ハテナマークだらけに、ブルハチ 技術に裏打ちされた悪ふざけ
INTERVIEW

ハテナマークだらけに、ブルハチ 技術に裏打ちされた悪ふざけ


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年05月17日

読了時間:約17分

sebastianは潔癖

sebastian【撮影=(c)maru】

――「kowashite」は新曲ですね。作曲がIKUOさんで作詞がsebastianさんで。

IKUO このアルバムのために書き下ろした曲です。奇をてらってない王道のBULL ZEICHEN 88という感じで作りました。シンプルな曲ではあるんですけど、テクニックや細かい所もあるし、キャッチーなサビもあって。

――この曲をシンプルと言えてしまうのも感覚的には他のバンドとは違いますよね。

IKUO はは(笑)。僕らの中ではかなりシンプルな感じです。色んなものを削ぎ落としてますから。

sebastian 構成は意外とそうですよ。6/8拍子というのだけがギミックになって聴こえますけど。

IKUO 最初からサビ以外を6/8拍子で設定して、サビは爆発するように4/4拍子という風に決めてました。「Lovely」という曲もそうなんですけど、過去にBULL ZEICHEN 88がやっている手法だったりするので、多分これを変拍子にしなかったらちょっとつまんなかったかなと思います。

sebastian ポリリズムでね。そこは淳ちゃんが一番得意としているところじゃないですか。

淳士 僕はめっちゃ好きです。一見、訳わからないように聴こえて、紐解いていくと意外とシンプルというのはしてやったりですよ。

IKUO SIAM SHADEの頃から淳士君は変拍子も叩くドラマーというイメージで。僕はその流れをこのバンドに反映させたいとずっと思っていて。それもあって僕らはもともと変拍子が多いんです。特にこの「kowashite」という曲はシンプルにしたかったので、そっちの方でトリックを入れてみました。

――歌詞はどのように?

sebastian 仮歌でもともとIKUO君が歌っていた中に「kowashite」という言葉があって。

IKUO デモのメロディに対して言葉が降りて来たという感じです。

sebastian そこからは組み合わせで考えていって。曲調がマイナー調なので、ハッピーとはまた違う、怒りの部分、アグレッシブな部分を出せればいいなと。アタックの強い言葉とか、スピード感が出るようにとか、栄ちゃんが歌うので、「これでいけるかな、滑舌が合うかな」とか、そういうことは色々考えました。

――sebastianさんのなかに何か怒りがあった?

淳士 世の中に対してずっと怒ってるんですよ。

栄二郎 ヤバい奴じゃん(笑)。

――そして、「オルターエゴ」は栄二郎さんが作詞作曲です。タイトルには“別人格”という意味もありますが、どういった気持ちで歌詞を書かれましたか?

栄二郎 自分のケツを叩くように自分の分身が自分に対してずっと話しかけているような歌詞です。ヘコんだときとかにこんなことを言われたら嬉しいよなとか。そっと手を差し伸べるのではなくてドンとケツを叩いてくれるくらいの強い感じです。

 IKUOさんの曲は凄いギミックが多いし、sebastianは西海岸的なミクスチャーやメロコア的な曲が多いので、僕はどっちかと言ったら“ザ・邦楽”くらいなノリのストレートな曲を出すことが多いです。今回はそのままいつも通りちょっと熱い感じの曲にしました。「真っすぐストレート、熱い」というそれがテーマですね。

――別人格ということで、こうして喋っているときとバンドをやっているときは違う自分がいたりしますか?

IKUO メイクをしたときとかね。やっぱりスイッチ入りますよ。

淳士 バンドの醍醐味ってそこじゃないですかね。別の自分に堂々と飛んで良い場と言いますか。全く別人格になっちゃうことはないんですけど(笑)。sebastianなんかけっこう潔癖で神経質なんですけど、ステージだとワイルドに見えますから(笑)。

sebastian はは(笑)。潔癖ですね…。本当はマイクに口をつけられないとか。だけど「(マイクに)近づかないと駄目だよ」とか言われて、できるだけ頑張るようにしています(笑)。潔癖、綺麗好きというところでは、例えばダッシュボードとかの埃なんかも気になるような感じで。

栄二郎 その埃に対しても怒りを感じてね。そういうのが歌詞にもね。

sebastian 色々ヤバい(笑)。

――そのsebastianさんが作った「One Step As You Are」はどのように出来ましたか?

sebastian 僕がスランプになったときがあって。途方に暮れているときでした。でも、曲をどうしても書かないといけないし…。断片的にボイスレコーダーにメロディを残しておいたものを集めてきて、「これいいな」と思ったものを広げていきました。歌詞に関しては思いっきり途方に暮れている内容を書いています。

――スランプは辛いですよね…。

sebastian 「音楽をやめてしまってもいいや」くらいまで一時期はいきましたから。淳ちゃんと話したときに「絶対みんなステップアップしなきゃいけないんだよ。でもお前らしさがないのにステップアップはできないよ」と言ってくれて…。そこから「自分らしさって何なんだ?」と自問自答しまして。それが「One Step As You Are」という言葉なんですけど。前進するんだけど、君のまま前進しなきゃ駄目なんだよという意味なんです。等身大の自分ということを歌っています。

――淳士さんはそのアドバイスを言ったことを覚えていますか?

淳士 覚えていますよ。やはり10年このバンドをやってきて色々出つくした感がありました。同じものでもしょうがないし、かと言って新しいものなんて言われても、どうしたらいいんだろうという状況で行き詰まっているのが見えていて。「お前らしさでいいんじゃないの?」と言って、他のギタリストを探してましたね(笑)。

sebastian (笑)。

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