今の人生の数字、w-inds. 3人の人間性が詰まった“100”とは
INTERVIEW

今の人生の数字、w-inds. 3人の人間性が詰まった“100”とは


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年07月24日

読了時間:約13分

今の人生の数字で力強い意味を持っている

千葉涼平

――今回、歌で挑戦した事はありますか?

緒方龍一 基本的にボーカルディレクションは慶太がやってくれている中で、レコーディングの時にパートの割振りを話し合います。多種多様な歌メロがあるので、試して歌って、意見をもらってまた試して、のトライ&エラーです。僕の中でも新しい発見がいくつかあって、3人とも表現の幅が広がったなと思いました。

――具体的にどの曲とかありますか?

緒方龍一 アルバムに入ってる「Dirty Talk」や、「Sugar」みたいなバラードの曲も涼平の声質に合ってるし、ナチュラルな息遣いや声色が初めて聴いた時から気持ち良さがありました。デビュー当時は無かった「Sugar」のようなしっとりしたバラードも新しいです。10代の頃はバラードに対する違和感というか、ノリの難しさがありました。真っ直ぐな木より色々な経験を重ねた、いびつな木の方が格好いい、面白いんじゃないかと。

――色々な経験を経てこのバラードが仕上がったと。

緒方龍一 そうです。あとはこのアルバムを通して言える事なのですが、慶太がここ2、3年言ってるサブベースの鳴り方、バランス感が近代音楽の中で大きく変わってきたなと感じています。サブベースとはスーパーローのことで、小さなスピーカーでは聴こえにくい音なのですが、地響きのするバラードは初だと僕は感じていて。

――そのスーパーローを感じるには、大きなスピーカーじゃないと難しいですか?

緒方龍一 大きめのスピーカーの方がいいですけど、小さいスピーカーでも、ちょっと音のボリュームを大きめにして他の部屋に行くとわかると思います。ただ、ブンブン鳴っているので「これ隣の人大丈夫かな?」と不安がよぎりますけど(笑)。

橘慶太 イヤホンでも良いんですが、出来るだけ良い環境で空気が揺れるくらいの音量で聴いて欲しいです。もちろんそれだけではなくて、みんなの日常に寄り添ったアルバムになったら良いなと思います。日本語という理解できる言葉を耳にしたくない時もあると思います。その中で2曲英詞があるので、言葉に捉われず音を楽しんでくれたら良いなと。

――千葉さんはチャレンジはありましたか。

千葉涼平  やっぱり「We Gotta Go」は全部英詞でやったのでチャレンジでした。それに加え、それぞれの曲の声の音色のキャラクター作りとか。仕上がり聴いて新しさも感じましたし、充実感もありました。慶太が上手くディレクションしてくれたのもありますし。

――慶太さんがお2人の声を1番理解されてますからね。慶太さんにはサウンド面でもお聞きしたいのですが、今回どこに1番重きを置いて制作していったのでしょうか。

橘慶太 CDで音が良いというよりかはサブスクで音が良い、例えばSpotifyなどラウドネスリミッター、つまり出力する音の限界があって、そこで良い音が鳴る様には意識しています。だから、海外の曲など他の楽曲達に引けを取らない様にする事を1番意識しました。

 あと、どの曲もキックやスネアとかのビートは、最初に作ってからオケを足した後にもう一度作り直しました。ハイの部分よりはローの方が体を揺らす力を持っていて、僕はそこが肝心だと思っているので。ハイは指向性という感じで前にしか飛ばないけど、ローは全体的に飛ぶんです。だから隣の部屋に行っても聴こえるんですね。

――アルバムを聴いてライブに行ったら、こんな音が鳴っていたんだとか、新たな発見が出来て更に楽しそうですね。

橘慶太 今回特にサウンド面に関してライブと音源とは違った印象になりそうな予感がしています。音源と同じ音が鳴るというのもライブの楽しさだし、ライブでしか聴けない音というのも楽しさだと。今回はどちらかと言えば後者です。

――サウンド面ではないのですが、お2人が思う慶太さんの歌はどんな印象がありますか。

緒方龍一 慶太くんは周りの人に声が高いと言われる事が多かったですが、近年低いトーンで歌ってる事も多く、レンジの幅も広いし七色の声を持っている感じがします。

橘慶太 個人的には自分の低い声の方が好きなんです。

緒方龍一 あとは、リズム楽器の様な“慶太節”が、歌い方だったりメロディーだったり、歌詞との譜割のハマり方など本当に彼のオリジナリティーだなと思います。レコーディング中も、そのハマり方凄いと思いましたし、改めて聴いても独特のリズム感だなと。パーカッションの様な瞬間がある。慶太の表現の面白さだと思いますね。

――そのパーカッションの様なものが1番感じられる曲は?

緒方龍一 「All my love is here for you」とか「Stay Gold」とか、聴いていてノリがすごく面白いです。あとは「Drive All Night」のギターは慶太が生で録ってるし、打ち込みのベースもトラックメイキングに関しても、この曲は感動しました。

千葉涼平 レンジの広さは改めて感じました。低音だけじゃなく不意に来る高音の振り幅にドキッとします。あとは、抜き方が上手で、歌の表情が違って聴こえます。

――さて、改めて『100』はどんなアルバムになりましたか?

橘慶太  w-inds.プロデュースという意味では初のアルバムなので、次のステージに上がった新たなスタートだと思います。ステップアップしたという感じです。

――今作を漢字一文字で表現すると何ですか。

橘慶太 やっぱり「百」ですね(笑)。

緒方龍一 タイトルそのまま日本語にしただけじゃん(笑)。

橘慶太 このタイトルは自分達の歴史だと思います。今回はw-inds.がやってきた15年というより僕達が生きてきた数字で、そこに凄く意味があるというか。w-inds.だけじゃない、3人の人間性が詰まっています。ただ年齢を足して“100”になったというだけではなく、今の人生の数字で、僕は力強い意味を持っていると思います。

――この“100”は重いですね。そして、今作は確実にターニングポイントになるアルバムだと思いました。

橘慶太 そうですね。自分達でプロデュースしてアルバムを作るというのは、1つのターニングポイントになりそうですよね。ただ、これがターニングポイントだと考え過ぎるとだいたい僕達失敗するので、あまり意識しないようにします(笑)。楽しんでやって、結果がついてきたら一番いいなと。“100”って何でも特別だったりしますよね。百万円プレゼントとか、百年越しとか。

――確かに“100”ってパワーありますよね。では「目指せ! ミリオンセールス」で。

橘慶太 それは難しいです(笑)。

千葉涼平 現実的(笑)。

橘慶太 とはいっても100枚じゃマズイですから…。

緒方龍一 それは物議を醸し出すよ(笑)。

(おわり)

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