INTERVIEW

葉山奨之×伊原六花

2人の活動の原動力とは?


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:22年12月02日

読了時間:約9分

 俳優の葉山奨之と伊原六花が、ディズニープラスで独占配信中のドラマシリーズ『シコふんじゃった!』に出演。葉山は卒業単位だけのために相撲部に入った”崖っぷち”大学4年生の森山亮太、伊原六花は廃部の危機を迎えた相撲部のたった一人の部員で相撲以外への興味ゼロな“人生音痴”の大学2年生の大庭穗香を演じる。ドラマ『シコふんじゃった!』は、日本アカデミー賞5部門を受賞した映画『シコふんじゃった。』(1992年公開)から30年後の続編で、新キャストを迎え撮影された胸アツ青春コメディ。インタビューでは撮影の舞台裏から、2人の活動の原動力まで話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

出逢うべくして出逢った運命の役(葉山奨之)

葉山奨之

――出演が決まった時はどのような心境でしたか。

葉山奨之 オーディションを受けたとき、渡された資料を見て、僕が亮太を演じている姿を想像できたキャラでした。「これはいけるぞ」という謎の自信があったんです。自分がやるんだというエネルギーで溢れていて、出逢うべくして出逢った運命の役でした。そういう感覚になれたのは、10年以上俳優をしていて初めてのことでした。

伊原六花 私はオーディションで四股(シコ)を踏んだのですが、最初は踏み方が分からなくて。動画をいただいていたので、それを見て練習していくうちに、だんだん相撲の奥深さがわかってきました。私は葉山さんのようにオーディションに手応えがあったという感じではなかったのですが、この作品に関われたらいいなとすごく思っていたので、参加できて本当に嬉しかったです。

――撮影までに稽古があったとお聞きしていますが、どんな感じでした?

葉山奨之 2ヶ月ほど四股、すり足、鉄砲、股割りと相撲の基礎から稽古をやりました。これができないと作品が成立しないので、どれだけ身体に落とし込めるか、というのも自分の中のテーマにありました。

『シコふんじゃった!』(C)2022 Disney

――股割りは大変そうですね。

葉山奨之 大変でした。六花ちゃんは体が柔らかいのですが、僕はガチガチだったので100キロくらいある相撲の先生が、柔らかくするように乗っかってくるんですけど、僕はそれが辛かったので、お風呂上がりにテレビを観ながらとか、毎日股割りをやってました。でも、そんなに股割りのシーンがないんですよ。

伊原六花 確かに。

葉山奨之 あんなに頑張ったのにね(笑)。

伊原六花 私は股割りはそんなに苦労はしなかったのですが、四股を踏むのがすごく難しくて。1日に100回くらい踏むのですが、体力が続かなくて足がプルプルしてしまって。でも、やっているとできるようになるもので、後半にはみんなできるようになってました。あと、週3の稽古で下半身の筋肉はついていったのですが、私は上半身が貧弱で...。そこはまた稽古とは別でトレーニングに行って、上半身の筋肉と脂肪を増量していきました。

――伊原さん、四股を踏む姿、美しかったですね。

『シコふんじゃった!』(C)2022 Disney

伊原六花 ありがとうございます! 嬉しいです。

葉山奨之 僕はそれを生で見ていたのですが、その姿を見て毎回すごいなと思っていました。

――役の中で縮まったり、離れたりと2人の距離感も印象的なのですが、そこはどのように考えていましたか。

葉山奨之 六花ちゃんと監督とで本読みをしたのですが、その時にお互い距離感を掴めたと感じています。脚本を読んで疑問に思っていたことがどんどん払拭されましたし、その作業は入念に行いました。

伊原六花 私も最初は穗香という役が掴めていなかったのですが、本読みをしていく中で良いコンビになっていくんだろうなという予感がありました。葉山さん、監督と話し合った場面もありますが、割とお互い思っていることが同じだったので、順調に撮影できました。

すごく上手に負けてくださって救われました(伊原六花)

伊原六花

――撮影を重ねていくにつれ、それぞれの印象は変わりましたか。

葉山奨之 すごく変わりました。最初はクールな方だと思っていたので、自分のミッションとして、1日1回六花ちゃんを笑わせようと思っていました。でも六花ちゃんはすぐ笑うので、余裕でしたね。もっと難しいミッションを課せておけば良かったなと(笑)。

伊原六花 あはは。私は2人のシーンがすごく多かったので、印象が変わるかなと思ったのですが、最初から最後まで変わらなかったです。葉山さんはみんなに愛される、中心的な存在が似合う方だなと思っていて、みんなを巻き込みながらチーム感を出して下さってましたし、自由に演技されるので、みんなもアドリブが多くなったり。それは葉山さんのフレンドリーな人柄があってこそだなと思いました。

――竹中直人さん、六平直政さんなどOBの方との共演は如何でした?

『シコふんじゃった!』(C)2022 Disney

葉山奨之 「映画で観ていたキャラだ!」と思いながら共演させていただいていたのですが、不思議な感覚でした。30年前と変わらないような雰囲気でこられるので、僕らよりもエネルギッシュな感じがありました。もし僕が30年後に同じ役で演じることがあったら、同じようにできるのかなと考えたりとすごく勉強になりましたし、いろんな感情がわきました。

伊原六花 私は竹中さん演じる青木富夫先生の内無双を生で見れた時は感動しました。あと、六平さん、竹中さんは葉山さん以上に自由に演技をされるので、アドリブが急に来るんです。

葉山奨之 それを僕らは返さなければいけなくて。「なんだ、この若手アドリブを返せないな」と思われたくないんですよ(笑)。こっちもなんでも来てください!みたいな姿勢で演じていました。

伊原六花 もう、OBの方と勝負ですよね。

――スリリングですね。お2人が印象的だったシーンは?

『シコふんじゃった!』(C)2022 Disney

伊原六花 一番時間をかけ、手探りでやったシーンということもあり、十番勝負です。このシーンで相撲シーンもイケると皆さんに感じてもらって2話、3話と続けて見てもらえたらという話をしていたので、すごく大切にしていたシーンなんです。

葉山奨之 でも、異性と相撲を取るということは、僕が六花ちゃんの立場だったら絶対嫌ですよね。

伊原六花 そんなことないですよ(笑)。

葉山奨之 それを嫌な顔ひとつせず、やっていて。僕と相撲を取るのが嫌だなと思われないように、常に汗を拭きながら、頑張りました。

――伊原さんは葉山さんを投げ飛ばしてみて、いかがでした?

伊原六花 私はなんでも「勝ちたい」という気持ちがあるので、強い役をやらせていただいて嬉しかったです(笑)。でも、意外と倒される人の方が大変なんです。そうしないと成り立たない部分があるので、葉山さんがすごく上手に負けてくださって救われました。

葉山奨之 ケガをせずどれだけ上手く倒れるか、先生に教えていただいていて。それが活きたシーンです。

2人の活動の原動力とは?

『シコふんじゃった!』(C)2022 Disney

――合宿シーンの思い出は?

葉山奨之 台本を読んで、最初「恋愛ドラマだ!」と思いました(笑)。でも、これが今回の作品の醍醐味でもあると思います。おそらく2時間しかない映画だったらカットされるシーンだと思っていて、ドラマシリーズならではのシーンでした。

 その中で六花ちゃんと自転車を二人乗りするシーンがあるんですけど、ワンカットで撮影したのも印象的で、今までにないくらいの長回しで、みんなすごい集中力でした。その日までは基本ずっと天気が良かったのですが、たまたまその時の天候が怪しくなってきて、暑かったのに急に冷え込んできたり、また六花ちゃんと自転車の運転を変わるタイミングで打ち合わせがあったりなど、あのワンカット撮影は痺れました。

伊原六花 撮り終えた後、みんなで盛り上がりました。

葉山奨之 合宿は7話なので、ここまで一緒にやってきたチームだからこそできたシーンで、早い段階での撮影だったらもっと時間がかかっていたと思います。このシーンでよりチームのみんなと絆も深まりました。

伊原六花 合宿で私は他のキャストとのシーンが多かったので、亮太たちがどんなふうになっているのか知らなくて、完成した作品を見たらそれぞれが面白いことやっていたんだなとわかりました。あとは花火をやったり、海辺で遊んだりバーベキューをしたり、ご褒美みたいな時間でした。

葉山奨之 キャストのキャラクターの崩壊っぷりも楽しんでもらいたいです(笑)。

――穗香は青木富夫の自伝本を宝物のようにしていましたが、お2人が大切にしていたものは?

伊原六花 ダンスシューズは使わなくなったものも大切にとっておいたりしています。なかなか捨てられなくて、その靴を履くとなぜか頑張れたりするんです。

葉山奨之 僕はモノではないのですが”直感”です。自分を信じる力を大切にしています。人生を歩むにつれてもっと大切にしていきたい部分だなと思います。今回の『シコふんじゃった!』もまさにその直感がありましたから。

――お2人の活動の原動力は?

伊原六花 私は良い作品と良い役に出会うことがモチベーションに繋がっています。自分が頑張れば頑張るほど、自分がやりたい役やご一緒したい方と共演できたりするので、やりがいになっています。そのために目の前のことを頑張っています。

――伊原さんがチャレンジしてみたい役は?

伊原六花 私にイメージはないと思うんですけど、サイコパスの役とかやってみたいです。そういう作品もついつい観てしまいます。ホラーは苦手なんですけど(笑)。

――葉山さんの原動力は?

葉山奨之 僕はコロナ前はよく海外旅行に行っていました。それがあるから1年間頑張れていたところがあります。今はなかなか行ける機会がないのですが、旅行をすることでインプットもできているんです。

――印象的だった国は?

葉山奨之 フィンランドです。オーロラを生で見ることができて感動しました。現地の人も優しくフランクで、ご飯もすごく美味しかったので、とても印象に残っています。なので、コロナが収束したらまたフィンランドに行きたいです。

(おわり)

作品情報

『シコふんじゃった!』ディズニープラスで独占配信中

原作・総監督:周防正行
監督:片島章三、後閑広、廣原暁、植木咲楽
脚本:鹿目けい子
出演:葉山奨之、伊原六花、佐藤緋美、高橋里央、森篤嗣、高橋佳子、佐藤めぐみ、手島実優、福松凜、樫尾篤紀/竹中直人、清水美砂、田口浩正、六平直政、柄本明
企画・制作プロダクション:アルタミラピクチャーズ(C)2022 Disney

ヘアメイク:越智めぐみ(葉山)、NADEA(伊原)
スタイリスト:本田博仁(Hirohito Honda スタイリングオフィス)(葉山)、工藤祐司(伊原)

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村上順一
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