片山慎三監督、竹野内豊、石田ゆり子、三浦貴大

 竹野内豊、石田ゆり子、三浦貴大が13日、都内で、WOWOW『連続ドラマW 東野圭吾「さまよう刃」』(15日スタート、片山慎三監督)完成報告会に臨んだ。

 人を裁くのは人か、法律か、それとも社会か。この永遠のテーマに挑み、発行部数170万部を超えた、作家・東野圭吾氏による同名小説の連続ドラマ化。

 男手ひとつで育ててきた娘を、未成年の男たちに残虐な手段で殺されてしまった主人公・長峰重樹を演じるのは竹野内豊。良心と罪の意識、法律の壁の間でもがき苦しみながらも復讐に突き進む役どころだ。

 「同じように惨い殺められ方をしたらきっと長峰さんのような感情になってしまうのではないかと思った」と語る竹野内。普段の撮影はオンとオフの切り替えができ「役を引きずることはなない」というが、この作品だけは「家に帰っても2日間ぐらいヘビーな気持ちが抜けなくて、私生活でも苦しい時がありました」と明かした。

 それでも演じ切ることが出来たのは、2004年に刊行された本作が17年の月日を経て再び映像化されることの意義だという。「時が経っても映像化されるのは誰もに突き付けられているテーマのような気もする。とりかかる時は責任感も感じていましたし、良い作品したいという思いはスタッフもみんな一緒でした」

竹野内豊

 一方の石田は、一人息子を不本意な形で失ったことがきっかけで夫と離婚し、父親が経営するペンションで手伝いをしている木島和佳子を演じる。和佳子は、偽名を使ってそのペンションで宿泊する長峰のことを警察に追われている男だと知るが、ただひたすらに家族を思う彼の姿に心を揺さぶられ、思わず手を差し伸べてしまう役どころだ。

 石田は「和佳子よりも、もし私が長峰さんだったらどうするんだろうと撮影中考えていました。この作品はきっと全員が長峰さんに共感してしまうと思う。法によって裁かれない凶悪な犯罪が、自分の人生に関わってきた時にどうするのかと。皆さんにも考えて頂きたい」と呼びかけた。

 竹野内と石田は15年ぶりの共演となる。竹野内は「こういった内容の作品だったので、重たい緊迫した撮影現場の日も、ゆり子さんが現場にいらっしゃると和む。明るくして下さるので、私自身もこういう役を演じて、ゆり子さんと一緒に現場の空気を共有することができて心救われる部分はあった」。

石田ゆり子

 本作は12年前に映画化されている。当時、竹野内は長峰を追う若手刑事・織部孝史を演じた。その役を演じるのは三浦。「竹野内さんが演じていた役なので非常に緊張しました。公開当時に映画版は拝見しましたが、この話を頂いた時に見返せなかった。芝居も引っ張られるし緊張するし、うまく現場にいられないのではないかと思いました」と重圧があったことを明かした。

 一方、織部という役どころは演じるのは「難しかった」とも語り「警察官という身分なので、法に基づく正義を実行する立場。でも織部には家族や子供もいて長峰を投影する。自分がやろうとしていることは長峰にとってどうなのかと、社会的には法にのっとる警察の職務を全うしなければならない」。

三浦貴大

 そんな重圧があった三浦だが、演じた姿を、竹野内は「私も当時、難しい役だと思いました。でも今回出来上がったものをみて、決して顔には出さないけど心のなかの揺れ動き、繊細な部分を三浦さんが見事に体現されていた。素晴らしいなと思いました」と褒めたたえると、三浦は照れながらも喜んでいた。

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