STU48が2月17日に6thシングル「独り言で語るくらいなら」を発売する。穏やかな大海原を爽やかな風を帆に受け、ゆっくりと進んできた彼女たち。更なる活躍が期待される今年は日本武道館公演も実現させ、いよいよ彼女たちが先頭を切る大航海時代の幕開けを感じさせる。その最初のシングルで示すのはこれまでの雰囲気とは異なる楽曲だ。選抜メンバー16人はどのような思いで臨んだのか。16人全員のインタビューを16日間連載する。
◆甲斐心愛
「“これから”と言う言葉で片付けたくなくて、“いま”を大事にしていきたいです。最前線に立って引っ張っていきたいです」
加入当時13歳だった彼女は17歳になった。今も変わらずメンバーには親しみも込めて子供扱いされることもある。でも、少しずつ大人になっている。
「いま思えばあの時の自分は反抗期だったかもしれないです。あまりにも子供扱いされるので抵抗はしました。でも今思うとちょっと恥ずかしい…(笑)」
選抜に入れず悔し涙を流した。1stシングル『暗闇』では号泣。今回のシングルのカップリング選抜投票企画では外れ、人知れず涙した。
かと思えば、昨年1月に東京ドームシティ・ラクーアガーデンステージで開催された4thシングル「無謀な夢は覚めることがない」の発売記念イベントでは、会場の隣を走るジェットコースターを見て「乗りたい」と子供っぽく目を輝かせた。
そうした「喜怒哀楽」は彼女の個性だ。
この4年を「うまくいくことばかりじゃない」と振り返る。加入当時は右も左も分からなかった。
「アイドルの活動がどういうものなのか、どうしたら喜んでくれるのか、どういうことがすごいのか全く分からなくて。1stシングル『暗闇』の発売が決まったと発表があって泣いているメンバーを見て、ようやくすごいことなんだなと実感するぐらいで。でも選抜に落ちたことだけははっきりと悔しいと思えました」
そのときに抱いた悔しさは今も忘れない。だが立ち止まるわけではない。ファンの声援に押され前に進む。その結果、選抜入りを果たす。
「STU48に入った当時から今と比べて見た目の変化も言われるけど、自分の立っている景色も変わっています。入った時は選抜メンバーやライブ出演メンバーにも選ばれることがなかった。でもファンの方のおかげで見える景色が変わってきています」
2期研究生が入り、立場も変わった。コロナ禍で向き合い方も考えさせられた。
「コロナで当たり前にあったものがそうではなくなって。それから、いつどうなるかわからない、活動ができなくなることもあるかもしれない、と思うようになりました。だから今を大切にしたいです。出来ることは出来る時になんでも挑戦しようと思いました」
“いま”を大切にする今年、その目標は「いまの私を大切にしてくれているファンの方を大事にしたいです。選抜に入れなくても、ポジションが落ちても、どんな時も、応援してくれているファンの方を大切にしたい。そして、一人でも多く私のことを知ってもらいたいです」
まだあどけなさも残るが、反抗期を反骨精神に変えてしっかりとした足取りで大人の階段を上っている。
こんな時代だからこそ「アイドル」としてできることは何か。
ファンを幸せにすること!アイドルそれぞれ色んな活動の仕方があると思うし、それぞれ違うからこそ面白いと思っています。世の中たくさんの人、アイドルがいる中で、出会った奇跡を大切にしたいし、幸せにしてあげたいです。そのなかで私は、笑顔を分けてあげるのが役目だと思っています!笑顔は伝染すると思っているので、まず自分が笑顔で過ごす。そして、ただ笑っているだけではなく、色んな表情を見せたいし、素直に感情表現することで、ファンの方と気持ちを共有していきたいです。そしてアイドル「甲斐心愛」と過ごす時間が幸せな時間だと思ってもらえたら嬉しいです!
写真のエピソード
丑年のお守りをもって初日の出を観に行きました。赤いアネモネは、岡田奈々さんが一番好きな花らしいです。花言葉は、「君を愛す」。その話した直後にこの写真を撮りました。
6thシングル「独り言で語るくらいなら」インタビュー
――新曲の印象と、それをどう捉え、臨みましたか。または自身と重ねた点があるとしたら?
初めて聞いた時は、すごく壮大な神秘的なそんな印象を持ちました。歌詞を読むと、何かしなきゃと私自身奮い立たされるような、真っ直ぐに心に響く歌詞だと思いました。
――印象に残っている歌詞は?
「僕は何を今すべきか」
自分の立ち位置と役割、出来ること。何が自分の心に引っかかるものがありました。
――レコーディングの秘話、自身が担当した歌唱パートはいかがでしたか。
「窓の向こうには」と「一人でいるのは」の部分です。力強く、歌うことを考えました。サビが三拍子で今までと違ってリズムを取るのが難しかったので、左手でずっと三拍子の指揮をしてました。
――振付はどうでしたか。
感情を表現出来るふりが多くて、振りだけど表情から伝わるものも大きいと思うので何か意思があるようなそんな表情作りを鏡の前で心がけました。
――MVの撮影はどうでしたか。
とにかく沢山踊りました。初めて瀬戸内のロケーション以外の場所で撮影したので、日が登ったり落ちたりするのも分からなくて、いつの間にか外が真っ暗でした。
――この楽曲に、MVに、歌詞に、これまでのSTU48にないものがあるとしたら?
今までのMV撮影と比べて、メンバーのダンスのシンクロ率が高いんじゃないかな!?と思いました。私自身は今回、いろんなメンバーの背中を見ながら踊っていましたが、前も横も一体感がありました。ポジションが「下がったな」という気持ちは忘れたくないけど、与えられたポジションでできることをしっかりしました。過去の曲でも意識していますが、見てくれる方がいると思って、力強い表情で臨みました。
――ご自身にとってこの曲はどういうものになりそうですか?
この曲を聞くと自分を奮い立たされます。将来忘れることのない曲になると思います。
正直、悔しかったです。1日大号泣していました。そのなかで自分なりに考えました。何を頑張るべきなのか、新しいことをやってみようか、とか。でも不安です。1stシングル『暗闇』は選抜に入れなかったんですけど、その後は選抜に入れて、ポジションも前の方に行けて。でも、久しぶりのユニット選抜で選ばれず壁にぶち当たって、それを経ての今回のポジションだったので、どうしたらいいか分からなくて…今でも答えは見つかっていません。でも転機になると思います。
――目の前の目標で何か明確になったものはありますか?例えばセンターに立つとか。
選抜に入るのはもちろんですが、センターは…口に出して言う勇気がないです。勇気と実力、結果が伴っていないから、今の目標はそれを確立させることです。
――2期研究生が入ったことで変わった意識はありますか?
うまくいかないことや結果が残せないことに対して「これからがある」と言ってくれるのは嬉しいんですけど、「これから」ということで片付けたくなくて、「いま、最前線に立って引っ張っていきたい」と思っています。
◇
2021年1月15日、STU48初の日本武道館コンサートが行われた。憧れのステージでアンコールを含め全22曲を披露した。夢舞台に立ったのは1期生・ドラフト3期生。そして、6thシングルの選抜に入った2期研究生、高雄さやか、原田清花が一部参加した。
――日本武道館コンサートを振り返っていかがですか。
とても楽しかったです!一瞬でした。夢のような時間ってこういうことを言うんだなぁと。ペンライトがとてもきれいでした。歓声は聞こえなくても会場にいるファンの皆さん、配信で見てくれている画面の向こうのファンの皆さんの存在に勇気をもらいました。でも、めちゃくちゃ緊張しました。初めての場所だったからか、初心をすごく思い出しました。ここ最近は配信限定のライブが多く、しかも大きな会場のステージに立つのは1年ぶりくらいだったので、久しぶりと感じるがたくさんありました!
そのなかで印象に残っているのは、「思い出せる恋をしよう」のイントロで、石田千穂ちゃんと目が合ったことです。これまでパフォーマンスしていて千穂ちゃんと一度も目が合ったことがなかったのですが、初めて目が合って緊張がほどけたのか、安心感がすごくありました。
初披露させていただいた「独り言で語るくらいなら」は、撮影OKタイムでもあったので、いつにも増して緊張しました。けど、たくさん練習したので、メンバーとの息も合っていたんじゃないかと思っています! それと、課外活動ユニットでは、曲中にしゃべるシーンがあったんですが、リハで考えたことと違うことを無意識に話していて。自分でもびっくりしましたが、本音が出ていました(笑)。
改めて武道館コンサートを経験して、アイドルって最高!だなって再認識しました。ファンの方の存在、メンバー、支えてくれているスタッフ、ここまでの道のり、ステージでの時間、すべてがかけがえのないものだということも改めて思いました。
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