21g、アドレナリン放出の圧巻ステージ 魂込めた所縁の地での熱演
アコースティックコーナーも挟み、メリハリの効いたセットリストでオーディエンスを魅了した21g
4人組ロックバンドの21g(トゥエンティワン・グラムス)が昨年12月28日に、東京・初台のThe DOORSでワンマンライブ『「Genoration」Chapter 7』をおこなった。「天照賛歌」のミュージックビデオ(MV)を撮影した、思い出の地となる同所で、昨年9月にリリースした「HEAVY RAIN」や「エメラルドグリーン」など、アンコール含め全18曲を披露。アコースティックコーナーも挟み、メリハリの効いたセットリストでオーディエンスを魅了した。MCではドラムのAct.が脱退することを改めて発表。この4人での最後となる『LAST Genoration』と題したライブを、4月7日に同所でおこなうことも発表した。
1stシングル「天照賛歌」で幕開け
定刻を少々過ぎたところで、ダンサブルなSEが初台The DOORSに響き渡ると、その高揚感を煽るサウンドに乗って、メンバーがステージに登場した。そして、21gの1stシングルでこの場所でMV撮影もおこなわれた、「天照賛歌」で『「Genoration」Chapter 7』の幕は開けた。
Geno(Vo)の「ひとつになるぞ!」とオーディエンスに投げかけ、エモーショナルなサウンドによってライブならではの一体感を作り出していく。間髪いれず、言葉とサウンドが一体感を織り成す「JIDANDA」へ。オーディエンスも拳を突き出し、バンドが放出するエネルギーを弾き返すかのように応戦。mi-yaのワウペダルとアームを絡めた奏法がアクセントになり楽曲を彩り、NATCHIN(Ba)もヘッドバンギングでそのオーディエンスに応答しているようだった。序盤から出し惜しみなし、アクセル全開のステージを展開。
Genoが「声が枯れるくらい、出していきましょう!」と、可愛らしいネコの鳴き声から「ねこのうた」に突入。<トゥル トゥル トゥル トゥル♪>とAメロのコーラスが光るキャッチーでハードなナンバーは、タイトルの可愛さとは裏腹に力強さを感じさせた。Genoの鬼気迫る歌声が咆哮を上げた「MASK」、歌のシリアスさがメッセージを鮮明に打ち出した「たとえ話」、そして、体を動かさずにいられない「チョコレート三丁目」でさらに加速度を上げ、バンドのグルーヴが会場に渦巻いた。
ここで趣を変え、アコースティックコーナーを届けた。mi-ya(Gt)はギターからピアノにチェンジ、Act.(Dr)もスティックからブラシに変え、既存曲をピアノバージョンで演奏。アコースティックはといってもアコースティックギターなどは誰も持たず。NATCHINも「アコースティックと言ってるけど、誰もアコースティックじゃないけどね」とツッコんだ。そのなかでオーディエンスも<ツッツチー ツッツチー♪>とドラムのハイハットのようなボイスパーカッションで演奏に参加した「つき」、180度曲の方向性を変えた「魂ノ歌」。<オーオオーオ♪>とコーラスをオーディエンスとシンガロング。途中Genoが「次、口笛でいくよ!」と投げかけ、口笛を奏でるが微妙な音色に会場からは笑声も。
mi-yaの叙情的なピアノの旋律から「寂しさで咲く華」へ。情感を込めた歌と演奏が、言葉の輪郭を鮮明に浮き上がらせていく。楽曲の持つ切なさをより一層強く打ち出した。アコースティックコーナーラストは「初恋」。Genoとmi-yaの2人で届けた。Genoの歌声が、聴く者の感情を揺さぶっていくようだった。エンディングではmi-yaのピアノを後押しするかのようにAct.がドラムで合流。そこから、ドラムソロへと流れ込んだ。緩急をつけダイナミクス豊かなドラムサウンドが、会場に響き渡る。「2016年最後のワンマンです。いつものアレやりますか!?」とリズムに合わせて<オイ!オイ!>とオーディエンスとともに一体感を作り上げていく。力強いキックの音に導かれるように、再びメンバーがステージに。
後半戦は「1st finger」でスタート
Genoが「自分自身を主張してくれるかい!?」と投げかけ、後半戦は「1st finger」で畳かけた。<天を指差せ♪>と歌詞に呼応するかのように、オーディエンスも天高く腕を掲げ、楽曲のグルーヴに身を委ねているようだった。そして、Genoとmi-yaのツインボーカルが華やかさを与えた「情熱SUMMER DAY」へ。真冬だが会場は一気に真夏のような熱い空間へと変わっていった。Genoとmi-yaのコントラストが鮮やか歌声は、21gの楽曲への新たな可能性を見せた。
昨年(2016年)9月のワンマンライブの時も披露した新曲「片思い」(仮タイトル)を届けた。心が弾むようなメジャー感あふれるキャッチーなナンバーで、甘酸っぱい片思いのようなキラキラとした雰囲気を振りまき、躍動感あふれる演奏で楽しませ、「Mr.アドレナリン」では掲げられたタオルで会場が埋め尽くされた。タイトル同様アドレナリンが放出された熱い空間にボルテージは最高潮に。
Genoが「楽しいですわ! みんなでライブを、ロックをやってるって感じ。それじゃ久々にエメラルドグリーンのアカペラのやつ行きますか!?」と煽るとNATCHINも「いつでも来い!」と気合十分。アカペラから始まるバージョンで「エメラルドグリーン」を披露。マスクを外し、素顔でオーディエンスと向き合うGeno。ハードさとメロディアスが絶妙に融合した、爽快感あふれるナンバーは会場を笑顔にさせていく。立て続けに、「21Genoration」へ突入。自身を解放させていくように、オーディエンスもヘッドバンギングで応戦。会場を震撼させるような熱いエネルギーが満ちるなか、本編を終了した。オーディエンスのその盛り上がりを見て、Genoは「良い顔してんな!ありがとう!!」と告げ、ステージを去った。
アンコールを求める手拍子とコールに、メンバーがTシャツに着替えステージに再び登場。ここで、NATCHINが2017年4月にAct.が脱退することについて、オーディエンスに改めて報告。「普通はメンバーが変わっちゃったら解散なんだけど、自分が軸になって活動するバンドは、このバンドが最後だと思っているから、今のタイミングでやめたくなくてね…。ドラマーが誰になるか、いつ活動を再開できるかまだわからないけど、(バンドを)続けたいというのが本心です」と、21gへの想いをを語った。
Act.も「決して後ろ向きな決断ではないです。メンバーも背中を押してくれています。そのことにまずは感謝をしたいと思います」とコメント。そして、この4人での最後となる『LAST Genoration』と題したライブを4月7日に初台The DOORSでおこなうことも発表した。
Genoは「最初に話をされた時、Act.が迷ってるんだったら俺は止めるようと思っていたんだけど、すでに決断していたから...。お互いにとってプラスになるような未来になるように頑張っていきたいなと思っています。4月までツアーがあるので1曲1曲大事に歌っていきたいと思います」と意気込みを語り、アンコールでは昨年9月に配信限定でリリースされた「HEAVY RAIN」を披露。
今のバンドの心境にも似た感情が演奏に表れているようだった。バンドの出す音を、ただただ浴びるように佇むオーディエンスの姿が印象的。そして、ラストはその雨を振り払うかのように「魂ノ歌」を音源に収録されているバージョンで再び披露。全身全霊でロック魂をぶつけ大盛況のなか、2016年ライブの幕を閉じた。最後にGenoは「2017年は俺らなりに駆け抜けていきます」と力強く宣言しステージを後にした。
メンバーがステージを去った後も、メンバーの名前をコールするオーディエンスに、一人づつステージに戻り感謝を述べた。バンドとファンの絆を実感した瞬間であった。
21gにとって思い出の地となる初台The DOORS。中間で披露されたアコースティックコーナーでは、楽曲のいつもとは違う表情を見せ、ハードアッパーチューンではオーディエンスとの一体感を強めていく。メリハリの効いたセットリストで魅了した。残り少ないこの4人でのライブは、Genoも話していたように1曲1曲大事に演奏、そしてパフォーマンス。そんな想いが伝わってきたライブであった。
(取材・村上順一)
セットリスト
「Genoration」Chapter 7 2016年 12月28日 東京・初台The DOORS 01.天照賛歌 Encore |
ライブ情報
<Dear Loving × 21g × DUSTAR-3全国3マンTOUR『Kerberos〜三位一体〜』>
2月24日(金)大阪RUIDO 2月25日(土)江坂MUSE 3月04日(土)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE 3月05日(日)仙台SPACE ZERO 3月12日(日)名古屋ハートランド 3月20日(月祝)高田馬場CLUB PHASE ▽出演 <21g LIVE「LAST Genoration」> |