意味あるものを出したい、cinema staff×アルカラ 奇跡のコラボ
INTERVIEW

意味あるものを出したい、cinema staff×アルカラ 奇跡のコラボ


記者:長澤智典

撮影:

掲載:18年06月28日

読了時間:約14分

 cinema staffとアルカラが6月13日に、Split EP『undivided.E.P.』をリリース。EPには、2バンド共作の楽曲、互いの新曲、互いのバンドのカバー曲と計5曲を収録。今回はcinema staffの飯田瑞規、アルカラの稲村太佑の対談という形を通し、この作品の魅力を探りたい。【取材=長澤智典/撮影=冨田味我】

交流が深まったきっかけ

飯田瑞規と稲村太佑(撮影=冨田味我)

――最初は2009年9月に対バンライブで共演。そのときは、お互いまだよそよそしい関係だったそうですが、いつ頃からなのでしょうか、お互いの距離がぐっと縮まったのは。

稲村太佑 近づいたきっかけは、『two strike to(2) night』と題したcinema staffの主催イベントです。その名古屋と大阪のライブに、僕らアルカラに声をかけてもらったんです。

 cinema staffはバンドとしてすごく誠実で、自分達の主催ライブに呼んだ相手を失礼のないように迎え入れてくれる。アルカラは、年齢やキャリアもcinema staffよりも上だから、色々と準備もしてくれて、僕らはライブをやったら打ち上げを絶対にするタイプなんすよ。そういうことにも気を使ってくれて「今回は出演が2日間ありますし、打ち上げもどちらか1日に絞らせていただいたほうが良いと思うんです。なのでどちらの方がご都合はよろしいですか?」と。それで初日の名古屋で一緒にやることになりました。

 実はその前に一度、お互いの対バンはしていたんですけど、2マンのときのタイミングで初めてそれぞれのライブをちゃんと観て。その後に打ち上げをしてね。ここがね、バンドマンが仲良くなる絶好のタイミングなんですよ。とは言っても、仲良くなろうとシュッと火を付けた瞬間に「えっと…」という空気になったら、「あっ、こいつらとはハモれへんや」ともなる。

飯田瑞規 それ、わかります。

稲村太佑 あるよな。あのときはcinema staffの辻が切り込み隊長として、アルカラの席に「今日はありがとうございました」と来てくれた。しかも、辻が僕の横に座ったんです。僕は、辻を、トゥルトゥルとギターを弾くんで「トゥルリギター」と呼んでるんですけど。そこで僕が、「お前のトゥルリギター、めっちゃ弾いてる奴いるで」と言ったら、辻が「あれっ、今日めっちゃ気持ちいいんですけど」と言い出して。そこから、もうなんかいきなり堰を切ったように、今まで溜め込んでいたもんがドーンと混ざりあった感じでした。そのまま打ち上げでずっと「イエーイ!!」となってて、そのままの流れで大阪まで移動して。大阪着いたら、入り時間の朝の「おはようございます」のタイミングで、「早くも昨日の続き始まるのかよ」みたいな感じで、お互いに顔を見合わせゲラゲラ笑っていましたからね。

飯田瑞規 お互いの関係が近づくの、早かったですよね。

稲村太佑 しかもそのときに、cinema staffの中でも一番しっかりしている三島が「どうします、1日だけ打ち上げしますと言ってたんですけど、今日もやりませんか?」と言ってきて。そこから急に深く繋がって、お互いのイベントやツアーへ呼んだり、そういう機会は増えました。

――互いの距離感を縮めるうえでも、打ち上げの存在は大きいですね。

稲村太佑 なんかね、そういう場って、マッチをシュッと付けるタイミングになるんですよね。今や僕ら、一緒にライブをしたいからなのか、普通に一緒に時間を過ごしたいからなんか、よくわからない関係になってるな。

飯田瑞規 最初の頃は沖縄や北海道など地方での共演が多かったですからね。そうやって地方へ呼んでくれるのも、一緒に遊べるからじゃないのかと僕らは思ってましたから(笑)。本当にアルカラとは、いろんな思い出があるんで。

稲村太佑 一緒にやってる中で、「何か出来たらいいよね」「レーベルの垣根を越えた状態で、スプリットみたいなのが出来たらいいなぁ」と何となくお互いに…。

飯田瑞規 話してましたよね。

稲村太佑 そういう話を酒の場でしていたところを、今回cinema staff側がいろいろ力を貸してくれて、僕らも一緒にやらせてもらえることになったという。最初は遊びやったのが、そこで生まれたノリが全部形になったな。

――綺麗な流れですよね。

稲村太佑 そうやね、ロックバンドとして一番理想な形でした。

飯田瑞規 アルカラのライブを観ると本当にメンバー全員が触発されるんです。それを見て、その日のセットリストもその場ですぐに変えてしまうくらい。アルカラのライブを観てて思うのが、曲間の変わる異常な速さ。お客さんをだれさせないことを大事にしているから、1曲盛り上がった次の瞬間に新しい曲を叩き込む。それって、まさにライブバンドだからこそじゃないですか。俺らもライブバンドでありたいと思っているように、その点でもアルカラのライブ姿は俺らの理想に近いんで。

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