女性6人組アイドルグループの妄想キャリブレーション(妄キャリ)が3月8日に、4thシングル「激ヤバ∞ボッカーン!!」をリリースした。でんぱ組.incを輩出した「秋葉原ディアステージ」から2013年にデビューし、2016年6月にメジャーデビュー。今作の表題曲は、日本テレビ系アニメ『タイムボカン24』のエンディングテーマ。彼女達にとっては初のアニメタイアップで気合いも十分。また、同シングルアニメ盤のカップリング曲には、メンバーの雨宮伊織が作曲し、初めてメンバーのみで作詞した「back stage」も収録、「思い入れの詰まった曲」と話す。表題曲にかけて彼女たちの激ヤバな体験とは? 楽曲にまつわるエピソードと「back stage」に込めた気持ちとともに、雨宮伊織、水城夢子、星野にぁ、桜野羽咲、胡桃沢まひるの5人に話を聞いた。
MVで憧れのゲームキャラに!
――「激ヤバ∞ボッカーン!!」が好評ですね。
雨宮伊織 おばあちゃんウケがいいです。私、おばあちゃんが3人いるんですけど…ゴメン2人だった(笑)。
水城夢子 どんな複雑な家庭なのかと思ったよ(笑)。
雨宮伊織 普通の家庭なんですけど(笑)。おばあちゃんが2人とも、アニメを見て「今までの曲でいちばん良い!」と言ってくれました。地元の友だちからもLINEがきて、良い感想をたくさんもらって。すごく嬉しいです。
星野にぁ 可愛さもあり楽しさもある曲なので、ライブでもすごく盛り上がります。歌詞からもすごく強い気持ちになれるので、歌っていてスカッとします!
桜野羽咲 色々たまっているんだね(笑)。
胡桃沢まひる ライブだと、<低音! 低音>と歌っているところとか、<ボッカーン!>のところをみんなが一緒に歌ってくれています。
水城夢子 アニメを見たこどもでも出来るようにと振り付けを考えてあるので、リリースイベントに来てくれた小さい子もライブでは一緒にマネしてくれています。ちなみに、この中にビマージョ(編注=『タイムボカン24』に出てくるキャラクター)がいるんですけど、誰だと思いますか?
――きっと、みなさんビマージョではないか、と。
胡桃沢まひる でた〜! 置きにいった(笑)!!!
雨宮伊織 そういう無難な答えは期待してないんで(笑)!!!
桜野羽咲 ビマージョは私です! 衣装もビマージョ風だし、アー写でも真ん中にいるので。曲中のセリフは、アニメ盤では、最後にビマージョ役の喜多村英梨さんが「やっておしまい〜!」ってやってくださっていて。シングルバージョンでは、私がやっています!
――すごくかっこいい曲ですね。
桜野羽咲 ジャンルで言うと、ドラムンベースです!
胡桃沢まひる この曲はキックの音が強いので、それに負けないようにしなくちゃいけないし。どれだけインパクトを残せる歌に出来るか、すごく考えました。
――早口っぽく歌うところもあって。
星野にぁ でもそこが、歌っていてすごく楽しいんです。今までで一番しっくりくるメロディでした。
水城夢子 でも、舌噛んでなかった?
星野にぁ ライブのときに1回だけね。それも出だしだったんで、痛いしめっちゃ恥ずかしかった。
――あとでお客さんにつっこまれた?
星野にぁ 意外と、そういうところはソッとしておいてくれる方たちなんで。
水城夢子 やさしい〜!
星野にぁ でも、そのやさしさが逆に辛くて(笑)。
雨宮伊織 逆に私は、普段から滑舌が悪いので…。
星野にぁ 自分の名前すら噛むもんね。
雨宮伊織 そうそう。「いおり」を「いどでぃ」って(笑)。
――MVは、格闘ゲーム風フィールドで自分たちのキャラクターと戦っているという映像。
水城夢子 以前に伊織が、「自分自身がゲームのキャラクターになるのが夢だ」と、監督さんに話したことがあったらしくて。それを今回叶えてくださったんです。
雨宮伊織 ボヤきでも何でも、言っておくべきだなって実感しました。
水城夢子 一人ずつ必殺技があって。まひるのキックとか、みんなすごくかっこいいんです。
胡桃沢まひる 私は、竜巻旋風脚みたいな。もともと『ストリートファイターⅡ』が大好きだったので、あの技がやれてすごく嬉しかったです。
雨宮伊織 監督が、メジャーデビュー前から携わってくださっている方だったので、メンバーのイメージと技がぴったり合っていて。私は、ガンゲー(編注=ガンシューティングゲーム)が好きなので、銃を使った技になっています。
星野にぁ 私は波動拳的なやつ。
水城夢子 私は何やったっけ?
胡桃沢まひる 百烈肉球?(編注=『妖怪ウォッチ』のキャラクター・ジバニャンの必殺技)
雨宮伊織 影分身の術だよ。(編注=『NARUTO -ナルト-』で出てくる忍術)
水城夢子 あぁ〜。何か、そういうイメージだったんでしょうね(笑)。もっとひどいのは、羽咲。呪いだから。自分の手を汚さずに倒すみたいな。
桜野羽咲 術式です。ほぼチートです(笑)。
原付バイクのサイズの大きな犬に激ヤバ
――「激ヤバ∞ボッカーン!!」に絡めて、それぞれ激ヤバだった体験を教えてください。
星野にぁ 私は、Juice=Juiceさんが大好きなんですが、香港でイベントに出たときにJuice=Juiceさんも出ていて。一緒に写真を撮ってもらって、少しお話させていただけたことが、めちゃめちゃヤバかったです。
胡桃沢まひる 嬉しくて泣いていたよね。
星野にぁ プライベートでもライブに行くくらい好きなので。3泊4日の香港で、Juice=Juiceさんで2〜3回泣きました。こんな私にもJuice=Juiceのメンバーのみなさんはすごくやさしくて、ブログにも書いてくださって。今も泣きそうです。
水城夢子 私も香港ですね。ライブの盛り上がりもヤバかったし、見るもの食べるもの全部初めてで、どれもすごくインパクトがあって。いろいろなヤバさがありました。
胡桃沢まひる 漢方系の食べ物とか、好き嫌いが分かれるよね。
水城夢子 体質に合うものとそうでないものが分かって、発見がありました。
桜野羽咲 私の最近の激ヤバは…昨年12月25日に新木場Studio Coastでワンマンをやったんですけど、そのときの衣装を作ってくださったスタイリストさんが、LiSAさんの衣装も手掛けているヨシダミホさんで。私、LiSAさんがすごく好きなので、それだけでもう嬉しくて。ミホさんと実際にお会いしたときも「ヤバイ、ヤバイ!」って、一人で大騒ぎしていました。フィッティングのとき、いろんな布のサンプルが置いてあったんですけど、端切れの中にLiSAさんの衣装で使っていたものもあって。それがすぐ分かるくらい好きなんです。もうめっちゃテンションあがりました。
――伊織さんの激ヤバは?
雨宮伊織 えっと…この間、家に帰る途中で、原付バイクと同じくらいの大きさの犬に出会いました。
全員 爆笑!
雨宮伊織 いや、本当だから。繋いでいるリードも蛇並みに太くて。それも夜だったから、「え!」ってすごいびっくりして。犬種は分かんないけど、普通の雑種犬が、そのまま大きくなったみたいな。
星野にぁ 蛇にもいろんな太さがいるよね?
雨宮伊織 盛っていると思うじゃないですか? 盛ってないんです。本当なんです!
――まひるさんは?
桜野羽咲 バレンタインじゃない? すぐ渡さず、一旦仕込みに帰ったという。
胡桃沢まひる ああ〜!「SHOWROOM」の配信のときバレンタインデーで、みんなにケーキを作って持って行ったんです。でも盛りつけがまだで、カットしたフルーツをタッパに入れて別に持っていて。「みんなに渡したいものがあります!」って発表したのに、「でも、ちょっと待っててね」って、盛りつけのために一度引っ込んだという。
星野にぁ 10分くらい帰って来ないから、何事か? と思って。何か焼いているんじゃないか? フランベしているんじゃないか? とか、ザワついちゃって。
水城夢子 でも、すごく美味しかったよね。一旦引っ込んだだけのことはあった!
雨宮伊織 美味しくて激ヤバでした。
年末年始にグループLINEで作詞
――続いてカップリング曲についてですが。
胡桃沢まひる 2曲ありますけど、どっちが好きですか?
――それは、伊織さんが作曲した「back stage」でしょう!
雨宮伊織 やさしい〜!
水城夢子 え〜本当ですか!?
桜野羽咲 深追いしなくて良いから(笑)。
――まず「君の歌 僕の歌」。作詞作曲の利根川貴之さんは、妄キャリさんの楽曲ではお馴染み。
桜野羽咲 「君の歌」と「僕の歌」の間が一角空いているのは、受け取り側で「と」とか「は」とか好きに入れて、その人にとっての歌にしてほしいということです。これは、利根川さんから私たちへの応援歌にもなっています。
水城夢子 利根川さんの親心が生んだ曲です。
胡桃沢まひる いつもの編曲の方ではないので、お馴染みの利根川さんの楽曲ではあるけど、いつもとは少し違った雰囲気で、駆け抜けるような爽快さのある曲になりました。オチサビの夢子の入り方がかっこいいんです。
水城夢子 ライブでやったときは、推しの方がめちゃめちゃ褒めてくださって。
星野にぁ 推しじゃない人も褒めてくれてたよ!
水城夢子 こういう曲が聴きたかったと言ってくださる方もいました。
――「back stage」は、伊織さんの作曲。
雨宮伊織 ピアノをやっていたので、雑誌の企画で8小節だけ作ったことがあったんです。そのメロディが良いということで、じゃあフルで作ってカップリングにしようと、話がどんどん進んでいって。
――歌詞は、ステージに上がる直前の気持ちを書いていて。ああ、こういう気持ちなんだな〜って感動しました。
雨宮伊織 ありがとうございます。
桜野羽咲 新木場Studio Coastのワンマンの直後から制作に入って、大きなステージでの気持ちが残っている状態だったので、それぞれのリアルな気持ちを込めることが出来ました。
――作詞クレジットは妄想キャリブレーションですが、どういう風に書いていったのですか?
桜野羽咲 今までは作詞家さんの力を借りたりしていたけど、これは完全にメンバーだけで作りました。コンセプト決めから歌詞案を出し合ったり、話し合いを何度も重ねてようやく出来ました。
星野にぁ 1番が全部伊織で、2番がまひちゃん、うーちゃん。サビはみんなの言葉が入っていたり。
桜野羽咲 年末年始だったので、メンバーのグループLINEでずっとやりとりしていて。家にいるときもメンバーといるときも、ずっと話していました。
胡桃沢まひる 仕事の合間、レッスンの後、取材の後とか。夜は、お風呂入りながらLINEしていたこともあって。
雨宮伊織 LINEがあったから出来た歌詞です!
桜野羽咲 思い入れの詰まった曲なので、早くライブでやりたいですね。
――ライブでは、どのへんで歌いたいですか?
雨宮伊織 最後らへんが良いんじゃない?
水城夢子 終盤で、こういう気持ちだったんだよって打ち明けるみたいな。
胡桃沢まひる それまでアイドルのキラキラの部分を魅せておいて、その上でその奥にある気持ちを歌うみたいな。
――アイドルが、こういうステージの裏の内面を歌うことって、なかなかないですよね?
桜野羽咲 割とそういうのは、隠したいほうなんですけどね。努力とか辛いこととかは、当たり前だと思っているので。でもこの1年、いろいろなことをやってきて、それについて来てくださったファンのみなさんには、その中でどういう心境の変化があったかを知ってほしいし、私たち自身もそれを伝えたいと思ったので。
水城夢子 でもファンのみなさんは、どう感じるかな?
桜野羽咲 こういう弱音みたいな気持ちは聴きたくないと思う人もいるだろうし。でも、歌詞から気持ちの流れを感じてほしいですね。
胡桃沢まひる この曲って、2番サビまでは辛かったことや大変だったことを歌っているけど、最後には強くなるんだって決心してる。そこからは、ファンのみなさんに向けて、側にいてほしいと願うのではなく自分たちから、側にいるからみんなもみんなの夢を叶えてほしいと歌っています。決してマイナス面だけではなく、前向きな気持ちで締めているので、それこそが、今の妄キャリなのかなと思っています。
どんな曲調も妄キャリ色に染め上げたい!
――結成してからは長いけど、メジャーデビューして1年弱。
雨宮伊織 でもメジャーデビューしてからの1年弱は、目まぐるしかったですね。リリースイベントをしながら次の曲をすでに作っていたりして。今自分が何をやっているのか、どれが最新の曲なのか混乱して。それは今もそうだし。
水城夢子 アニメタイアップを頂いたりとか、以前なら想像もつかなかったことでも手に届きそうな環境にいさせてもらっているので、あとは自分たち次第というところですね。
雨宮伊織 逆に、ここまでしてもらっておいて、何も返せなかったらと思うと、恐ろしいですけど(笑)。
星野にぁ 今は、それは考えないでおこう。
胡桃沢まひる 私たちが今ここにいる意味は、結果を残すこと。何かしら達成しないうちは、終われないです。社会人だってそうじゃないですか? 最初の1〜2年は大変だと聞くので。
水城夢子 3〜4年経っても余裕だなんて思いたくはないよね。
桜野羽咲 そうだね。常にギリギリの妄想キャリブレーションで戦っていたい。
星野にぁ どこかで聞いたことあるフレーズだけど(笑)。
――どんな音楽をやっていきたいとかは?
桜野羽咲 特にはなくて。今回みたいなドラムンベースもそうだし、ロックもポップスもジャンル問わずやりたくて。
胡桃沢まひる 私は、もっと“きゅるりんっ!”としたものもやりたいし(笑)。
水城夢子 パッと聴いて妄キャリだと分かってもらえると言うか、どんな音楽ジャンルでも、自分たちらしく妄キャリ色に染め上げられたら、それがいちばんですよね。
(取材・撮影=榑林史章)
◆妄想キャリブレーション 秋葉原ディアステージから2013年にデビュー。インディーズで8枚のシングルと2枚のアルバムをリリース後、2016年に、シングル「ちちんぷいぷい♪」でメジャーデビューする。昨年は、『ニコニコ超会議2016 超音楽祭2016』や『イナズマロックフェス2016』など多くのイベントに出演。
ライブ情報
▽レコ発ワンマン『激ヤバ∞発進!~ダイナモンドを探せ!~』 3月12日(日)東京・渋谷WWWX ▽The Idol Formerly Known As LADYBABY ツーマンライブシリーズ『ネオ・ダダイズムパレード Vol.1』 4月9日(日)東京・渋谷WWW |