<音楽評:影響を受けた90年代の邦楽シーン>
 音楽シーンのなかでも全盛期と言えば90年代だろうか。次々とミリオンセラー作品が世に飛び出し、ひと際輝いていたように思える。私見でみれば90年代には大きく3つの時代に分けられる。  【上村順二】

 まず、90年から95年頃まではBeing時代。94年から98年は小室Produce時代。そして96年から99年まではヴィジュアル系Rock時代。それぞれに年が重なっているのは、そのあたりからシーンが変わりつつあったから。これを見るにまさに商業音楽的にもピークだったと思える。

 この年代で活躍していたアーティストは現在もなお第一線で活躍しているものもいれば、解散したバンドもある。華やかに輝いたバンドの末路ほどファンにとっても悲しいものはない。今の30歳代から40歳代が青春を謳歌し、その役割を担ったバンドの一つに「SIAM SHADE」(シャムシェイド)がいる。

 筆者も90年代にSIAM SHADEの影響を受けた。メンバーはVocal. 栄喜、Gt&Vo. KAZUMA、Guitar. DAITA、Bass. NATCHIN、Drums. 淳士の5人。おそらくこれを聞けばピンとくるであろう。「1/3の純情な感情」。アニメ「るろうに剣心」のEDに使われていたことでも有名だ。

 SIAM SHADEは惜しまれつつも2002年に解散。だが一時的な再開を繰り返し昨年には不定期活動ながらも本格的な再結成を果たし、12年ぶりの新曲「Still We Go」と全7公演のツアーを成功させた。ちなみに、そのツアーの初日のさいたまSUPER AREANAでのライブがDVD化され4月1日からオンラインショップ限定で発売されている。

 このバンドの魅力は、卓越された演奏に隙のない凝ったアレンジ、耳に残るキャッチーな楽曲。ロックバンドでツインボーカルというのも珍しいところだ。また、馴染みが薄いかもしれないが、4拍子だけでなく5拍子や7拍子など変拍子を多用するプログレッシブロックの一面も持ち合わせもっているのも特長。

 海外だとRUSHやDream Theaterが有名。演奏能力が高いバンドであり、楽器を嗜んでいる人、バンドマンに人気のあるアーティストだった。筆者がCDを購入した際にレコード店の店員に「バンドをやってる方ですか?」と聞かれたぐらいだから、ミュージシャンからの支持も高かったのではないかと思われる。

 アルバムはベストなども含めると12枚をリリース。なかでも初心者には『SIAM SHADE XI COMPLETE BEST ~HEART OF ROCK~』がオススメだ。押さえるところは押さえているといった印象で、これ1枚でこのバンドの魅力がだいたいは伝わるであろう。ライブDVDも付いてるため最初の1枚としては申し分ない。

 興味が沸いてきたらオリジナルアルバムを。私的には3枚目の『SIAM SHADE III』を高く評価している。4枚目の『SIAM SHADE IV・Zero』も「1/3の純情な感情」が収録されているため聞きやすさはある。一方のカップリング集の『SIAM SHADE VIII B-side Collection』には、SIAM SHADEのコアな部分が詰まっている。

 「1/3の純情な感情」は聞き覚えはあってもという初見に近いユーザーには「思っている以上にハードロック」とビックリするかもしれないが、そこにこのバンドの本質がある。

 冒頭にもあるようにSIAM SHADEはいま不定期的に活動をしている。来年はデビュー20周年にあたるため、ライブ活動の再開などに期待を寄せているファンもいる。ちなみにメンバーは現在、個々にソロ活動をしている。ここでそれぞれの活動を紹介する。

 Vocalの栄喜はソロ、「ACID」、「DETROX」など2つのバンド経て、今再びソロで活動。ヘヴィかつメロディアスなロックを聴かせてくれている。今年の頭にアルバム「Fight or Flight」も発売。チケットは既にソールドアウトしているものの6月7日・8日に原宿アストロホールでワンマンライブが開催される。

 GtのDAITAは現在、ソロと「BREAKING ARROWS」というバンドで去年海外でデビューした。サポートで氷室京介のバックでギターも弾いている。また、BINECKSという歌物バンドもあるが残念ながら今は活動休止中だ。ソロではギターインストで活動。6月14日にはTSUTAYA O-EASTでワンマンライブも開催される。

 Gt&VoのKAZUMAは、ソロとアーティストのサポートを展開。ソロではBrassなどをフィーチャーしたファンキーな楽曲などSIAM SHADEとはひと味ちがうスタイルで活動中。サポートでは土屋アンナやJanne Da ArcのベーシストのKa-yuのバンドDAMIJAWでギターを弾いている。5月10日に新横浜NEW SIDE BEACHにてKAZUMAのライブと7月18日からDAMIJAWのツアーが始まる模様。

 BassのNATCHINは、ソロや「Dogs Bone」「BIGBITES」、吉川晃司や相川七瀬などアーティストのサポートもしている。ソロではVoも披露。BIGBITESは「ex.SEX MACHINEGUNS」のAnchangと「ex.YELLOW MONKEY」のANNIEの3人でBANDで活動。サポートでは6月の栄喜のLiveでベースでサポートすることも決定している。

 Drumsの淳士はソロ、そして「BULL ZEICHEN88」アーティストのサポートで活動中。「BULL ZEICHEN88」はベーシストのIKUOと組んだハードロックバンドでDrumの限界に挑戦したかのようなサウンドは圧巻。サポートではT.M.RevolutionやGAKUT、HIDE、Acid Black Cherry、SOUNDHORIZONなど多数参加。→http://www.jun-ji.com/

 バンドの現実は、解散や休止などをするとVocal以外は音楽業界でやっていくのが難しい。そんななかSIAM SHADEは実力のあるバンドのため個々でも十分に活躍している。Rockが好きで楽器をやっている人がいたら是非一度は聴いて欲しいバンドだ。

<関連リンク>
SIAM SHADE http://siamshade.jp/
栄喜 http://www.hidekixxxrock.com/pc/
DAITA http://www.daita-ism.com/
KAZUMA http://endokazuma.net/
NATCHIN http://www.natchin.com/
淳士 http://www.jun-ji.com/

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