんでなければ、撮影を最後まで乗り切るのはもっと大変だったんじゃないかなと思います。

――印象的だった2人でのシーンは?

 健太朗の部屋でのシーンです。基本的にずっと自由度が高い現場だったのですが、さらに自由度が高かったと感じるシーンでした。カメラ長回しのシーンで2人とも動きたいように動いて、監督からの指示は何もなかったんです。2人で抱き合ったりして楽しかったです。

――松本さんが一生懸命走っているシーンも印象的でした。

 早朝の人がいない時に全力で走りました。どのシーンも基本何テイクも重ねないんですけど、走るシーンは何回も撮影しました。カメラが並走して横顔を撮ったりするのですが、タイミングがうまく合わないといけないので。体力的にも大変だったのを覚えています。

追及したいことは“玉城ティナ”

――本作を通して発見や学びはありましたか。

 関係性です。映画などの作品を見ていてもこれは恋愛もの、友情物語とかジャンルみたいなものがついていて、それはそれで素敵だと思うんですけど、そういうふうにはっきりしていなくても良いんだなと、この作品を観て思いました。自分自身、この感情はどういうものなんだろうって、わからないものをはっきりさせたくなるけど、はっきりさせなくてもいい、そういう関係性があってもそれはそれで美しいなって。新しい価値観を広げてくれるような作品だと思います。

――この映画を観た方にもそういうことが伝わればいいですね。

 私はいまお話したようなところでしたが、感じ方は自由です。それはどの映画作品でも同じだと思うんです。本当に自由に楽しんで何かを感じていただければ嬉しいです。特に『恋のいばら』は観た人の感想がそれぞれ違うと思うので、他の人と違う感想をもってもいいと思いますから。

――この作品のキャッチコピーに「恋人同士では絶対見ないでください」とありますが、これには関しては?

 価値観のズレとかがはっきりでてしまうかもしれないです。例えば「この人の元彼ってどんな人なんだろう?」と考えるきっかけになりかねないので(笑)。でも、価値観の違いは早めにわかっていた方が、私はお互い良いと思うので、相手のことをもっと深く知りたいなら、恋人同士でこの作品を観るのも良いと思います。

――改めてお互いを知るのにも良い作品かもしれませんね。最後に松本さんがいま追及していることは?

 いま追及していることはティナちゃんです。私がこれまで出会ったことがないタイプの女性だなと思っていて、ものすごく気持ちの良い人で、今すごく興味があります。ティナちゃんは何をやったとしても、嫌な感じが全くしないですし、繊細なところも持ち合わせていて、人としてすごく面白いなって。この作品がきっかけで出会えたので、もっとお互いを深めていけたらいいなと思っていますし、旅行とか2人で行ってみたいですね。

(おわり)

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