最上もがが、カフェ・ベローチェ『冷感研究室』の企画で久々にオリジナル曲を歌った。グループ卒業後2度目の歌唱となった今回。これまで経験が少なかったというヒーリングソングに挑戦した。彼女自身、歌うのは「自信がない」というが、「優しく歌うことを心掛けた」その歌声は彼女の持ち味である癒しの要素が表れており聴く者に安らぎを与えそうだ。先日都内で同企画発表会がおこなわれ、単独取材の機会を得た。「緊張した」という久々の歌唱を振り返ってもらうとともに、ソロとして初めて迎える夏について話を聞いた。【取材・撮影=木村陽仁】
挑戦だった冷感ミュージック
最上が2度目の歌唱に挑んだのは、カフェ・ベローチェが開室した『冷感研究室』での企画。夏の暑さのなかでどうすれば「涼しさ」を提供できるかを研究。このなかで、リラックス作用がある音楽を聴くと体の表面温度「体表温度」が0.4℃下がることが実験で計測されたという。これを受けて、ヒーリング効果があるとされる周波数432Hzの「ミラクルトーン」を用いた「冷感ミュージック」を、プロデューサーの安部秀之さん(株式会社オトボトケ代表取締役)監修のもとに制作、それを最上が歌った。
制作されたのは2曲で、「あるがままの、なにものにもとらわれない自分を取り戻してほしい」という思いを込めたバラード曲「リマインド・ミー」と、恋する2人の様子を描いたアップテンポな曲「ICE VIBRATION」。最上がソロとして歌うのは、でんぱ組.inc卒業後としては2度目。今年3月に別のCM企画で歌唱して以来で久々。歌った感触は?
「恥ずかしかったです。(卒業後初の歌唱となった)前回はファンの方も『歌ってくれるんだ』と喜んで下さったんですけど、でも自分としてはどうしても一人で歌うことに慣れなくて、でんぱ組(.inc)の時もソロ曲は出していたんですけど、その時は皆それぞれソロ曲を出すという企画だったので。その時も緊張してやりましたが、やっぱり慣れていなくて恥ずかしかったです。今回の曲は(曲の時間が)短いんですけど、それでも1曲まるまる歌うことはないので、そのぶん苦戦しました。それとエンジニアさんが違うとレコーディングのやり方も違うのでそこでも緊張しました」
――レコーディングはいかがでしたか。現場でのディレクションなどは?
「あんまりなかったですね。『とりあえず思うように歌ってみて』と言われて、それで歌って。その後に『ここにアクセントが欲しい』とか『ここはこういう気持ちで』というのを頂いて。『リマインド・ミー』に関しては『ウィスパーボイスで囁くように』とアドバイスを頂きました」
今回の歌った2曲は、エレクトロサウンドでは系統は同じだが、曲のテンポ(BPM)が速い高速サウンドが特徴だったグループ時代と比べてゆったり。特にヒーリング要素が前面に出た「リマインド・ミー」はバラード曲でセンテンス間の間も多くとっている。対する「ICE VIBRATION」はアップテンポなナンバーでこれまでとは趣が異なり、まさしく最上にとっては挑戦でもあった。
「歌うのはとても難しくて苦労しました! 出しやすい音域と出しにくい音域があるんですけど『ICE VIBRATION』は結構低いんですよね。ぼくにとっては出しづらい音域だったので凄く苦戦しました。上ったり下がったりも結構あったので難しいなと思いながらやりました」
――「リマインド・ミー」はかなりゆったりめのバラードです。
「それも結構大変で、でんぱ組の時はBPMが凄く早い曲ばかりで、バラードも一応はあったんですけど、ゆったりと聴かせる曲というのはあまりやってこなかったので『おお、ゆっくりだ』と『どこで息をすったらいいんだろう』と思いながらやっていました。事前に、なんとなく『ここだろうな』『ここだったら違和感なく吸えるな』というポイントを探ってはいたんですけど、実際にやってみると緊張もあって『息が続かない…』というのがありました(笑)」