DJ KOO「テンポが時代背景を促している」DJ活動の40年間を振り返る
INTERVIEW

DJ KOO「テンポが時代背景を促している」DJ活動の40年間を振り返る


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:20年03月04日

読了時間:約14分

 DJ KOOが3月4日、アルバム『オドレーJAPAN! ~歴代オドレル J-POP 日本代表~』をリリース。本作は昭和から平成までそれぞれの時代を彩る、約40年をさかのぼるミックスコンピCD。DJ KOO with DJ BLUEがプロデュースする“オドレル”を軸にした本作を中心にDJ KOOにインタビュー。日本のダンスミュージックを黎明期から駆け抜けるDJ KOOの40年間の話や、本作38曲のセレクトの背景、各楽曲の様々な時代背景、音楽シーンの移り変わり、TRFの楽曲や小室哲哉が手がける楽曲制作秘話など、多岐にわたり話を聞いた。【取材=平吉賢治】

約40年をさかのぼる“オドレル”J-POP

『オドレーJAPAN! ~歴代オドレル J-POP 日本代表~』ジャケ写

――J-POPシーン約40年をさかのぼる本作、どのように選曲したのでしょうか。

 昭和、平成それぞれの曲なので、当時の雰囲気が一発で蘇ってきますよね。1曲目はDA PUMP「U.S.A.」で勢いをつけて、最後は西城秀樹さんで締めたいなと。最初と最後は肝でした。

――最後が西城秀樹さんの「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」というのはフィナーレ感がありました。

 そうですよね。色んなDJイベントでやっても、やっぱり「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」をかけると、EDMやHIP HOPを踊っていようが最後は全員が一つになるんです。みんなが知っている曲が連発しているので、ダブルアンコール以上の盛り上がりになっています。踊れる楽曲の体感する力って強いと思うんです。グルーヴを感じるというところで「オドレーJAPAN!」という感じで、ダンスというより「オドレー」なんですよ(笑)。「オドレー」はちゃんとダンスするというより、体が揺れてリズムに乗るということなんですよね。

――グルーヴには人を踊らせる力がある?

 グルーヴって感覚なんです。そのリズムが繰り返されてくることでだんだん体が動いてくるというのがグルーヴなので、正にそういうような選曲とミックスになっています。

――同じテンポの曲が並んでいたりするので聴いて自然と体が動きました。

 そうです! そこはDJ感覚の踊れる選曲の流れで作っていくので、テンポが似ているものや、ノリが前の曲と同じような曲にしてグルーヴを作っていくんです。正にDJプレイを1時間やっているのと一緒で、クラブやイベントなどでやっている時、最初は4つ打ちで気持ちが上がってきて、最後はみんなで一つになれるという選曲と一緒です。途中は懐かしんで聴ける曲もあれば、次の曲がきた時にテンションがパーンと上がるという、そこが楽曲の強さなんです。

――グルーヴと楽曲の強みがミックスされているのですね。今作のジャケットについてですが、凄いインパクトです。

 原哲夫先生が描いてくれたんですよ! 僕はDJをやると意外と手先が速いんです。普段はボーッとしている感じに見えますけど(笑)。いざDJブースに行くとスイッチが入って『北斗の拳』のケンシロウの技、北斗百裂拳の感じがあるというので、ご相談させて頂いたたら「やってみようか」と。“世紀末DJ”というのもなかなかないですよ(笑)。ジャケ買いのインパクトもほしかったんです。

――約40年をさかのぼるノンストップミックスというのもなかなかないアプローチだと思います。

 ダンスもののコンピレーションは時代で区切って出すのが普通なんですよね。洋楽だったらユーロビート、トランス、HIP HOPの時代など。J-POPもそうで、「90年代J-POP」とか「昭和J-POP」というようなくくりで出すことが多かったんですけど、一気に全部の時代をやるというのは初めてだし、そんな大変なことはなかなか勇気がいります。

――初の試みをDJ KOOさんがやったのですね。

 そこはうちのプロジェクトの強みです。スタッフも選曲会議でいくらでも曲が浮かぶけど、レコード会社の壁というか権利関係とかあるじゃないですか? 「難しそうですね…」というのが普通だけど、うちのスタッフは「じゃあ聞いてみましょう!」と、対応が早くて凄いんですよ。初めてのことだけどみんなが協力してくれまして。

――他にも候補曲はあったのでしょうか。

 100曲なんてすぐ出ましたよ。それ以上あったんですけど、そのなかでも時代を彩っていくものをと。選曲は大変でした。

――凄く洗練されている選曲と感じました。DA PUMP「U.S.A.」は広く受け入れられましたが、なぜあれほど受け入れられたと感じますか。

 基本のユーロビートの匂いや、日本人が好きな哀愁があったりするダンスビートを平成版で新鮮にDA PUMPがやったというのと、「見るからに踊れるし真似したくなる」ということですね。初めは“ダサカッコいい”というような声もあったみたいですけど、それが新鮮なんです。要は観て聴く人が元気にハッピーになれればいいことで。そこに彼らは凄く信念を持っていたので、「U.S.A.」はあれだけいって良かったと思います。

 DA PUMPとは同志で、90年代を一緒に乗り越えてきた時代背景を知っているので、これを今やるというのは平成のDA PUMPというのがまた見られるというので期待して見ていました。それが良い意味でも爆発したと思います。

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