共同作業は自分にとってスキルアップ、edda 独自感性が生む物語
INTERVIEW

共同作業は自分にとってスキルアップ、edda 独自感性が生む物語


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年08月29日

読了時間:約13分

 シンガーソングライターのeddaが8月22日、ニューシングル「フラワーステップ」をリリースした。絵本や童話のような物語性のある歌詞とウィスパーボーカルが話題を呼び、テレビ東京系ドラマスペシャル『忘却のサチコ』主題歌「リピート」などを手がけて注目を集めている。今作の表題曲「フラワーステップ」は、女優の広瀬アリスが主演する放送中の日本テレビ系ドラマ『探偵が早すぎる』の主題歌として放送開始直後から話題だ。「ヒロイン・一華ちゃんのどこかか弱かったり、命の危機にさらされながら葛藤していくところを、私なりのストーリーに落とし込めないかと考えて作りました」と話す同曲の根底には、edda独自の斬新な物語が込められている。彼女の創作の様子や趣味のゲームの話など多岐にわたり話を聞いた。【取材=榑林史章】

花は儚さのシンボル

「フラワーステップ」通常盤

──「フラワーステップ」はドラマ『探偵が早すぎる』の主題歌で、ドラマ主題歌を担当されたのは今回で2回目ですね。

 はい。前回が「リピート」という曲で、『忘却のサチコ』というドラマでしたが、それは単発のスペシャルドラマだったので、連続ドラマの主題歌は今回が初めです。今回お話をうかがった時は、自分的に衝撃でとても嬉しかったです。

 お話をいただいてから曲を作るまであまり期間がなかったので、上手く作れるか不安もあったんですけど、作っている間はすごく楽しかったです。それにこういったタイアップ楽曲を作る時は、先方の物語と私の考える物語との間で、共通点を見つけながら進めていかないといけないので、その作業はすごくスキルアップに繋がると思いましたし、実際にすごく自信になりました。

──原作小説や台本を読んでから、制作されたそうですね。

 台本を読ませていただいたのですが、すごく面白かったです。探偵の決めゼリフに「トリック返し」というのが出てきて、ドラマの中では毎回ポカーンとされるというオチがあるんですけど、私も最初に読んだ時は意味が分からなくてポカーンとしました(笑)。

 コメディタッチだけれど感動できる要素もある内容なので、その部分を楽曲にも活かしたいなと思って。全体的にポップな曲調だけれど、その中にグッと胸にくる部分もある曲にしたいと思って制作しました。

──歌詞の面では、ドラマのどういう部分とリンクさせて書いていこうと思いましたか?

 ドラマの側から、ヒロインの十川一華ちゃんの気持ちに合わせて欲しいという提案がありました。それで、一華ちゃんのどこかか弱かったり、命の危機にさらされながら葛藤していくところを、私なりのストーリーに落とし込めないかと考えました。

──十川一華と言えば、広瀬アリスさんの表情の演技が、すごくコミカルで面白いですよね。

 そうなんですよね。ああいうコミカルな演技をされているアリスちゃんは観たことがなかったので、すごいなって思いました。それまでの印象とは違って、「こういう表現もできる女優さんなんだ!」と分かって、ますます好きになりました。

 それで「フラワーステップ」の歌詞には<花束になり腐って>とか、少し乱暴な言葉を使っているところがあるんですけど、それはアリスちゃんが演じている一華ちゃんのキャラクターともリンクするかなと思って書いています。

──eddaさんの楽曲には、毎回独自のストーリーが込められていますが、「フラワーステップ」はどんなストーリーですか?

 今回私が考えたのは、体に花が生えてしまう病に冒された主人公が、大好きな君に会いに行くというものです。そんな病になっても、がむしゃらに頑張っていくところが、一華ちゃんとリンクしたらいいなと思って書きました。

──すごい病ですね。

 花は儚さのシンボルみたいなイメージを持っていたので、か弱さや一生懸命さを表せるのは花だなと思って、そこから物語を膨らませていきました。

──「フラワーステップ」という言葉は、主人公の名前ですか?

 主人公の名前は考えてなくて、でも性別は男の子なんです。ドラマの主人公が女の子だから、本当なら曲の主人公も女の子のほうが良かったと思うんですけど…私の中でか弱い存在を描く時は、男の子のほうがしっくりくるんです。だからドラマの説明を聞いた時に、最初から男の子が浮かんでいて、すぐに男の子が走っているイメージが浮かんでいました。

 それで「フラワーステップ」という言葉は、主人公の少年がかかった病の名前です。正式な病名ではないけれど、主人公のことをみんなが指さして「フラワーステップがいるぞ」って言ってるみたいなイメージで付けました。

 本当に最初に浮かんだイメージが、花だらけになった少年が走ってるような絵だったんです。足だけが残っていて、あとは全部花になって走ってるような。その様子をちょっとバカにしたあだ名で呼ぶような感じですけど、主人公も「うわ~フラワーステップになっちゃったよ」って、それほど深刻には受け止めていないみたいな感じですね。それにそういう名前が付いていることで、悲しい物語にひょうきんさも加わると思いました。

──「フラワーステップ」と言う言葉だけだと、すごく明るくて華やかなイメージでしたが、根底にはそういうシュールな物語があったわけですね。

 こういうインタビューで、「どういうステップなんですか?」と聞かれることもあって。ダンスステップのことはまったく想像してなかったので、聞かれて、そういう風に捉えることもできるんだなって気づくこともあります。だから他の方の解釈を聞くのが、すごく面白いですね。

──そういうネーミングセンスの元になっているのは、小説とか映画とかですか?

 どちらも好きですし、子どもの頃は絵本も好きでした。最近は漫画もよく読んでいます。最近は『乱と灰色の世界』(入江亜季氏の漫画)という作品が面白かったです。4人の魔法使いが出てくる話なんですけど、すごく面白いのでオススメです!

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