中川翔子、歌は魔法であり心――心が折れ辞めたいと思った事も 支えてくれた愛猫の存在
INTERVIEW

中川翔子、歌は魔法であり心――心が折れ辞めたいと思った事も 支えてくれた愛猫の存在


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年11月20日

読了時間:約14分

歌は魔法であり心

――3曲目はCHiCO with HoneyWorks(以下チコハニ)さんとコラボされた「ミスター・ダーリン」のセルフカバーを収録しています。

 今回「blue moon」、「Heavy Girl」と2曲もMVを制作させて頂いて、「何とバブリーな作品なんだろう」と思っていたのに、そこにチコハニさんから「ミスター・ダーリン」のコラボのお話を頂いて、ビックリしました。チコハニさんの甘い青春キュンキュンソングは、今世では叶わかなった時空のお話として癒やしをもらえるので、落ち込んだ時とかにもよく聴いていました。それもあって、このお話が来た時めちゃくちゃ嬉しかったんです。どんな曲にするかの会議もあって、それにも参加させて頂いて。ライブ映えする掛け声が入っている感じとか、私は大人ですけどかわいい系の曲が歌いたいなという無茶なリクエストをしたんですけど、夫婦のラブラブな歌を作って頂きました。

――ライブで盛り上がりそうですよね。

 『ラッキームーンツアー』で久しぶりに会ったファンの方がどんどん結婚されていて。もう子どももいたりする夫婦もいて。今度、結婚式で「『ミスター・ダーリン』かけるね」と言ってくれたり、海外公演まで足を運んでくれるご夫婦が「2人のテーマソングにするね」と言ってくれたり。めちゃくちゃ需要があるなと実感していて。続けるって本当に難しいことだから、これ理想の未来だなと思うと歌っていても聴いていてもハッピーだし、セルフカバーバージョンも入れさせて頂けることになって、3曲とも全く違う愛の形がみっちり詰まった豪華な作品になりました。

――中川さんのライブで知り合って、結婚される人は多いんですか。

 多いです! 何十組とかなりの人が結婚されています。後に子どもを連れてきてくれたりして、ライブで人口を増やしています(笑)。価値観が同じ人が集まっているので結ばれる率が高いのかなと思うんですけど、みんな幸せそうで良かったなと思っています。

――婚活の場になっているみたいな(笑)。さて、「ミスター・ダーリン」の好きなポイントを挙げるとしたらどこでしょうか。

 すごく好きなフレーズがあります。<晴れもいいけど雨の日にはくっついて 一つの傘揺らしながら虹を待つの>という部分、HoneyWorksのshitoさんという男性の方が書いているんですけど、何でこんなの書けるのかなと思うぐらい好きで。あと、冒頭の<子供じゃないんだし 秘密くらいあるよ 全部なんて見せてちゃ続かない>というのは凄く大人だなと思いました。そこからお互いの努力でラブラブを続けていこうねというのが、すごく素敵だなと思いました。

 いままでレコーディングをする時は、一つの音にめがけて“パンチ”するように歌っていくことが多かったんですけど、この曲はすごくニュアンス重視のレコーディングで、shitoさんにここは囁くようにウィスパーでとか指示して頂いたり、それによって言葉の質感が出てくるのが面白いなと思いました。新鮮なレコーディングで、私が先にボーカルを録ったので、すごく緊張して。私がCHiCOさんに合わせようと思っていたんですけど、逆にCHiCOさんが私に合わせてくれて。

――新たな表現方法も見つかって。

 はい。歌い続けていくということはすごく大変だし、舞台、ドラマ全てが経験値になって未来の歌への糧になっていると思います。なので、今回も良い経験ができて良かったなと思います。

――さて、中川さんはご趣味が多いですが、落ち込んだ時とかは、音楽、ゲーム、漫画など、どういう風に使い分けてリフレッシュされているんですか。

 もう全部やっちゃいますね(笑)。自然と考えていることを進めてしまう癖があるので、一回気持ちをリセットするには無心になるしかなくて。すなわち、好きなことをするしかないんです。絵を描くのも、ゲームをするのも全部やっちゃいます。そうすると、いつのまにか気分が晴れています。

――やることがあってある意味忙しいですね(笑)。絵といえば今年の初頭にフィギュアスケートの羽生結弦選手の似顔絵を描かれていましたが、すごい反響でしたね。

 普段なかなか無いところからも反響がありました。羽生さんの演技があまりにも素晴らしく、尊すぎたので絵を描きたくなってしまいました。実物のほうがどうしたって良いのですが、ちょっとでもそれに近づけたくて、いっぱい描きました。それをTwitterに載せたら新聞社さんから掲載のオファーがきたり。またその新聞をみた羽生さんのファンの方から「絵を観たわよ」とお声掛け頂いたりして。怒られるかもと思いながらも描いていたので、褒めて頂いてすごく嬉しかったです。

――描くにあたって難しかったところとかあるんですか。

 やっぱり目ですね。切れ長のようでいて、笑うと少し垂れるんですけど、ぐっと睨みつけた感じの時はお顔に脂肪がないから、深く線が入るので、そこがすごく難しかったんです。それもあって、気がついたらあんなにたくさん書いていたんです。

――目が重要なんですね。

 私の場合、小学生の時からなんですけど、猫も人も向かって右側の目から描きます。

――輪郭から描くイメージがありましたが、目からなんですね。

 漫画家さんは輪郭から描く方が多いような気がします。

――最後に、中川さんにとって歌というのはどのような存在ですか。

 魔法であり心だなと思います。その瞬間にしか出せなかった気持ちや声も永遠に刻まれて、時を超えても、ずっとずっと残る、目には見えないけどそこにはある魔法ですね。目には見えないけど、生まれた時からそこにあって、歌う本人のレベルが上がったら、時を経て宝石みたいに輝いていきます。自分が死んでも言葉や思いはずっと残っていくし、それは歌じゃないと成しえないこともあると思います。聴いてくれた人の心も一緒に孕んで行きますし、今作もずっと残っていくんだという思いはひとしおでしたね。

「blue moon」初回盤ジャケ写

(おわり)

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