Hilcrhyme「これから進化して行く様を見せたい」デビュー10周年決意新たに
INTERVIEW

Hilcrhyme「これから進化して行く様を見せたい」デビュー10周年決意新たに


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年02月13日

読了時間:約13分

セルフタイトルに込められた想いとは

『Hilcrhyme』通常盤

――8thアルバム『Hilcrhyme』についてお伺いします。セルフタイトルということで相当な決意があることが窺えますが、セルフタイトルをつけようと思ったことは過去にあったのでしょうか?

 一度もないですね。多分、セルフタイトルをつけるとしたら最後のアルバムとか、これで引退作とか、そういう時につけていたんじゃないかなと思います。

――それくらいの覚悟がなければセルフタイトルをつけようとは思わなかったと。ちなみに他にタイトルの候補はあったのでしょうか?

 自分で色々考えたんですけど…なかったかなあ。「このアルバムはもう『Hilcrhyme』しかないんじゃないか」と。誰もがそれで納得できる経緯があるし、「一人でやって行くんだ」という意思をこの一枚で示さなければいけなかったから。何よりオリジナルアルバムには一枚毎にテーマを設けているんです。ワンワードで“リサイタル”とか“MESSAGE”とか。“リサイタル”はHilcrhymeを交響楽団と見立てて自分達の音を日本中に鳴らそうというコンセプトがあったし、2ndアルバムの『MESSAGE』は「言葉を大事に MESSAGEを伝える」という意味で『MESSAGE』というタイトルをつけて、それにちなんだ曲作りをしていきましたし。

 今作は何かしらのテーマがあるとしたら、それは“Hilcrhyme”がテーマでいいと思ったんです。Hilcrhymeにはそれほどのドラマがあったから。セルフタイトルというよりかは、“Hilcrhyme”というコンセプトを今回はテーマにしていたからこのタイトルなのかもしれません。

――このタイトルをつけるにあたって改めて「Hilcrhymeとは?」ということを考えて。

 それが一番ですね。「Hilcrhymeとは何ぞや?」ということからこのアルバム制作が始まりましたから。

――答えはこのアルバムに詰まっている訳ですが、言葉にするといかがでしょうか。

 Hilcrhymeは万人の共感を得るアーティストでありたいということです。深夜帯のHIP HOPのショータイムや、地方の小さいハコから始めて僕が最初に思ったのは、「昼の世界の人達にも届けていきたい」ということです。老若男女、沖縄から北海道まで全員に届けたい。そうなってくるとメジャーだと。ラップでポップスの極地を目指したい。だから、ここまで柔軟にメロディを乗せているし、音の良さにはもの凄く気を遣って作ってるし。そしてテーマにするのが一番多いのが“愛”です。大きな意味での愛、男女の恋愛、家族の愛とか、友人の愛とか、大枠のラブソングをHilcrhymeはいつまでも歌っていたいという想いがこの一枚には入っていると思います。

――“愛”や“生きる”ということは永遠のテーマかもしれませんね。1曲目はでスペル違いの「Hill Climb」ですが、この曲はいつ頃出来た曲でしょうか?

 去年EP『One Man』を一枚出しているんですが、その前からすでに出来ていました。Hilcrhymeが文字通りこれからまた丘を登る、“Hill Climb”する意思提示の1曲として当時作っていました。去年の4月くらいかな…DJ KATSUが脱退して1カ月後くらいに作ったんです。

――決意表明でもありますよね。

 そうです。これは絶対にアルバムにとっておこうスタッフのみんなも言っていて。

――シングルとして発表するという考えはなかった?

 僕はそれはやるべきではないと思っていました。シングルだと1曲に集中しちゃうじゃないですか? でも野音に向けてアルバムを作るほどのストックもなければ時間もない、という訳でEPで5曲という。内2曲が過去曲のリメイクだったんですけど、そのボリューム感がちょうど良くて。アルバムとEPは作り方が全然違うんです。今作は履歴書みたいな感覚もあります。11トラックあって喜怒哀楽を全部歌うけど、EPではそこまで表せないですから。でも、あのEPを出さないと、現在市場に音がないんですよ。全部配信停止しているので…。そして、それは現在も続いています。そのためにリメイクを2曲入れて出すことが、あのEPの大義でしたから。

――そういった事も踏まえて「Hill Climb」を制作しているときは、怒りもあったのではないかと思うのですが…。

 そうですね。「Hill Climb」を作っているときや「Good Luck」とか…。

――それが「Good Luck」に繋がっていくのも興味深いと思いました。

 うん…。もちろん100回殴っても足りないくらい怒っているし、100回抱きしめても足りないくらい悲しかったです。ただ、それを音楽で晴らすのは全然違うと思いますし、むしろ恨みや憎しみは何も生まないので。そういう感情はどうしても生まれてきちゃうけど、それを抑えるために、バランスをとるために「Good Luck」で、12年間一緒にやってきた良い所を歌いました。

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