edda「これまでの旅を夢のかたちに」不思議な世界観生み出す想像力の源泉

夢を見ているような感覚で聴いて欲しい

作品展ビジュアル

――今回のレコーディングは、「時をかけ飽きた少女」のような今までやったことのないチャレンジが、他にもたくさんありましたか？

　そうですね。特に大変だったのが今話した「時をかけ飽きた少女」で。あとは最後に収録している「バク」ですね。私の曲の中でこんなにキーの高い曲は他にはなくて。オペラ歌いと言うか、ちゃんとノドを下げて歌わないと出ないキーなんです。

――オペラのような歌い方？

　はい。どの曲も本当は、高いキーを出すときはノドを下げて歌うのが正しい歌い方らしいんですけど、私としてはそういう歌い方だとキャラクターの顔が見えない気がして、あえて正しくないやりかたで、わざと声をつぶして歌ったりしていて。「バク」はそれが通用しなくて。

　歌詞的にもわらべ歌のような感じで、この子の気持ちを歌うというよりは、「昔々こういうバクというバケモノがいました…」という感じで、お話をナレーション的に語るような楽曲だと思ったので、その歌い方が合うと思いました。レコーディングでこういう歌い方をしたのは初めてでした。

――「バク」の歌詞に＜Eli,Eli,Lema Sabachthani?＞と出て来ますが、これは何と言っているんですか？

　神様に「何で私を見捨てたのですか？」と問いかけるときに用いられる、ヘブライ語の定型フレーズです。この歌詞のなかで、唯一主人公の気持ちを表現しているところで、ここにバクという生き物がなぜ夢を集めているのか、集めて館に保管するにあたってどういう気持ちなのかが集約されています。

――バクは、きっと寂しかったんですね。

　そうですね。

――「バク」のMVは若林萌さんによるモノクロのアニメーションで、切ないストーリーになっていましたね。

　歌詞では触れていない部分をアニメーションに落とし込んでいただこうと思ったので、打ち合わせの段階で細かいところまでお話をさせていただきました。バクがなぜ夢を集めているのか、なぜその場所に夢が集まってくるのか…。ぜひMVを見ていただきたいです。

――若林さんの絵も、可愛いけど毒っ気もあるような独特なタッチで。

　若林萌さんは、インディーズ時代の「不老不死」という曲のMVでもご一緒させていただいた方だったので、信頼してお任せすることが出来ました。

　今回「雨の街」など３作のアニメーションをアップする前に、１曲目の「こもりうた」のアニメを私が描いてアップしているんですけど、そこで描かれているのが、「バク」に出て来るバクです。そのアニメーションを見ていただいて、イメージを共有して描いていただきました。

――映像込みで楽しんで欲しいですね。

　全体を通して夢を見ているような浮遊感があって、儚くてとらえどころがなくて、けど温かい。そんな曲が多く集まっている作品なので、寝ながらとか、夢を見ているような感覚で聴いてもらえる１枚かなと思います。

――また、YouTubeではお絵描き企画をやっていますね。曲をバックに流しながら、そのイメージの１枚の絵が出来上がる過程が映されていて。あれは、実際に曲を聴きながら？

　いえ、その曲を書いた時のことを思い出したり、イメージしながら描いています。私自身も描きながら、今までは感覚的だったものが、改めて具体的になりますね。

　もともとよく聴いてもらえている人気曲を、より多くの人に聴いてほしいと思って、じゃあ、ついでに絵も観てもらおうということで始まったんです。

――パソコンで描かれているんですか？

　いえ、iPadです。メディバンペイントというアプリで描いています。でも私、まったく機能を使いこなせてなくて。ショートカットが分かればもっと効率良く描けると思うんですけど、よく分かってなくて、効率悪いな〜と思いながら描いています。

――アルバムリリースと同時に、作品展も開催されますね。

作品展 イラスト画像

　今作で参加していただいた、クリエーターさんとの打ち合わせで使用した設定資料だったり、eddaの過去の作品の絵やジオラマなどを展示しています。ストップモーションでMVを撮った時の素材を展示したり、今回のアー写も展示していて。アー写も実はけっこう手が込んでいて、作るのが大変でした。こういったアートワークも、アルバムと一緒に楽しんでいただければ嬉しいです。

（おわり）

「バク」MUSIC VIDEO

2ndフルアルバム「いつかの夢のゆくところ」トレーラー

edda x しばたたかひろ「雨の街」

edda x ギブミ～！トモタカ「ポルターガイスト」

edda x イケガミヨリユキ「イマジナリーフレンド」