巨匠・冨田勲、秘蔵音源収録のアルバム2作品発表 ジャケ写は宇川直宏氏がデザイン
巨匠・冨田勲
今年83歳を迎える世界的作曲家・シンセサイザーアーティストの草分けである冨田勲。2010年代にはDOMMUNEや夏フェスへの出演、さらには初音ミクがオーケストラとコラボした「イーハトーヴ交響曲」の作曲などで、「トミタ・ルネッサンス」ともいえる新たな動きを活発化させ、若い世代にも支持を集めているが、この巨匠による、新たなアルバムのリリースが発表された。
3月4日に日本コロムビアからリリースされる『SPACE FANTASY』は2枚組で、ディスク1には、78年に発表されたアルバム『宇宙幻想』の曲を中心に、同年発表の「バミューダ・トライアングル」、そして76年発表の「火の鳥」の中から厳選されたトラックを、再構成&4chサラウンド化してSACDで収録。冨田が表現したかった本来の姿である“立体音響”での再音源化は、過去の音源に親しんでいるファンにとってもまったく新しい体験をもたらすだろう。
さらに注目なのがディスク2で、こちらは完全未発表音源がCDに収録されている。冨田が昔、強い衝撃を受けたというディズニー「ファンタジア」に触発されて、シンセサイザーでその音世界にオマージュを捧げた未発表音源「魔法使いの弟子」「くるみ割り人形」「ベートーヴェン:田園」「花のワルツ」を世界初収録。
冨田自身が「最もシンセサイザーを自在に使いこなしていた時期」と語る80年代中期に制作されたこの音源は、まさにTOMITAファン驚倒の秘蔵音源であり、まるで機械が生命を吹き込まれて縦横に蠢きまわるような、TOMITAサウンドの世界を十二分に味わうことができる。
同時発売されるもう一方のアルバムは、2003年にリリースされて以来ロングセラーとなっている、冨田がNHKのために作ったテーマ曲を網羅的に集めた『TOMITA ON NHK』の新装版だ。
「今日の料理」や大河ドラマ、そして新日本紀行のテーマなど、戦後日本人のDNAに奥深く刻み込まれたTOMITAサウンド&名メロディを一堂に集めたアルバム。
今回あらたにリリースされる新装版では、幻の音源「ピッポピッポボンボン」や、冨田ファンから収録を熱望されていた「みんなの世界」の旧バージョン、さらには2014年4月より放送されているBSプレミアム「プレミアムシアター」の新テーマ曲も新たに追加。NHK放送黎明期から現在までを支える冨田勲の幅広い音世界を体験できる。
2タイトルのジャケット写真をデザインしたのはDOMMUNE主宰の現代美術家、宇川直宏さん。往年の冨田RCA時代の旧盤ジャケットをリスペクトしつつ、現代的なテイストを盛り込んだ渾身のアートワークとなっている。