5人組アイドルグループの妄想キャリブレーションが2月23日、東京・Zepp DiverCityで『妄想キャリブレーションLAST TOUR 2018/19 ~HOME~』のファイナル公演を開催。この公演をもってアイドル活動に終止符を打った。新旧の楽曲を織り交ぜながら、各メンバーの個性をフィーチャーした演出も満載。これまでの約6年の活動の集大成であり、新たな一歩を踏み出すそれぞれの未来を感じさせるステージで有終の美を飾った。【取材=榑林史章】

伝えたいことはセットリストに詰め込んだ

妄想キャリブレーション

 「OPENING SE」に合わせてファンのコールが鳴り響くなか、メンバーが登場し、激しいダンスパフォーマンスを繰り広げる。このダンスも、この日のために新たに振り付けたもので、このライブにかける熱い思いが感じられる。1曲目の「激ヤバ∞ボッカーン!!」は、この5人になって最初の曲であり、テレビアニメ『タイムボカン24』のエンディングテーマに起用された、目標の1つだったアニソンを初めて勝ち取った曲。5人で夢への一歩を踏み出した記念の曲で、ライブの幕を開けた。続けて「いつだって世界にファイティングポーズ」を歌うと、ファンが合いの手やかけ声をかけて盛り上げる。<夢のトビラに鍵はかけない>という歌詞からも、活動終了の道を選んだ彼女たちの想いが感じられた。

 「ついにファイナル。発表から今日まで早かったね」と星野にぁ。雨宮伊織は「小一時間くらいに感じたよ」とおどける。務めていつもと変わらないように、ワチャワチャとしたやりとりをしているようにも見えて、そのけなげさがかえって胸を締め付ける。

 この日の公演は「集大成でありメンバーのこれからを示せるようなライブを考えてきた」とのこと。また、「伝えたいことと思いはセットリストに詰め込んだ」ということで、夢やはじまりといった言葉が歌詞に入った曲や、ターニングポイントになった曲、今の彼女たちの気持ちとリンクした楽曲が選曲された。ダンスや歌などパフォーマンスの面では、ファンのノリやその場の勢いに翻弄されることなく、過去最高と言えるパフォーマンスを見せてくれた。MCや歌の途中で涙する場面もあったが、笑顔をつとめながら目には心を決めた強い意志が感じられ、終始キリッと締まった表情が印象的だった。

 まずは、DJとしても活動する水城夢子が、このライブのためにリミックスしてきた音源を使ったパフォーマンスでファンを沸かせた。水城の「ドリチャイミックススタート!」のかけ声で、メジャーデビューシングル「ちちんぷいぷい♪」をはじめ、「Bang Bang No.1」などをノンストップで繰り出す。ダンスビートにミックスされた音源は、より気持ちがアガるものになっていて、ファンのかけ声も止まらない。「アンバランスアンブレラ」のカウントダウンではファンが一緒に声をあげ、間奏のツンデレのセリフでファンをとろけさせた。

 胡桃沢まひるが「妄キャリのはじまりの曲です」と紹介した「夢のカケラ、愛のカタチ」。約5年半前に胡桃沢を含めた3人で歌った曲で、後の妄キャリのイメージとは少し違うアッパーの格好いい曲。ここからは、メジャーデビュー前の懐かしい曲で妄キャリの歴史を振り返る。「はじまりのはじまり」では、<いろんな道があるけど この道を選んだから強くならなくちゃ>という歌詞が、胸に響く。そして、2013年の1stシングル「妄想が止まらない」では、メンバーの名前を盛り込んだかけ声が会場に響きわたった。

 「桜色ダイアリー」で始まったブロックでは、雨宮がフィーチャーされた。「桜色ダイアリー」は、彼女がピアノを弾く曲としてファンにはお馴染み。彼女が作曲したEDMのミディアムナンバー「五線譜」も歌い、歌詞を表現した情感タップリの振り付けでもファンを魅了した。

 また「物語はまだ始まったばかり」の<約束しようひとりじゃないと いま涙はサヨナラまだ始まったばかり>という歌詞は、涙を堪えて前を向く意志が感じられた。白を基調にパステルカラーが散りばめられた衣裳も、雨宮がデザインを担当したそうで、彼女のクリエイティビティーが隅々まで行き届いていた。

ファンが照らしたそれぞれの道

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 「妄キャリに入る前から、歌手になることが夢だった」と、MCの口火を切った桜野羽咲。「アイドルとしての誇り、自信を持てなかった私が、アイドルになって良かったと思えたのは、みんなのおかげです。私をアイドルにしてくれてありがとう」と支えてくれたファンに感謝の気持ちを伝える。

 終盤に歌った「忘れられないクロニクル」では桜野がセンターを務め、アカペラでパワフルなボーカルを披露した。すでにソロライブをおこなうなど新しい人生を歩き始めている彼女の歌声は、またどこかでアニソンシンガーとして出会える日が楽しみになるものだった。

 今後は声優として活動するという胡桃沢は、中盤の映像のナレーションも務めていた。「最初はバイト気分で、自分のことばかり考えていた。メンバーと出逢って家族以上に一緒に時間を過ごし、喧嘩になることもあったけど、丸裸になって心でぶつかれた。そんなメンバーに感謝します」とメンバーとの時間を振り返った。「泣かないと決めていたのに」と溢れる涙を必死に堪えながら、気持ちを伝えようとする姿が胸を打つ。何事にもマジメな彼女だから、声優としてもきっと活躍することだろう。

 前半に見事なリミックス音源を披露して、DJとしての才能を開花させた水城は「立派なことは言えないけど、やりたいことはいっぱいある。なるべく早くみんなとまた逢えるように頑張る」と決意を新たに。いつもフワフワとした彼女だが、この日はどこか頼もしく見えた。

 今後は裏方に回るという雨宮。「妄キャリに入って、私にも手放したくないものや大切な感情がこんなにあったことに気づけた。雨宮伊織になれて幸せでした。もうみんなとは会えなくなるけど、どうか健康でいてください」と最後まで伊織節。持ち前の器用さで、この日も各所で才能を発揮した。

 そして、今後はカメラマンを目指すということで、アンコールの前に流れた、メンバーの写真やムービーの撮影も担当した星野にぁ。やさしい光を活かしながらメンバーの素の表情を引き出した映像は、ファンの心を捉えていた。「私が追い求めた理想のアイドルになれたのは、メンバーとみんなのおかげです。今日だけは世界で一番のアイドルでいさせてください」とアイドルとしての約6年を振り返り、アイドルとしての最後の姿に大歓声が応えた。

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 感動が広がったのは、アンコールで披露した「手をつないで」だった。曲の冒頭では雨宮がピアノ演奏しながら一節を歌い、続けてメンバーが横一列に並んで歌う。<確かな答えなんてわからないけれど 未来はまだ希望の数だけ光るから>という歌詞が、切なさのなかにある前向きさを表現した曲。

 キラキラとした希望に満ちたサウンドと歌声が響くと、客席には各メンバーカラーの光でできた5本の道が現れた。これは、ファンがメンバーに内緒で企画したサプライズプレゼントで、妄キャリが出した答えを受け入れ、一歩を踏み出すための道を照らしてくれているような雰囲気。5人の背中をやさしく押してくれたファンの温かさに、溢れる涙と一緒にメンバーは「ありがとう」と言葉を絞り出した。

 「みんな今までたくさん愛してくれてありがとう」(星野)
 「歌を届けさせてくれてありがとう」(桜野)
 「いろんな夢を見させてくれてありがとう」(水城)
 「伊織に出逢ってくれてありがとう」(雨宮)
 「青春を一緒に過ごしてくれてありがとう」(胡桃沢)

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 妄キャリの最後を飾ったのは、ラストシングル「爆アゲ↑バンザイ!!」。「ひとりひとりの背中を押せるような応援歌を残したくて、この曲を作りました」。寂しげなピアノで始まり一転アッパーのサウンドに展開する、涙で終わりたくないという彼女たちの気持ちが詰まった曲。曲の最後は、三三七拍子のリズムで応援団のように拳を握って、ファンの背中を力強く押してくれた。

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