DJ KOOが見た時代変化、40年前と重なる現代の音楽シーン 違いは「粋」
INTERVIEW

DJ KOOが見た時代変化、40年前と重なる現代の音楽シーン 違いは「粋」


記者:木村武雄

撮影:

掲載:19年12月10日

読了時間:約10分

 世界的ディスコブームを牽引した、ジョン・トラボルタ主演映画『サタデー・ナイト・フィーバー』の新演出版ミュージカル『サタデー・ナイト・フィーバー』がリチャード・ウィンザー主演で12月13日から日本で上演される。世界的なサブカルの潮目を変えたとも言われている本作の映画。その後の日本にどう影響を与えたのか。同公演の公式サポーターで、ディスコ全盛時代の象徴とも言えるレジェンド、DJ KOOに話を聞いた。【取材・撮影=木村武雄】

すべての文化に衝撃を与えた『サタデー・ナイト・フィーバー』

――『サタデー・ナイト・フィーバー』の映画は1977年に全米で、翌年に日本でも公開されました。当時の印象はいかがでしたか?

 世界中の若者の人生を変えた映画ですよね。それまでも青春映画はありましたけど、ディスコ、ダンス、音楽を通してカルチャーを変えたのは当時ではこの作品だったと言ってもいいぐらい。1977年、この映画、そして劇中にも使われたビー・ジーズの楽曲によって世界ががらりと変わった。日本でも翌年に公開されましたが、ディスコカルチャーだけでなく、ファッションも変わりました。音楽も、それまではロックテイストが強かったけど、ローリング・ストーンズやクイーンまでもがみんな踊るためのサウンドを意識するようになって、実際にそういう曲も生まれて、ドエライことになったと思いました。それほどの大きなインパクトがありました。私は当時、DJの見習いをやっていた頃。それまではディストーションをかけてガンガン鳴らしていたような音楽シーンが、リズム、ベース、グルーヴを基調に音楽を作っていって、それを目の当たりにしてすごい事になったなと思いました。

――当時と今の違いは?

 それは、当時には「粋」があった、ということだと思います。今と比べても新鮮さは違う。そこには、ディスコ、ソウル、R&Bという様々な音楽はありましたが、ファッションとカルチャーが一体化したのがディスコだと思っています。映画の最初で、トニー(ジョン・トラボルタ)がペンキを持って街を歩くシーンがありますが、あのシーンは粋きでかっこいい。ディスコを楽しむために服を買いに行っていましたからね。そういうことが新しかったし、粋でした。

――今は音楽面でも時代の変化が表れていますが、そういうところで当時と通じるところはありますか。

 まさにそれですよ! 今では、みんながEDMの音の作り方をしている。EDMは5年前に流行り出して、今ではDJカルチャーが浸透して、そういう意味でも時代は変わっています。

――当時も今もディスコサウンドが惹かれる要因は何だと思いますか?

 その要因は、聴く音楽から、体で踊る音楽というところに変化したということが大きいと思います。体を動かせば気持ちも高揚していく。でもJ-POPもそうですが、ダンスミュージックへのアプローチはいつの時代にも出てきますよね。90年代まさにそうで、TRFはダンスミュージックでしたけど、その頃のバンドでもウルフルズさんはまさにディスコで「ガッツだぜ!!」をやっていましたからね。

――当時大きなインパクトを与えた作品をこの時代にミュージカルでやる意義は感じられましたか?

 映画は昨年、日本公開40周年を迎えてまた波が来ていますよね。当時のディスコを楽しんでいた世代はすごく元気。もうパワーがすごい。40周年を記念してその前後でディスコイベントが各地で開催されましたが、一つのイベントで平日でも5、6000人が集まる。それぐらい今も勢いがあって、やっぱり日本でのダンスミュージックのスタンダードはディスコだなと感じました。そもそもこの映画とミュージカルは相性がいい。ミュージカルを通じて新たな世代にディスコカルチャーを伝えるという意味でも意義はあると思います。

DJ KOO

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