日本にとってチャンス、世界に胸を張れる文化
――さて『サタデー・ナイト・フィーバー』がカルチャーやファッション以外で伝えているものは何だと思いますか。
青春映画ですから、身の回りで起きた事に直面していく中で、自分を成長させていく映画でもあると思います。今回のミュージカルでは主演のリチャード・ウィンザーがバレーダンサーですので、事細かにそれを演劇とダンスで表現してくれると思います。若い人にもシリアスな場面とか伝わるのではないかと思います。これを機にまた映画を見直すというのもいいかもしれない。
リチャード・ウィンザーには制作発表会でご一緒して、やはり踊りがキレッキレですよね。僕がDJをやって、リチャードとアンミカさんと踊ったんだけど、一つ一つのポージングやキメがかっこいいし、おしゃれなんですよ。それで、アンミカさんとのペアダンスでもリードの仕方がかっこいいし、それをミュージカルで魅せるので絶対虜になると思います。
――きれいなファッションで出かけるディスコスタイルを体現されるような。
そうそう。映画ではディスコのシーンとトニーの家で食事しながら家族で言い合っているシーンがあって、あれは非日常と日常をうまく描いていて面白い対照的なシーンです。僕は海外で上演された映像を見ましたが、それもしっかりと展開されているんですよ。映像を見ても面白くて。
――それと日本はどうしても海外に対して劣等感みたいなものを感じているところはあって、でもこの映画でトニーは人種は関係ないと言っているところがあって。そういう意味でも日本が欠けているところを補える作品だと思います。
まさにそうですね。音楽もそうですし、スポーツもそうです。僕らの世代というか、どこまでの世代かは分からないけど、どうしても海外コンプレックスはあると思う。音楽にしたら、イギリスやアメリカの方がすごい、踊りにしたら、黒人ダンサーにはかなわないとか、そういうコンプレックスがある。でも今の世代の人たちはそういうのがないんですよね。色々な競技でも、今の時代は日本独自の力でそれを埋めている感じはあって、外に向いている感じしますよね。逆に海外が、日本を注目してくれている。今までは「日本はこうなんですよ」と発信してもなかなか届かなかったけどウェルカムになっている気はします。
――東京オリンピック、パラリンピックもそうですが、世界へ羽ばたけるチャンスがきている?
世界は日本に注目しているんですよね、「日本は何をするんだろうか」と。今回のラグビーワールドカップでも「ランチパック」が日本で取材をしていた海外記者たちの間で絶賛してバズっていましたが、日本が当たり前にやっていることが実は海外ではすごいことで、それに目を向けてくれている。僕は盆踊りでDJをやっていますが、そのスタイルを海外に持ち込んでも受け入れられていたので、それはすごく実感しています。
――神田明神で盆踊りとディスコが融合したイベントをされていましたね。
僕は、2020年はヘッドホンして盆ディスコを世界中の人とやりたいですね。その盆ディスコでは『サタデー・ナイト・フィーバー』でも流れていた「ステイン・アライヴ」とかの曲をかけているんですよ。この作品に使われた曲は盆踊りでも踊りやすいんですよね。
――テンポが似ている?
たぶんグルーヴだと思います。それとメロディが入ってきやすいので、日本盆踊り協会の方も「すごく踊りやすかった」と言っていました。盆踊り用に曲をアレンジし直すのではなくて、そのまま使用する。TRFなら「EZ DO DANCE」とか。でも実際にそれも流しましたが、そのまま踊れて。ジャパニーズカルチャーというところでも、台湾やフランスなどはその壁は越えられて、フランスでも盆ディスコをやりましたが、そもそも日本の文化が好きだからすぐに受け入れてくれて、踊ってくれました。それとアフリカにも行って、盛り上がりました。
――ダンスの本場のアフリカでも受け入れられたのはすごいですね。最後に一言お願いします。
、このミュージカルでは、物語の迫力は美しさ、そして、ビー・ジーズの音楽が楽しめると思います。映画のサウンドトラックは世界で4000万枚も売り上げた音ですから、初めて聴く人も思いっきり楽しめると思いますので是非会場にお越しください。
(おわり)
公演情報
ミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」
生演奏・英語上演・日本語字幕あり
演出:ビル・ケンライト 振付:ビル・ディーマー 出演:リチャード・ウィンザー 他
公演日時:2019 年12 月13 日(金)~29 日(日) 全22 回
会場:東京国際フォーラム・ホールC(有楽町)