音楽は夢であり日常――、伊原六花×小林豊 「明治東京恋伽」撮影秘話
INTERVIEW

音楽は夢であり日常――、伊原六花×小林豊 「明治東京恋伽」撮影秘話


記者:桂 伸也

撮影:

掲載:19年04月11日

読了時間:約16分

知らなかった明治時代への興味をそそられた撮影

伊原六花×小林豊

伊原六花×小林豊

――撮影は1カ月ほど明治村でおこなったそうですが、実体験をしてみていかがでしたでしょうか?明治の世界には、知らないことも多かったと思いますが。

伊原六花 空気感とか、雰囲気がすごく素敵でした。明治村自体も、本当にあったものをそのまま使っている場所も多かったです。だから再現しているところはもちろん、本当にいい意味で『明治東京恋伽』の雰囲気にピッタリだと思いました。

小林豊 建物なんかがすごくオシャレで、僕も素敵だと思いました。

――明治という時代に、もともと何かイメージされていましたか?

伊原六花 私は授業で習ったくらいです。

小林豊 全然わからなかったです。平成の前だから…いや違う、昭和の前か…。

――もっと前です! 昭和の前は大正ですから、3つ前(笑)。

小林豊 結構、前ですね(笑)。いや~それは難しい。住んでないから(笑)

伊原六花 誰も住んでないよ!(笑)

――住んでない?(笑)。逆にそんな歴史に対して、普段から興味を持ったことはないですか? 例えば劇中でも、今はなかなか見られない懐中時計なんかを見て“カッコいいと思っていた”とか…。

小林豊 懐中時計は大好きです! 持っていますから。ゲーセンで取ったんですが(笑)。でもあの感じは好き、懐中時計はいいなと思います。パッと開けたら、何かが出てくる感じも好きだし。

――実際にお持ちでしたか。ではいくつか、そんなアンティークな方向にも、何となく興味があるような感じではありますね。

伊原六花 眼鏡にチェーンがついているのって、最近流行っていますよね?よく見かけます。

小林豊 あれは俺、数年前からやっていたよ。そのころは“ダサい!”って言われたけど、今流行りだしてからは“ほれ見ろ”って(笑)

伊原六花 (笑)。可愛いから、女の子も結構つけていますよね。

――確かに最近はよく見かけるようになりましたね。伊原さんの方は、ご興味はいかがでしょう?

伊原六花 いや~私は全然、知らなかったというか…もちろん森鴎外さんとか、お名前は知っていたんですけど。お話をいただいてから、さらに調べるようになりました。

小林豊 名前は一人も知らなかった…。

伊原六花 え~!?(笑)。森鴎外さんも?

小林豊 うん。だから(六花ちゃんは)歴史が強いんだよ(笑)

伊原六花 いやいや、森鴎外さんは知っているよ!(笑)。私が強いんじゃなくて、小林さんが弱すぎるんですって(笑)

――(笑)。また伊原さんは、あの人気漫画『はいからさんが通る』の主人公みたいなスタイルというか。ああいったコスチュームを着ると、気分も上がってきたりしましたか?

伊原六花 そういう感じもありました、あのファッショの柄である矢絣(やがすり)柄という名前は、今回知ったんですけど、めちゃめちゃ可愛いし。袴を着るのも今回が初めてで、最初は草履とかもなれずに歩きづらかったんです。でも1カ月もやっていると、袴を着るスピードもメッチャ早くなって、普通の靴より草履とか下駄の方が歩きやすいと思えるようになりました。違和感なく、むしろ着ていると気持ちいいな、と思えるようにも。

小林豊 あれもよかったね。僕も明治村で、和服で歩きたいなと思いました。

伊原六花 衣装を貸し出すサービスがあったんです。だから皆さん着て、袴を着て歩けるようになっていて。それこそ芽衣ちゃんと同じ格好で、歩いている方もいました。

――そういえば、小林さんが演じられたチャーリーは、登場人物の中で一人だけ洋装でしたもんね。

小林豊 そうなんです。だからちょっとうらやましいなと思いました。

――一方で役柄についてはいかがでしょう? もともと原作がゲームですが、伊原さんが演じられたこの芽衣というキャラクターは、ゲームではプレーしている本人、その意味ではなかなか役柄を想像しにくい、というところもあったかと思いますが…。

伊原六花 そうですね、でもだからこそというところもありました。実際にゲームをやってみて感じたんですが、ゲームの中では誰がやっても、それは芽衣ちゃん目線で物語が進むんです。だから芽衣ちゃんが見た鴎外さんとか、チャーリーさんという風に物語が進むんです。

 そこでは特に“前に出るのが苦手な私には”みたいなキーワードなどがゲーム中に出てくるんです。そんなキーワードをピックアップして、大体の芽衣ちゃん像を作っていきました。だからこの作品をご覧になる方にも、例えば「芽衣ちゃんと鴎外さんのシーン」みたいな見え方よりも、見ている人自身が芽衣ちゃんになったつもりで、物語が進むように演じられたらいいなと思いました。

――では、大分ゲームを利用した感じですね。

伊原六花 はい。私自身が芽衣ちゃんに思った感情を、ドラマ、映画で見てくださっている方も感じて、芽衣ちゃんの立場で物語が進めば面白いかなと思いましたし。だから芽衣ちゃんを確立するというよりは、できるだけ自分が最初に感じた思いを、そのまま演じられるように心がけました。

――小林さんの方はいかがでしょう? チャーリーという役は、ずいぶん変わった役の印象もありましたが。

小林豊 明治東京恋伽のファンの方たちも多分そう感じられていると思いますが、チャーリーは不思議なキャラクターのイメージがあります。僕は、そのチャーリーの声とか、写真というか絵だけど、そのシーンからこういう動きを想像しているんだろう、というイメージを想像しなければいけなかったので、敢えて自分のお芝居というよりも、自分をできるだけそこに摺り寄せていきたいと思っていました。

 結構、自分の中で印象に残ったシーンなんかは、その部分を何度も何度も聞いて声色を合わせたり、しゃべる口調を合わせたりしていました。だからイリュージョンのシーンなんかは…。

伊原六花 小林さんはすごいです! ゲームの初っ端に出てくるチャーリーの姿と、全く一緒なくらい。演じているのを見て“あ、本物だ!”って思いました。

――“画面から飛び出てきた”みたいな?

伊原六花 本当に。また小林さんって近しい感じもあるんですよね、チャーリーさんと。

小林豊 いや~実は自分で普段しゃべっていて、たまに自分で“俺、チャーリーに似てるんじゃないか?”と思うときがあるんだよね(笑)

伊原六花 本当に。また今回は、他の皆さんも本当に登場キャラクターそのままみたいな人が多いです。もちろん役作りはされていると思うけど、普段から役柄に似た感じの方が多かったです。久保田さんもあのクールな感じというか、皆さんのイメージに合っている部分はあるな、と思ったし、岩永さんは普段からあのしゃべり方だったりと。

――なるほど。岩永さんはかなりの知的な方ですよね。

伊原六花 本当にピッタリの感じでした。宮崎さんが演じられた鴎外さんも、本当にピッタリでした。桃介さんは、松島さんとはちょっと違ったかな。

小林豊 桃介はね。普段とは違う感じ。だけどクールに頑張っていましたね。

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伊原六花×小林豊
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