冨田勲

 先ほど幕を閉じた『東京オリンピック2020』の閉会式において、式のクライマックスである聖火納火の音楽に、世界的シンセサイザーアーティスト冨田勲さんの代表作「月の光」が使用された。

 2016年に逝去した冨田勲さんは、作曲家としてキャリアをスタートし、NHK大河ドラマ第1作の音楽の作曲をはじめ、多彩な分野で活躍した。また、1970年代からは、当時世に出たばかりのアナログ・シンセサイザーを導入し楽曲制作を開始。電子音楽の世界的な普及の立役者となった。

 今回聖火の納火の際の音楽に使用された「月の光」は、74年に世界発売された冨田のシンセサイザーアルバム第1作『月の光』の中の標題作で、このアルバムは米ビルボード誌の第1位を獲得し、さらに1975年3月開催の第17回グラミー賞において日本人として初めてノミネート。また、NARMの1974年最優秀クラシカル・レコードにも選ばれた記念碑的な作品。

 7月23日に開催された東京オリンピック2020開会式では、聖火点灯の瞬間の音楽として、同じく冨田勲さんの最後の作品『ドクター・コッペリウス』の「日の出」が採用され話題となった。五輪の象徴である聖火の始まりと終わりが、この日本が誇る音楽家の世界的キャリアの端緒となった作品と、生涯最後の作品で彩られるストーリーが、閉会式に至り明らかとなった。

 「月の光」ならびに『ドクター・コッペリウス』~「日の出」は、アルバム「日の出~冨田勲 DENONベスト作品集(英題:RISING PLANET-Tomita’s Greatest Works of Space Music)」に収録され、Spotify、Apple Music等で世界配信されている。

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