音楽は「僕の唯一の明るい部分」
――今回映画では、リアム・ピッカーさん作曲の楽曲「Winter」を、ピアニストの西川悟平さんがプレーされたものがテーマソングとしてエンドロールに流れます。映画自体にもすごく深くリンクされているエピソードをもたれている方々ですが、曲自体も非常に印象的な楽曲ですね。三浦さんは、この楽曲に関してはどんな印象を受けられましたでしょうか?
僕は映画の音楽については、すごく不思議で、音楽単体ではないと感じるんです。たとえばCDで音楽を聴くのとは、また違った受け取り方をしてしまっているのかなと思うんです、映画の物語と音楽が…。
――溶け込んでいる感じで?
そうですね。特に今回のこの曲なんかは。悟平さんと実際にお話もしたんですけど、本当にピアノを、一番初めの入りの音をずっとラストシーンを見ながら、同じ音をずっと弾き続けていたらしいんです。そしてその音について「あのラストシーンを見ながら、初めて自分が弾けた音だ」とおっしゃっていました。それくらい悟平さんが、映画と感性をマッチさせて弾かれているので、本当に映画に溶け込んだ音楽なんだろうなと思いました。
――あの音楽があるから、エンドロールまで印象深さを感じられます。少し話が変わりますが、三浦さんはお母さんも元歌手で、お父さんもテレビで歌を歌われたのを見たことがあります。またお兄さんもミュージシャンとして活躍されていますが、三浦さん自身はそういう肉親の方に囲まれて“俺も音楽をやろう!”と思われたことはありませんでしたか?
いや、僕はそんな風には…昔は趣味でバンドとかやっていました、高校の頃なんですけど、ギターを弾いたり。でもやっぱり両親や兄が真剣にやっている仕事を、そんなに簡単には「僕もと、できないという気持ちがあったので…そこまで好きじゃないという感じでしたし。
――ちなみにバンドは、どんなものをやられていたのでしょうか?
元々はちょっとパンクっぽいものをやっていました。僕らの頃は本当に、まあHi-STANDARD、SNAIL RAMP、MONGOL800とかの青春パンクが多かったし。なんかあんな感じの曲のコピーをやったり、オリジナルを作ってみたりしていました。
――先程おうかがいした“内気”という性格が、嘘のような感じですね(笑)。
あの頃はまだ元気だったんです(笑)。でもやっぱりその頃から緊張しやすいから、実はそれほどライブとかも好きじゃなかったんですけど。
――最近よく聴かれている音楽などはありますか?
あります。邦楽ばかりですけど。
――阿部さんはカラオケで斉藤和義さんなんかの曲を歌うのが好き、などとおっしゃっていましたが。三浦さんにもお得意はありますか?
阿部さんがまたうまいんですよ(笑)。いや、僕はまあ何でも適当に、という感じなんですけど。まあ聴いているものとしては、サンボマスターが大好きなんですけど。
――それはまた特徴が感じられる選曲ですね。三浦さんにとって音楽とは、どのようなものでしょうか?
音楽は…大げさにいえば、「生活」じゃないですかね?
――「生活」?
僕は多分、音楽がなかったらずっと引きこもっていると思うんです。本当に音楽に元気付けられないと“ド”が付くくらいネガティブなので。一切動かないと思うんです、たまに。
――では人間でいるための、ギリギリの境界みたいな?
そう。僕の唯一の明るい部分です(笑)。非常にネガティブなので、明るい曲しか聴かないんです、ほとんど。だからサンボマスターとかみたいな、ポジティブなものを好きになったり(笑)。
(おわり)