INTERVIEW

伊原六花

自身初のホラー作に出演 そこで得たテクニックとは:映画『リゾートバイト』


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:23年10月27日

読了時間:約7分

 伊原六花が、自身が主演を務める映画『リゾートバイト』(10月20日公開)に出演。引っ込み思案の性格でなかなか周りに溶けこめない大学生、内田桜を演じる。『リゾートバイト』とは 2009年に「ホラーテラー」(怖い話投稿サイト)に初投稿、その後「2ちゃんねる」に再投稿され話題となった。『リゾートバイト』を長年、謎とされてきた投稿者の「日向麦」の協力を得て、映画『きさらぎ駅』の永江二朗監督をはじめとするスタッフが再結集し映画化。インタビューでは、ホラー作品で得たお芝居のテクニック、共演者とのエピソードから本作の見どころまで話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

新鮮だったホラー的な間の取り方

村上順一

伊原六花

――以前、インタビューさせていただいたとき、ホラーは苦手というお話をされていましたが、今回まさかのホラー作品です。

 そうなんです。ホラーは苦手でなのですが、怪談話や都市伝説は好きなんです。心霊スポットやお化け屋敷に行くといった自分が体験するものが苦手で...。

――実際に撮影に参加されていかがでした?

 ホラー映画の撮影の裏側ってどんな感じなんだろう? と思っていたのですが、和気あいあいとしていて、これが本当に怖くなるんだろうか? と疑ってしまうぐらい楽しい撮影でした。ホラーカットとなるとホラーならではの撮り方があったり、それは今までやってきた撮影とは違う感覚がありました。すごく新鮮で面白かったです。

――映像の怖さもありますが、音もかなりくるものがあるんですよね...。

大きい音って怖いですよね。実際に撮影しているときもドアの音はリアルにあんな感じで、いい音してました(笑)。

――今回の撮影での発見は?

 ホラー的な間の取り方です。普通だったらすぐに「ヒ〜」ってリアクションすると思うのですが、何か来たら一旦止まってそこから振り向いてくださいというリクエストがありました。どこか見ている人よりの撮り方という感じがしました。映像チェックをすると普通に振り向くよりもゆっくり振り向いた方が怖がっているように見えますし、演じている側もドキドキ感がすごくありました。そういうのはいろんなところで生かせるなと勉強になりました。

――伊原さんのお気に入りのシーンは?

 日常を描いた青春ムービーを彷彿とさせるシーンがあるのですが、その撮影も楽しかったです。可愛いMVみたいになっていて好きなシーンです。 ホラーシーンとの落差をつけるための重要なシーンになっています。

――桜の幼馴染役を演じる藤原大祐さん、秋田汐梨さんのお2人と一緒にいる時間多かったと思うのですが、どんなお話しをされました?

 シーンとしては藤原さんの方が多いのですが、オフの時間も含めると汐梨ちゃんとずっと一緒にいました。汐梨ちゃんは泊まった部屋が隣同士で、その階には私たちしかいなかったので、お互いの部屋で一緒にご飯を食べたりしてました。ちょっと時間が空いたら島に唯一あるストアまで歩いて行って、アイスを買って帰ってきたり、友達みたいに過ごしてました。

――今回がはじめての共演?

 一度違う映画でワンシーンだけ一緒だったことがあるのですが、その時は喋る機会がなくて。その作品ではセリフを交わすこともなく、お互い存在を知っているぐらいの関係でした。今回ご一緒させていただいて、汐梨ちゃんは私より年下なのですが、すごく大人でちょっと甘えちゃいました(笑)。

――藤原さんの印象は?

 藤原さんは初日からフレンドリーという言葉がピッタリな方で、誰とでもすぐに仲良くなれるタイプの方でした。ですので、内田桜と真中聡のように幼なじみのような関係になるのに時間がかからなかったです。

――壁を作らないタイプで。

 誰に対してもそのままの藤原さんで愛されキャラなんです。

――伊原さんが演じる内田桜は、内気な性格とのことですが、伊原さんとは真逆なタイプなのかなと思いました。

 少なからず、桜のような部分って自分にもあります。状況にもよるのですが、「こんなこと言っていいのかな」とか、はじめましての人に対してちょっと考えてしまうこともありました。そういうところから感情を引っ張り出して演じていたので、自分とは別物のとして役作りしていかなければ、という感じではなかったです。

 桜は幼馴染のためだったら怖いところにも一人で頑張ってみようと思える、自分を変えたい気持ちがある女の子です。撮影の前半分では分かりやすく出せたらいいなと意識して演じていました。

褒められたいがためにいろいろ報告

村上順一

伊原六花

――伊原さん、都市伝説が好きとのことですが、どんな都市伝説が特に好きなんですか?

 UFO系も好きですし、若い子の血を集めてそれに浸かることで若返るみたいな話とか、棺桶の中に針があって、血を絞り出すといった都市伝説はついつい見てしまいます。

――怖そうですけど、そういうのは大丈夫なんですね!

 大丈夫です(笑)。大きな音とか、急にくるサプライズ感のあるものが苦手なんです。たとえば『死刑にいたる病』という阿部サダヲさんが主演をされている映画があって、冒頭は拷問シーンから始まるのですが、「これならいける!」と思いました。

――怖さのチャンネルが違うんでしょうね。

 サイコパス系とかも好きです。サイコパスは賢いですよね。思考回路とか意味がわからなすぎてすごく面白いなと思います。

――サイコパス役をやってみたいと以前お話ししていたのは、そういうところに魅力を感じていたからなんですね。さて、今回リゾートバイトというタイトルにちなんで、伊原さんのアルバイト経験についてお聞きしたいです。

 高校生のときに「かすうどん」という大阪のうどん屋さんで働いていました。選んだ理由は家から近かったのと、時給も良かったんです。当時はバイトっていくつも転々とするものだと思っていたのですが、そのうどん屋さんは部活動も応援してくれて、さらにまかないも美味しかったので、居心地が良すぎて3年間ずっと続けていました。

――最近、リゾート地みたいなところに行きました?

 お仕事で石垣島に行ってきたのですが、まさにリゾート地でした。アクティビティを体験させてもらったり、シーサーを作ったり、短い時間だったのですが石垣島を満喫しました。お仕事で行ったのにリフレッシュできました。

――そういえば本作のロケ場所もすごくいいところですね!

 岡山県の白石島、岡山県の笠岡市から船で30分ぐらいのところにある島です。すごくいいところでした。

――さて、桜は自分を変えるために行動していくわけですが、伊原さん流の自分を変える秘訣みたいなものはありますか。

 私はすぐ目標を立てる癖があります。この日のためにとか、来月の目標とか、ここまで1 回頑張ってみようとかなんでもいいんです。そして、褒められたいがためにいろいろ報告します(笑)。褒めらたい欲を出す人ってちょっと嫌われそうなので、近しい人にしか言わないのですが、母親とかマネージャさんに「今これやってます」と話すと「すごいね!」と言ってくれるんです(笑)。

――あはは(笑)。

 1週間がんばっていたら「えっ、まだ続いているの! すごい!!」ってなるかな? みたいな。すごくヨコシマな気持ちです(笑)。

――続けるモチベーションにもなりますよね。

 私は自分のためだけだとモチベーションが保てないタイプなんです。自分がこういうことをしたい、自分のためにというのがなかなかできなくて。それに気づいてからは褒めてもらうため、たとえばこれをやったら母が喜ぶかも、と思って何かをやることが多いんです。そうすると自然と続きます。

――第三者の存在がすごく重要なわけで。

 全部関連付けてしまいます。自分のために頑張れる人はすごく強いなと思います。

――最後に、この作品を楽しみされている方にメッセージをお願いします。

 ネット都市伝説のファンの方、当時2ちゃんねるに投稿された話が好きな方には、「これってあれじゃん!」と思ってもらえる仕掛けが映画の中にあります。特に後半からはスピード感があり、展開がどんどん変わっていくので観ていて飽きないです。エンターテインメントとしてクスっとするところもありつつ、でもしっかり怖いというのが映画『リゾートバイト』の魅力です。ホラー好きな方も苦手な方も楽しんでもらえるところがたくさんある作品になっているので、劇場で観ていただいて、皆さんで感想を話し合ってもらえたら嬉しいです。

(おわり)

ヘアメイク:面下伸一(FACCIA)
スタイリスト:米原佳奈

衣装協力:

・フーディードレス 66,000円
・スニーカー 46,200円
(共にMaison MIHARA YASUHIRO/Maison MIHARA YASUHIRO TOKYO)
その他スタイリスト私物

問い合わせ先
Maison MIHARA YASUHIRO TOKYO
東京都渋谷区神宮前4−12−10表参道ヒルズB1F(03-5770-3291)

作品情報

映画「リゾートバイト」
2023年10月20日(金)グランドシネマサンシャイン池袋、イオンシネマほか全国公開
出演:伊原六花
藤原大祐 秋田汐梨 / 松浦祐也 坪内守 / 佐伯日菜子 梶原 善
監督:永江二朗
脚本:宮本武史
企画/制作:キャンター
配給:イオンエンターテイメント
製作:映画「リゾートバイト」製作委員会
©2023「リゾートバイト」製作委員会

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村上順一
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