INTERVIEW

松本穂香

ドラマ「ミワさんなりすます」で意識したコメディとサスペンスのバランス


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:23年10月16日

読了時間:約8分

 女優の松本穂香が、NHK夜ドラ『ミワさんなりすます』(NHK総合10月16日から放送開始)に出演する。 松本は本作の主人公、映画マニアの29歳フリーター久保田ミワを演じる。青木U平氏原作の『ミワさんなりすます』を実写化。同作は映画愛が強すぎてアルバイト先のDVDレンタルショップをクビになったことから、敬愛する“推し”の俳優・八海崇の家政婦になりすますことになったミワ。度重なる身バレの危機から、大好きな映画への愛と知識で乗り切っていくという、新感覚のサスペンスフル・コメディドラマ。堤真一、山口紗弥加、高岡早紀、恒松祐里らが脇を固める。インタビューでは本作に臨む姿勢から、共演者とのエピソード、好きな映画作品や音楽について話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

この作品に参加できたことが嬉しい

村上順一

松本穂香

――今回、家政婦になりすますという、おもしろい役どころです。ミワ役に決まったときはどのような心境でしたか。

 最初にざっくりとしたストーリーを聞いたときは「コメディなのかな?」と思ったのですが、原作を読んでみたところとてもシュールな世界観だったので、「これを実写化するとどんな感じになるんだろう?」と思いました。そして、きっと今までにない作品になるんじゃないかというワクワク感がありました。

――久保田ミワという人物を松本さんはどう捉えていましたか。

 ふわふわと周りに流されて生きているような人で、普段は何事に対してもあまり熱量がない人なんです。でも、映画が大好きで、映画のこととなると熱くなります。急に早口になったり、そのギャップが魅力的だなと思いました。

――演じるにあたり準備はどんなことをされましたか。

 本読みを何回かやらせていただいたり、普段の役作りと変わらないところもありましたが、ビジュアルは髪の毛をカットして、原作のミワに寄せました。髪型、すごく気に入っています。あと、ミワは映画マニアなので劇中で出てくる映画、たとえば『パラサイト』のことを語るシーンがあるので、自分が観たことがなかった映画を事前にチェックしました。また、撮影を進めていく中で、コメディとサスペンスのさじ加減やミワの感情の動きなど、監督と相談しました。

――監督から演じるにあたってリクエストも?

 このシーンはこうしてほしいという細かいリクエストもありましたが、私に委ねてくださることが多かったと思います。

――八海を演じる堤さんとご一緒して、松本さんが思っていた堤さんのイメージと違った部分はありましたか。

 イメージ通りの方でした。同じ関西出身なので親近感もあり、すごくハキハキとしたおもしろい方なのですが、芝居はものすごく的確なんです。ベテランだけど、その圧を感じさせない柔らかさがあって、とても素敵な方でした。

――同じ関西出身で地元トークに花が咲いたりも?

 堤さんはご家族のお話をたくさんしてくださったので、地元トークというよりは、お子さんのお話を聞いたりして楽しかったです。

――さて、本作はコメディ要素もありながら、いつバレるのかというスリルがありますよね。

 確かに変な怖さがある作品だと思います(笑)。でも、それが許される世界になっているといいますか、リアルだと怖いような部分も少しコメディになっている世界観でおもしろいと思いました。

――放送が楽しみです。聞いたところによると、後半は原作と変わってくる部分もあるとのことで、それもドラマのみどころになりそうですね。

 原作がまだ続いているので、途中からは脚本家さんのオリジナルのストーリーになっていきます。ドラマならではのストーリーでどんどん展開していくので、どういう風にエンディングを迎えるのか、原作ファンの方も楽しみにしてくれたら嬉しいです。

――先日、クランクアップされたとのことですが、撮影が終わって、改めてどんな現場だったなと思いますか。

 とてもいい環境でした。キャストの皆さんもスタッフさんも個性豊かな方が集まっていて、そういった空気感がドラマにも出ていて、とても魅力的なドラマになっています。私はまだ本編を全部見ることができていないのですが、すごく続きが気になるおもしろいドラマになったので、この作品に参加できたことが嬉しいです。

――ご一緒されてるキャストさんは、共演が初めましての方も多い?

 (山口)紗弥加さんは事務所の先輩なのでお会いしたことはもちろんあるのですが、作品で共演するのは初めてでした。これまでも相談させてもらっていて、マネージャーさんを通じてアドバイスをいただいたり、お会いする機会はちょこちょこあったのですが、やっとご一緒できて嬉しかったです。

――お芝居を間近で見ていかがでした?

 いろいろな意味でおもしろかったです。そんなお芝居で来るんだみたいな。私が原作を読んでいた藤浦華純とは全然印象が違って、紗弥加さんのお芝居はおもしろさとドキドキがありました。こういう感じかなとお相手のトーンを想像しながら台本を読んだりするんですけど、毎回違った角度でくるのでそれが楽しみでした。現場に行かないとどんなお芝居になるのかわからないというのは、私の中であまり経験がなかったので、ご一緒させていただいてすごく刺激をもらいました。

――ミワがひょんなことからなりすます人物となった美羽さくら。そのさくらを演じる恒松祐里さんはいかがでした?

 以前違う作品で親友役をやらせていただいたのですが、あれから時間が経って、「2人とも変わったよね」という話をしました。前回ご一緒したときからより落ち着いて、安心感があって委ねられる感じがあります。物語の中でも恒松さんが演じているさくらに、私が翻弄されてかき乱されていく役だったので、すごく引っ張っていってくれる感じがあり、とても頼りにしていました。

松本穂香が好きなものとは?

村上順一

松本穂香

――松本さん演じるミワは映画マニアで、松本さんはマニアと呼べるようなものってありますか。

 マニアと呼べるかどうかは微妙ですが、怖い話、ホラー作品とか怪談が好きなので、そういうのを見たり聞いたりすることにハマっています。

――怖い作品は昔から興味が?

 昔から興味はありました。最近だとYouTubeとかでいろいろなものが見られるのでよく見ています。

――僕はホラー作品が苦手なので羨ましいです。

 私も怖がりなのですが、コメディ的なところもあるなと思いながら見ている節もあります。作品によっては意外とツッコミどころもたくさんあったりするので、ツッコんだりしながら見るのも楽しいです。

――さて、映画マニアのミワですが、松本さんは映画『ヘアスプレー』がお好きで、何回も観ているとお聞きしています。『ヘアスプレー』の魅力をどこに感じていますか。

 どこか共感できたり、シンプルに楽しくて元気をもらえるところが好きなんです。観ると人としての原点に戻れると言いますか、人として大事なものを教えてくれる、シンプルな良さがある作品だなと感じています。そして、観ることでリフレッシュできるんです。

――何回も見ている作品とのことですが、ミワのように「あのシーンは何分何秒」みたいなこともわかる?

 そういう見方をしたことがないです(笑)。本当にそんな人いるのかな? と思うぐらい、ミワのマニアっぷりはすごいなと思います。でも世界は広いので、そういう人も世の中にはきっといるのかもしれないなって。

――マニアと言っても常軌を逸していますよね。さて、『ヘアスプレー』は元気がもらえる映画とのことでしたが、音楽でそういうポジションの曲はありますか?

 哀愁漂うような、切なさのある曲がそういう位置づけにあると思います。この前、indigo la Endさんの「忘れっぽいんだ」のミュージックビデオに出演させていただいたのですが、indigo la Endさんの切なさのある曲は以前から好きで、自分が悲しいとかそういう心境ではなくても、好きでよく聴いています。

――明るい曲ではなく、悲しい曲で癒される部分があったりとかリフレッシュできるところがあるそうですね。他にはどんな曲を聴いていますか?

 最近はちゃんみなさんの曲も聴いています。全体的に強い女性といった感じが気持ちいいんです。

――最後に本作を楽しみにしている方へメッセージをお願いします!

 夜ドラは月曜から木曜の夜に放送されるので、お仕事や勉強で1日疲れて帰ってきて、気楽に楽しめるドラマになっていると思うので、毎日の楽しみになってもらえたらいいなと思っています。ミワが「もし自分だったら」みたいな妄想や、推しと2人きりになるとこんな感じになるのかな? とか考えながら、一緒にドキドキしてもらえたら嬉しいです。

(おわり)

村上順一

松本穂香

HM:尾曲いずみ
ST:李靖華

シャツ 57,200円
スカート 57,200円ともにTAN
その他スタイリスト私物
※全て税込。
問い合わせ先
TAN
contact@tanteam.jp

■作品情報

NHK 夜ドラ『ミワさんなりすます』

【放送予定】2023年10月16日(月)~12月7日(木)
〔総合〕毎週月~木 よる10時45分(各話15分)<全32話/8週>
【原作】青木U平
【脚本】徳尾浩司
【音楽】平野義久
【主題歌】ハナレグミ
【制作統括】渡辺 悟
【プロデューサー】上田明子 大久保篤

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